Mario A / 亜 真里男

東京の展覧会について

書家 亜 真里男:日本と放射能とアイデンティティー論

2016年10月13日
日本という国、日本人とのアイデンティティー。日本人とは何ですか。
日本生まれでなければ、日本人になれないのか。
父が日本人でなければ、日本人になれないのか。
日本語の名前でなければ、日本人になれないのか。
他の国籍を捨てなければ、日本人になれないのか。

1982年に来日して、応募しても、圧力をかけても、一度も国内のアート関係の賞をとったことはありません。
それがもし、日本人でないという理由だったら…。

日本芸術院員に推薦される条件や、「日本国天皇」に関係する文化勲章は、そもそも、日本人でないと可能性はありません。

ところが、私の夢は、日本芸術院員になることです。さらに我が国の文化勲章を目標にしています。

目下、新たな事実が明らかになっています。下らない作品を描いている村上裕二氏(52歳)が、2012年の文部科学大臣賞に続き、先月「再興第101回院展」(9月1日~16日)で、内閣総理大臣賞を受賞しました。(1) 氏の進み具合を見ると、10年後、日本芸術院員になり、25年後、文化勲章を取ることも考えられます。

忘れてならないのは、賞を決める推薦者は人間です。日本芸術院員を薦めるのも人間です。判定基準を決めるものも人間です。新橋・銀座のホステス・クラブ内で、選考の具体的な思考を行っているのも人間です。

思い起こせば、東京青山、2001年8月の頃、市原研太郎評論家とミヅマアートギャラリーオーナーの三潴末雄氏と共に「日本の現代美術アーティスト達を解放せよ!」という宣言書を発表し、「日本人になる」ため、洋服を脱ぎ、和服に着替えた象徴行為から始まり、今月1日にはついに「日本書家」の実践をしました。なぜかというと、「Cool Japan」や他の作品に描かれた漢字が、私の文字ではないという声を耳にしたからです。(2)



日本では小学校から教わる書道ですが、「中国筆」を正しく動かし、「炉心溶融」と書くのは、意外と苦労がございます。確かに、「書」はただ自由に書けばいいというものではありません。

もちろん、「日本のアーティストになる」ために、このような姿勢を見せる事が、必要か必要ではないか、わかりません。
しかし、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞、文化勲章、日本芸術院の関係各者が気にすることの、つまり「亜 真里男は日本人なのか」「彼は日本的文化のアイデンティティーを持つのか」といった、一定の評価基準を満たすためなのかもしれません。さらには、「日本人とのアイデンティティー」の文脈から分析心理学を傾注しなければならないかもしれません。
また一方で、民間伝承から宗教(神道〜伊勢神宮〜天皇陛下)までの談話分析を意識しつつ、現在の天皇皇后両陛下への国民感情を考えざるをえないのです。 (3)


亜 真里男「アイデンティティー」(書、’Cool Japan‘ series) キャンバスに油、53 x 45.7 cm、2016年

これからは、「Beatles Go Home」のような「オッサン政治家」や「昭和女」ではなく、二か国語で表現でき、海外で暮らした事がある、国際的な認識を持つ日本人の座談会を聞きたいですし、それらの文章を読みたいです。まだほとんどの新聞記者、コラムニストたちが、外国生活を経験していないのは残念な実情です。

「日本は日本」「他の国の例はどうでも良い」という意見をよく耳にします。その反面、ヒロシマ、ナガサキ、フクシマの放射能問題について語り始めると(4)、日米関係が取り上げられます。海外との関係、国際貿易関係は「どうでも良くない」という結果になります。
「日本は日本」。
「ドイツの脱原発行動はどうでもいい。」
「日本は、選挙の結果で再稼動の道を選んだのですから。」、、、。

「脱日展時代、一体いつ来るのでしょうか?身を以て範を垂れる為、「クールジャパン」という新作品群を始めました。と言っても私は書家になる意思は毛頭ありませんが、日本の書の足りない表現を巡る撞着語法として、感受性を示すつもりです。… 油絵用の画布に墨ではなく、「油で書」いています。… 単なる我が国の現象にとらわれず、私の書を通して生まれる対義語は、読む側の潜在意識、あなたの精神の本質を見極めるものでもあります。つまり、play the cool。Or not。」という文書を、2013年に発表しました。(5)

贈収賄事件に発展した日展 (参考:「我が国にっぽんの恥「日展」」 (6)) の、文化勲章受章者でいらっしゃる書家高木聖鶴氏(7)や、日本の書壇を意識しながら、東京の青山目黒ギャラリーで、今回の書道を実践させていただきました。この関係で、次の文章をご覧ください:
「ある書道関係者が声を潜めていう。
「我々にとっては、今回のニュースは“何を今さら”という話。この業界では当たり前のように“日展の入選を1回とるのに100万円かかり、さらに上の特選をとるには、1回1000万円、2回なら2000万~3000万円かかる”といわれているほどですからね。賞を取るには有力会派に所属するのが大前提だし、会派のお偉いさんや審査員に付け届けをするのも当然のこと。もちろん書の実力は必要ですが、それ以外の要素も大きく左右するんです」」(8)

日本の書とは何なのか。
汚職する日展書家たち。脱原発の作品が日展には観えません。
日本の書壇の道は正しいのか?
現在の社会を巡って、高給取りの、厳しい書の師範は必要なのか?
外国の詩を書で書くのは、日本のアイデンティティー論なのか?
我が国の明るい未来に向けて、書家たちは、相応しい態度を見せているのだろうか?!

東京、2016年10月13日
亜 真里男

(1)
内閣総理大臣賞受賞の村上裕二氏におめでとうございます (2016年9月12日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/9QmoaJgx6lhbziReNG2K/

日本現代美術界を巡る村上隆と村上裕二兄弟 1/4 (2015年11月2日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/6p2UkBKatRZjGcDfhVri/

(2)
亜 真里男 個展・フィニサージュ & パフォーマンス 10月1日 18:00~ (2016年9月26日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/ROCwM6DkY340PjHzrUVe/

メルトダウン・炉心溶融 @ 亜 真里男 個展 2016年9月3日~10月1日 (2016年9月15日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/fziEGChHBpwAdxYLQbZo/

亜 真里男 Mario A「The situation is under control」個展 @ Aoyama Meguro、9月3日~10月1日 (2016年9月1日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/B2jmzxuLedrMFCbY1c5v/

(3)
象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉、2016年8月8日 (2016年8月9日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/KO4L3cHJhkQW2oCYEXuG/

(4)
新・全国の放射能情報一覧
http://new.atmc.jp

(5)
新作品群「クールジャパン」(2013年12月13日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/432mKOgeHtCnq17pTwS8/

(6)
我が国にっぽんの恥「日展」(1/4) (2013年11月21日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/PFj0D7ZHo6iYGyQe1nNv/

(7)
我が国にっぽんの恥「日展」(4/4) (2013年11月21日)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/muwVKNIrxvCWzAs43X9Y/

(8)
日展「入選1回100万円で特選1回1000万円」と書道関係者


2013.11.19 16:00:40 by NEWSポストセブン
 106年の歴史を持つ、日本で最も権威ある公募美術展──「日展」。日本美術界の登竜門とされるこの展覧会の「書の部門」において、その公平性を根底から覆す不正が明らかになった。

 同部門には毎年1万人以上が出品するが、そのうち入選はわずか1割ほど。その狭き門を通過するには、ある条件があった。

 朝日新聞がスクープした内容によれば、「書の部門」では入選者数はあらかじめ有力8会派のみに割り振られていたという。実際に、それらの会派に属さない人はひとりも入選できなかった。そのうえ、入選するためには「審査員らの絵を買うこと」「審査員に手土産を持参する」などの裏ルールまで存在していたというのである。

 ある書道関係者が声を潜めていう。

「我々にとっては、今回のニュースは“何を今さら”という話。この業界では当たり前のように“日展の入選を1回とるのに100万円かかり、さらに上の特選をとるには、1回1000万円、2回なら2000万~3000万円かかる”といわれているほどですからね。賞を取るには有力会派に所属するのが大前提だし、会派のお偉いさんや審査員に付け届けをするのも当然のこと。もちろん書の実力は必要ですが、それ以外の要素も大きく左右するんです」
※週刊ポスト2013年11月29日号
http://snn.getnews.jp/archives/197963


亜 真里男「そうだ (レモン)」2016年、80.3 x 100 cm、キャンバスに油


新・全国の放射能情報一覧
http://new.atmc.jp


亜 真里男「炉心溶融」2016年、260.6 x 388 cm、キャンバスに油彩






















パーフォマンスの写真 by 藤川 琢史

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