文芸評論家、美術批評家の針生一郎が5月26日、川崎市で急性心不全のため逝去した(享年84歳)。50〜60年代を中心に前衛芸術評論を展開し、東野芳明、中原佑介と並び戦後美術批評の御三家と称された。1925年仙台に生まれ、48年、東北大学文学部卒業。54年、東京大学大学院美学科卒業。東北大学卒業後、美術批評を始め、花田清輝、岡本太郎を中心とする前衛芸術の研究会「夜の会」に参加。また、ヴェネツィア・ビエンナーレ(68年)、サンパウロ・ビエンナーレ(77, 79年)のコミッショナーも務めた。近年ではドキュメンタリー映画『日本心中』(2005年)へ出演し、話題となった。著書に『芸術の前衛』『戦後美術盛衰史』、訳書にベンヤミン『シュルレアリスム』などがある。多摩美術大学、和光大学、岡山県立大学大学院の教授職及び美術評論家連盟会長を歴任した。