保良雄「ハクハック 」by KOTARO NUKAGA @ CADAN大手町

保良雄「ハクハック 」by KOTARO NUKAGA
会期2026年4月1日(水) – 4月18日(土)
開催前明日開催
会場CADAN大手町
住所〒100-0004
東京都千代田区大手町2-6-3 銭瓶町ビルディング1階 [MAP]
開館時間12:00–19:00
レセプション・パーティー:4月1日(水)18:00–20:00(作家在場)
休館日日、月、祝
URLhttps://cadan.org/cadanotemachi006-kotaronukaga-takeshiyasura/
保良雄は東京藝術大学大学院彫刻専攻およびÉcole nationale supérieure des beaux-arts(パリ高等美術学校)を修了し、フランスと日本を拠点に活動しています。人間と非人間、主体と客体といった境界を超え、あらゆる存在を単一の水平軸上に並べ直すことで世界の捉え方を問い直してきました。スロベニア、リニュブリャナでの「The 36th Ljubljana Biennale of Graphic Arts」(2025年)や銀座メゾンエルメスフォーラムでの「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」(2024年)に参加し、本年2月には横浜市の稼働中の下水処理施設・港北水再生センターを会場とした個展「TOTEM ORGA(H)/トーテムオルガ」を開催。処理場の機能的な流動軸に沿って作品を配置し、都市インフラの深部を現代のトーテミズムとして再構築する試みとして注目を集めました。

本展の会場となるビルの地下から地上3階にかけては銭瓶町ポンプ所が稼働しており、大手町や丸の内などの汚水を引き上げ、水再生センターへと送り出しています。下水インフラと展示スペースが同居するこの場所で、保良は下水処理の過程で生まれる下水汚泥焼却灰を88%の割合で含むレンガを成形し、配置します。《BLOCK》は、そのレンガによって構成された作品です。
人間の排泄物は水再生センターでの処理の末に灰となり、溶融・加工を経てセメント原料や路盤材、ブロックの一部として都市を形づくっています。自然へと還るのではなく、社会の内部で閉じたまま循環し続ける——私たちは知らぬ間に、自らの排泄物の上に街を築き、その上を歩いています。レンガに刻まれた「88%」は、地表の88%を覆うとされるエクメーネ——人間の居住圏——と重なります。踏破し、耕し、舗装してきたその大地もまた、排泄と処理と再構築の堆積によって成り立っているのだとすれば、この循環は足元のポンプ所だけでなく、人間の居住圏そのものに及んでいます。

会場には《BLOCK》のほか、《落穂拾い》の一部を稲藁からできた和紙に模写した作品などが展示されます。《落穂拾い》に描かれた、貧しい者が収穫の残りを拾い集めるという営みは、かつて共同体の中で自然に機能していた循環のひとつでした。しかしその循環は今や高度なインフラ技術として都市の見えない層に沈み、牧歌的な手触りを失っています。一方で、その構造の中にあるヒエラルキー——誰が処理し、誰がその恩恵を受けるのか——は変わることなく在り続けています。保良は足元の下水道から灰を受け取り、レンガとして成形し直すことで、この閉じた循環を可視化し、都市と身体、汚物と建材のあいだに横たわる境界を問い直します。

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