ボイス+パレルモ


右:ヨーゼフ・ボイス《直接民主制の為のバラ》1973年 左:ブリンキー・パレルモ《無題》1974年 gigei10

ヨーゼフ・ボイス(1921-86)とブリンキー・パレルモ(1943-77)。ともにドイツで生まれ、かつ師弟関係にもあった彫刻家と画家です。「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」——そう語るボイスは、社会を一個の彫刻とみなし、芸術による社会変革を夢見ていました。いっぽう早世の画家パレルモは、およそ10年という短い制作期間のなかで、絵画の条件それ自体をさまざまに問い直していきます。一見したところ似ても似つかない作品を手がけていた二人。しかし彼らの仕事を併置してみれば、そこにはある共通した理念が浮かび上がってくるでしょう。

本展覧会は、日本で約10年ぶりとなるボイス展であり、また国立美術館では初めてのパレルモ展です。従来、その思想にばかり焦点が当てられがちだったボイスですが、本展覧会では1960年代の最重要作品である《ユーラシアの杖》をはじめ、脂肪やフェルトを用いた作品、「アクション」の映像やドローイングなど、その芸術実践にあらためて着目します。また、パレルモの手がけるささやかで抽象的な作品群は、絵画の構成要素を再構築しながら、その色彩と形態によって、私たちの認識に静かな揺らぎをもたらしてくれるはずです。ボイス自身、パレルモこそが自分に最も近い表現者であると認めていました。

ボイスとパレルモは、芸術を生の営みへと引き戻そうとした点でよく似ています。それぞれの造形から確認される特徴、また両者の交わりや重なりをとおして問われるのは、芸術の潜勢力に他なりません。本展覧会が、芸術と社会の関係について考察し、芸術とは何でありえるのかと問う機会になることを願います。


会期   2021年10月12日(火)-2022年1月16日(日)
会期中に一部展示替えをします。 前期:11月28日(日)まで 後期:11月30日(火)から

会場   国立国際美術館 地下3階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55)
開館時間 10:00 ─ 17:00、金曜・土曜は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日  月曜日(ただし、12月27日(月)-1月3日(月)は休館、1月10日(月・祝)は 開館し、1月11日(火)は休館)
観覧料  一般1,200円(1,000円) 大学生700円(600円)
( )内は20名以上の団体および夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00以降)
高校生以下・18歳未満無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)

主催 国立国際美術館
後援 ゲーテ・インスティトゥート大阪・京都
協賛 ダイキン工業現代美術振興財団
協力 ルフトハンザカーゴ AG

本展は新型コロナウイルス感染予防対策を実施したうえで開催します。館内でのマスク着用など、来館者の皆様にもご協力をお願いします。
入館時に体温測定を実施します。37.5℃以上の発熱が確認された場合は、入館をお断りします。
都合により、会期および開館時間などが変更になる場合があります。最新情報は当館ホームページなどでご確認ください。
https://www.nmao.go.jp/

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