新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による中止や延期を余儀なくされていた国際展も、2022年はヴェネツィア・ビエンナーレやドクメンタをはじめ、世界各地で再開の運びとなった。2023年は、シャルジャ・ビエンナーレ、光州ビエンナーレ、リバプール・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレ、台北ビエンナーレなどが開催を予定している。なお、2023年12月に予定されていた横浜トリエンナーレの開幕は、横浜美術館の改修工事の工期延長が見込まれるために2024年3月に変更となった。

シャルジャ・ビエンナーレ15
「Thinking Historically in the Present」
2023年2月7日(火)- 6月11日(日)
https://sharjahart.org/biennial-15
キュレーター:ホーア・アル・カシミ
2月に開幕を予定しているシャルジャ・ビエンナーレ15は、生前に故オクウィ・エンヴェゾーが構想を膨らませていた「現在という時間の中で歴史的に考えること(Thinking Historically in the Present)」というアイディアを、シャルジャ・アートファウンデーションのディレクターのホーア・アル・カシミが複数の専門家からなるワーキンググループとともに引き継いだ。30周年にあたる本展に際し、エンヴェゾーが新作制作を委託した30名を含む160名以上のアーティストやコレクティブの作品をシャルジャ首長国内5都市で紹介する。

第14回光州ビエンナーレ
「Soft and weak like water」
2023年4月7日(金)- 7月9日(日)
https://14gwangjubiennale.com/
アーティスティックディレクター:イ・スキョン
開催日程を4月7日から7月9日までに移し、同ビエンナーレ史上最大の94日間に拡大した光州ビエンナーレ2023は、テート・モダンのインターナショナル・アート部門シニア・キュレーター、イ・スキョンがアーティスティックディレクターを務める。老子から引用した「天下に水より柔弱なるは莫し(Soft and weak like water)」を総合テーマに、約80名/組のアーティストを紹介する。第1弾として発表されたアーティストリストには、小泉明郎、マユンキキ、毛利悠子も名前を連ねている。

リバプール・ビエンナーレ2023
「uMoya: The Sacred Return of Lost Things」
2023年6月10日(土)- 9月17日(日)
https://www.biennial.com/2023
キュレーター:カニシレ・ムボングワ
25周年を迎えるイギリス最大の国際展、リバプール・ビエンナーレのキュレーションを手がけるのは、ケープタウンを拠点に活動するインディペンデントキュレーターのカニシレ・ムボングワ。ズールー語で聖霊、息、空気、風土、風を意味する「ウモヤ」を表題とした「ウモヤ:失われたものたちの聖なる回帰(uMoya: The sacred Return of Lost Things)」をテーマに、リバプールの歴史や気質を掘り下げ、先祖代々あるいは土着的に伝わる知識や知恵や治癒を希求するものとなる。

第35回サンパウロ・ビエンナーレ
「choreographies of the impossible」
2023年9月 – 12月
http://bienal.org.br/
キュレーター:ジアニ・リマ、グラダ・キロンバ、エリオ・メネゼス、マヌエル・ボルハ・ビジェル
ヴェネツィア・ビエンナーレに次ぐ歴史を誇るサンパウロ・ビエンナーレ。第35回展は、キュレーター兼研究者のジアニ・リマ、アーティストのグラダ・キロンバ、キュレーターで人類学者のエリオ・メネゼス、そして、美術史家で国立ソフィア王妃芸術センターのディレクター、マヌエル・ボルハ・ビジェルの4人が共同でキュレーションを手がける。昨夏に発表されたテーマは「不可能なるもののコレオグラフィー(choreographies of the impossible)」。
、周安曼(Freya-Chou)及穆柏安(Brian-Kuan-Wood)(左至右)。圖像由北美館提供。_-The-13th-Taipei-Biennial’s-curatorial-team_-Reem-Shadid-.jpg)
台北ビエンナーレ2023
2023年11月18日(土)- 2024年3月24日(日)
https://www.taipeibiennial.org/
キュレーター:ブライアン・クアン・ウッド、フレイア・チョウ、リーム・シャディド
台北ビエンナーレ2023は11月に開幕を控え、台北と香港を拠点に活動するキュレーターのフレイア・チョウ、ニューヨークを拠点に活動する編集者で教育者のブライアン・クアン・ウッド、ベイルートを拠点に活動するキュレーターのリーム・シャディドが、3人のそれぞれ異なる視点やこれまでの共同作業の経験を活かし、同ビエンナーレに新しい流れを生み出すべく、知識や記憶の反復、再生産を駆り立てるような有機的なコラボレーションを中心に据えたキュレーションの方法論を共同で模索していく。