【PR】第21回台新芸術賞


Tang Jo-Hung – “As You Sleep Worry-Free—From Pandemic to War: About disaster crisis like a celebration in one or two different cook methods,” installation view, Mind Set Art Center, Taipei, 2022. Courtesy Chu Chi-Hung.

 

2023年5月27日、台新銀行文化芸術基金は、台湾国内で過去1年の間に発表された視覚芸術および舞台芸術における優れた表現を表彰する芸術賞「第21回台新芸術賞」の授賞式を開催した。最終候補17組から選ばれる年間グランプリは、画家のタン・ジョフン[黨若洪]が台北の安卓芸術で開催した個展「As You Sleep Worry-Free: From Pandemic to War: About disaster crisis like a celebration in one or two different cook methods」により、同賞初となる絵画表現で受賞、賞金150万台湾ドル(682万円)を獲得した。視覚芸術部門は、鳳甲美術館と本事芸術で開かれた「The Oceans and the Interpreters」のキュレーションを手がけたタカモリ・ノブオ[高森信男]、舞台芸術部門は、実験劇場(国家両庁院)の2022年秋の芸術祭で『Burnt [the eternal long now]』を上演したリー・チェンウェイ[李貞葳]とゾルタン・ヴァクヤの二人組が受賞した。

台新芸術賞は、2002年に台新銀行文化芸術基金が創設。視覚芸術、舞台芸術の領域横断的な精神、各領域における専門性を促進、表彰する芸術賞として、台湾有数の地位を確立している。本年度の受賞作品には、作品の着想源や制作過程において、2020年以来のパンデミックが個人の精神状態、相互的な対人関係、集団における身体や精神状態にもたらした影響を示唆する表現が並んだ。タン・ジョフンやリー・チェンウェイは、長期に及んだ自宅隔離や外出自粛の経験による、自分自身の身体や精神に対する向き合い方や家族や身の回りの人々との付き合い方の変化から生まれた芸術的言語をそれぞれのアプローチで発展し、タカモリ・ノブオは、海外での展覧会や調査の中断を余儀なくされながらも、台湾内での対話や関係を広げ、新たなキュレーションの機会を生み出した。授賞式では、審査委員長を務めたユキ・パン[潘小雪](国立東華大学芸術学院栄誉教授)が総評として、「苦難を恐れず、芸術への愛と献身を以て切り拓いてきた道を歩むアーティストのみなさんの姿に大変感動しました。選考結果はどうあれ、自分という存在と自分の進む道を信じて、次の機会を諦めないでください」と、授賞式に参加したアーティストに温かい言葉を投げかけた。4年ぶりに台湾外に拠点を持つ有識者を迎えた最終審査は、ユキ・パン、ゼン・シャオチェン[曾少千](美術史家、国立中央大学芸術学研究所教授兼所長)、ウー・シーフォン[吳思鋒](舞台評論)、チョウ・リンチー[周伶芝](キュレーター、批評家)のほか、ディーター・イェーニッヒ(インディペンデント・キュレーター)、木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館副館長兼学芸統括/前横浜美術館シニアキュレーター)、ルイス・ユー(香港芸術学院ディレクター)の6名が務めた。

絵画表現としては初の年間グランプリを獲得した画家のタン・ジョフン[黨若洪]は、個展「As You Sleep Worry-Free: From Pandemic to War: About disaster crisis like a celebration in one or two different cook methods」を安卓芸術(Mind Set Art Center)で開催。ここ数年のパンデミックが及ぼしたタン自身の生活や制作の変化を反映したテーマを掲げた本展は、この時代の集団的な体験を独自の方法で言及したもので、絵画に描かれた屈託のないリラックスした空気が、先行きの見えない世界情勢をユーモラスに諷刺する内容となった。審査員は、「タン・ジョフンは卓越した表現により、災害と日常生活の間にある距離を鋭い洞察力で捉え、その独特でユーモラスな美的志向によって、不条理なドラマのように描き出しました。パンデミックや戦争により、かつての日常は突然失われて、世界中の人々が直面することとなったこの状況下で、タンはその絵画に明朗さと陰鬱さを共存させ、明るい色彩と暗い色彩を重ねながら、自由自在に筆を走らせながら巧みな絵画言語と繊細な物語を幻想と現実が織りなす情景に描き込みました。これらの作品は、人々が逃れようとする本質的な不安や恐怖に共鳴し、自分たちが生きている時代に対する関心を喚起するものであり、それはまさに現代美術が求められている責務ではないでしょうか。いつか人々が今年の台新芸術賞を振り返った時に、彼のの作品を通して、この時代の喜びや悲しみを認識してくれるのではないかと望んでいます」とコメントを寄せた。

 


“The Oceans and the Interpreters,” curated by Nobuo Takamori, installation view, Taipei, 2022. Courtesy Wang Shi-Bang.


LEE\VAKULYA – Burnt [the eternal long now]. Courtesy Lin Cheng-Yi.

 

視覚芸術賞は、鳳甲美術館と本事芸術(Solid Art)で開かれた「The Oceans and the Interpreters」のキュレーションにより、タカモリ・ノブオ[高森信男]が受賞。タカモリは、アフリカやアジアを拠点とする20名以上のアーティストを招聘した本展を通じて、アフリカ美術やカリブ海美術をアジアに紹介するだけに留まらない、異なる地域間における政治、文化、ナショナル・アイデンティティの諸要素を掘り下げるキュレーションを試みた。審査員は、本展のキュレーションが台湾とアフリカという異なる文化的アイデンティティにおける関係性や共通点を見出しながら、両者の接点に芸術的地平を開いたと評価。また、台湾とグローバルサウスという異なる文化に対するタカモリ自身の個人的な関心と長期的な調査研究に基づいている本展は、研究の最終的な成果ではなく、現在進行中の芸術的発見のプロセスにおけるひとつの行程に位置付けられると理解し、受賞以降にも研究が継続、発展することを期待しているとの授賞理由を寄せた。

舞台芸術賞は、国家両庁院の実験劇場の2022年秋芸術祭で上演された『Burnt [the eternal long now]』で、リー・チェンウェイ[李貞葳]とゾルタン・ヴァクヤの二人組が受賞した。本作は、3人のダンサーが社会のメタファーとなり、現代社会を生きる人々の繊細で壊れやすい精神状態を探究するダンス作品。審査員は、リーとヴァクヤのミニマリズムのテクニックや動きを取り入れた振り付けが、疲弊した現代社会の中で、消耗した身体や精神を簡潔かつ力強く表現している点に着目し、現代社会特有の燃え尽き症候群に向き合い、そのネガティブな精神的、身体的症状を、独特な身体言語に変換し、支え合い協力し合う関係性へと適切に導いていく本作のダンスが抑圧された内なる自己を解放する力を獲得しうる想像的な空間を創り出していると高く評価した。

 

第21回台新芸術賞https://21award.taishinart.org.tw/
台新銀行文化芸術基金http://www.taishinart.org.tw/

 

 

最終候補(視覚芸術)
ツァイ・ポウジン[蔡咅璟]「Three Birds」YIRI ARTS、台北
チュン・シーフォン[鍾適芳](キュレーター)、リャオ・ユンチャン[廖雲章]、チャン・チョン[張正]、クリッティヤー・カーウィーウォン、タノム・チャパクティ、アーティット・ムルサーン(コ・キュレーター)「Unaccounted Travelogue」台北現代美術館
タカモリ・ノブオ[高森信男]「The Oceans and the Interpreters」鳳甲美術館、Solid Art、台北
タン・ジョフン[黨若洪]「As You Sleep Worry-Free: From Pandemic to War: About disaster crisis like a celebration in one or two different cook methods」Mind Set Art Center、台北
ニー・シャン[倪祥]「Interlude—NI Xiang Solo Exhibition」国立清華大学アートスペース、新竹
チェン・シェンチェン[陳宣誠](キュレーター)、リャオ・イーメイ[廖億美](コ・キュレーター)「Listening the Voices of Island—In The “2022 Matsu Biennial”」馬祖民俗文物館、南竿
ジャン・シュウ・ジャン[張徐展]「Jungle Jungle」台北市立美術館
ツァイ・チャホン[蔡佳宏]「Personal Tortuous History of Flesh」New Taipei Gallery、台北
チェン・ティンロン[陳庭榕]「Wind Arrows On A Corner Side」台北デジタルアートセンター

最終候補(舞台芸術)
ティムール・ダンスシアター[蒂摩爾古薪舞集]「bulabulay mun?」屏東舞台芸術センター
オータム・シダー・ソーツァイ[秋杉所在]「The Golden Crow that Does Not Exist—2022 Kaohsiung Spring Arts Festival」高雄正港小劇場
ダブル・シアター[複象公場]「The Way Back—2022 Taipei Children’s Arts Festival」水源劇場、台北
Ihot Sinlay Cihek[卓家安]「How Romantic: A Guide to Modern Pangcah Life-In The Adawang Ensemble “Well-Done Raw: 3OLO Project”」PLAYground 南村劇場、台北
アンサートン・スタジオ&Cタートル・タクティック[測不準工作室&洄遊式創作集]Uncertain Studio & C-Turtle Tactic「Six Dreams by the Sea」高雄
ハウ・トゥ・イート・ファウスト・スタジオ[貪食德工作室](演出)「Hades Apocalypse/ Fancy Frontier」水源劇場、台北
リー・チェンウェイ[李貞葳]&ゾルタン・ヴァクヤ「Burnt [the eternal long now] —2022 Artquake In Autumn」実験劇場(国家両庁院)、台北
ゾォ・マンノン[周曼農]「NTT Artists-in-Residence CHOU Man-Nung Detective Deduction」台中国立歌劇院

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