丸山直文「NO DATE」

 

丸山直文個展「NO DATE」
会期:2025年4月19日(土) – 6月7日(土)
会場:シュウゴアーツ
開廊時間:火〜土曜 11:00−18:00 (日月祝休廊)

オープニングレセプション
日時:2025年4月19日(土) 15:00−18:00
会場:シュウゴアーツ
*作家が在廊いたします。

展覧会情報

 


 

あの場所にはいつ行ったのだろう、はっきりとは覚えていない
スマホのカメラロールからその場所の写真を探す
表示される撮影日は私の感覚とはズレがある
記憶は日付を持ってはいない
それは時間や空間を溶解して混ざり合う
忘れて消えたものは、たゆたいながらゆっくりと姿を現わす

2025年3月3日 丸山直文

 


 

丸山直文は、たっぷりと水を含ませた綿布を床に置いた状態で描きはじめます。水を通して絵具の色彩が滲み広がり、画布に染み込んでいく作用を用いることで、ものの境界が曖昧に溶け合うような風景を多く描いてきました。硬くしっかりとした支持体に絵具を塗り重ねるのとは異なり、湿地帯のように湿った画面に少しずつ色彩や形態を生成していくプロセスは、不安定で物理的にも揺らぐ地面の上に立って生きる私たち自身のリアリティとも響き合うものです。

 


丸山直文《水を蹴る(つづいて)》2025, acrylic on cotton, 162.3x112cm

 

水という素材を用いて制作する中で、丸山は「物事はすべて流れている」と思考します。私たちは、掴み取ることのできない世の中の流れを、図や言葉を使って因果関係として示し、現象を切り取ることに慣れています。しかし、そうして得られた事象の解明が、必ずしも私たち個人の人生における、不条理な出来事や複雑な心の動きを説明しきれるとは限りません。

「流れは本来、可視化できないものだと思います。それを時間であれば日付や曜日で区切り、止めてしまう。そこに違和感を覚えることがあります。記憶は薄れ、消えていきます。そして、組み替えられ、新しいものとして蘇る。そのような流れを意識して制作したいと思っています。」

広大な時空の中に明滅する星のように存在する、私たちの生の記憶。それが緩やかに意味を結ぶ場として、丸山直文のたゆたう芸術があるのかもしれません。本展では、3.6メートルの大作を含む、水辺の自然をモティーフとした新作6点以上を発表いたします。また、丸山が日常的に撮影している写真を収めたアーティストブック『brackish water』が刊行されました。ジャバラ状の本書は、ページをめくって楽しむだけでなく、広げることで立体的にも鑑賞できる仕様です。限定6冊、それぞれ異なる函の装丁が施された特別な仕上がりとなっていますので、ぜひこの機会にご高覧ください。

2025年3月 シュウゴアーツ

 


丸山直文《水を蹴る(よばれて)》2025, acrylic on cotton, 162.3x112cm

 


 

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Top image: 丸山直文《水を蹴る(NO DATE)》2025, acrylic on cotton, 162.3x112cm

 

 

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