新刊のお知らせ 竹岡雄二&ゲルハルト・リヒター

ワコウ・ワークス・オブ・アートから、新刊が2冊出ました。
お近くの書店にない場合は、各web通販、画廊のHPからもご注文いただけます。


竹岡雄二 もうひとつの台座考

108ページ、カラー図版7点
¥ 1,620.-
ISBN: 978-4-902070-47-7

寄稿:遠山公一/イヴェット・ディーシヴ/竹岡雄二×梅津元×平野到/建畠晢
翻訳:清水穣
デザイン:森大志郎
口絵カラー写真:椎木静寧

 2016年に国立国際美術館と埼玉県立近代美術館及び遠山記念館で、国内初の回顧展が開催された京都生まれの彫刻家、竹岡雄二の論考集が発売になりました。海外の翻訳評論以外の全テキストが、本著のための書き下ろしです。
 学生時代にドイツのデュッセルドルフに渡った竹岡は、カール・アンドレやブルース・ナウマンらが在籍し、1980年代のアート界を牽引していたコンラート・フィシャーギャラリーでデビュー、現在まで数多くの展覧会で発表を続けてきました。彫刻のモチーフには「台座」「ケース」「ラック」など、呈示にまつわる形状が取り上げられ、このような「芸術を成立させる要素」そのものに着目した作品群は、見ることや見せることの意味を問いかけています。美術史や美術館という制度そのものへの深い造詣から生まれた作品は、歴史的な文脈を背負い、理性的な佇まいをしていますが、作家が素材に注ぐ愛着や慈しみが、機能だけに陥らない彫刻的な美意識を作品にもたらしています。
 テキストでは個々の作品論だけではなく、台座の歴史的な変遷、物質と空間の相互作用、哲学との対比が論じられます。作家の独自の感性に迫る対話篇も収録された本著からは、彫刻とはなにか、呈示とはなにか、美術作品とはなにかという、現代アートの輪郭が浮かび上がります。
 登録有形文化財・遠山邸の邸宅内での2016年展覧会風景もカラーで収録。これまでゲルハルト・リヒター、ヴォルフガング・ティルマンス等を特集してきたテキストシリーズからの、第6巻です。


ゲルハルト・リヒター 14 Panes of Glass for Toyoshima, dedicated to futility

88ページ、カラー図版56点
¥ 2,400.-
ISBN: 978-4-902070-46-0

寄稿: 林寿美 / ディートマー・エルガー
デザイン: 森大志郎

 愛媛県の弓削豊島(ゆげとよしま)に、ドイツ人作家ゲルハルト・リヒターの最大にして最後のガラス作品《14枚のガラス/豊島》 (14 Panes of Glass for Toyoshima, dedicated to futility) が恒久設置されました。今回のプロジェクトでは設置空間の構想段階から作家が携わり、このように初期から一貫した作家意図の元で展示が実現されるのは、世界でも珍しい事です。
 本カタログでは、この作品が完成形に至るまでのプロセス・スケッチと、林寿美(インデペンデント・キュレーター)とディートマー・エルガー(ゲルハルト・リヒター・アーカイブディレクター)による書き下ろしテキストを収録しています。「仮像、シャインは私の一生のテーマだ」という作家本人の言葉に象徴されるように、反射や透過という特質を持つガラス素材は、リヒターの制作活動の中で重要な役割を果たしてきました。特徴的な構図と質感を持つ絵画作品にも、このシャインに対する哲学が表出しています。
 カタログには1967年から2014までに発表されたガラスと鏡の中から、代表作15点もカラーで収録し、これまでの制作を俯瞰できる一冊ともなっています。日英二ヶ国語での収録です。

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