発想の源泉 – 貴志真生也

【タイトル】 発想の源泉
【アーティスト名】 貴志真生也
【期間】 2011年9月22日~11月14日

食卓の爪楊枝や、お菓子の包み紙、発泡スチロールのかたまり、電気コードが縛ってある結束バンド。日常に散らばっている素材をかき集め、無心になって手を動かす。そんな工作の醍醐味を味わった記憶はありませんか?

アーティスト、貴志真生也は子供のころ誰もが親しんだ工作の記憶から、アルチザンとの共通項を呼び起こします。

「職人は素材を触り、感覚を通してものごとを理解しています。すんなりと言語化できない感覚があることも知っています。手仕事は、発想の源泉です。多くの試行錯誤を必要とする創造的な行為です。ものをつくる過程は、単純な作業ではありません。素材のどの部分を活かすのか、どのような素材の組み合わせに心惹かれるのか。ものをつくる最中にもアイディアは要求されます。職人は作りながら考えることができる尊敬すべき人々です。」

手を動かすことは、考えること。みずみずしい発想の種が手仕事のなかに潜んでいます。

「工作という言葉を聞くと、私は開放的な印象を受けます。幼い頃に自由な感覚でものをつくっていた記憶を思い起こさせるからかもしれません。よいものをつくるには、自分自身の感覚を信じることも必要です。職人とは、過去の経験を通して、自らの感性に自信と信頼を持つものなのだと思います。」

ウィンドウのなかに詰まっているのは、手仕事の顛末、手が語るものがたりです。ひとつひとつのディテールを見つめることは、職人の思索の過程を垣間見ることでもあるのです。

貴志真生也 (きし・まおや)
1986年大阪府生まれ。2009年京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒業。主に木材や建築資材、梱包資材等を組み合わせて「見た事のないもの」あるいは「意味が汲み取れないもの」を企図し、彫刻の既成概念に捕われない奔放な立体作品を制作する。2009年初個展「リトルキャッスル」(児玉画廊)以降、個展「バクロニム」(2010年 児玉画廊|東京)、「鼻向け」(2010年 Antenna Art Space)などで作品を発表。

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