adrianのブログ

チェックと日本の現代美術界についての感想

チャイナ・マニア

2010年4月18日


中国はアジアのアートシーン独占し続けています。これは、2009年の8月11日に投稿された、その成功の裏にあるスキャンダルを書いたブログの日本語訳です。どうぞお楽しみください。


チャイナ・マニア

もし、アジアのアートに対する私の関心が、お金の流れ、美術市場の推測、またはスキャンダルなどに基づくものであれば、日本のアートシーンには見向きもせず、中国について書いていただろう。これは、東京の主要なギャラリストである小柳敦子にも私が初めて会った時に言われた事だ。中国こそ、全てのことが起こっている場所なのに、一体どうして日本について調べているのか、と。

 考えられる理由の1つは、中国アートについての本は、出尽くしているということだ。また、ふらりとやってきて、中国を一夜仕込みの専門分野にするような欧米の作家やキュレーターはもうこれ以上必要ないのである。そうは言っても、私はこのメッセージを心に留め、私が日本について考える為の基準点として、中国アートの国際的な動向に注意を払う必要があると感じていた。ということで、私は、これまで特に中国の作品やアートを商業的、概念的に駆り立てた歴史的な毛沢東からポスト共産主義そして資本主義へと移り変わった改革物語のとりこだった事はなかったのだが、ここ数年の中国アートの似通った寄せ集めの様なグループ展を度々訪れていた。それは、ヨーロッパや、北アメリカで定期的に行われていた。「チャイナ・ゴールド」、「チャイナ・ナウ」、「アバンギャルド・チャイナ」、「チャイナ・パワー・ステーション」と続き、今では、私が週末に訪れた、コペンハーゲンにある素晴らしいアーケン美術館での、「チャイナ・マニア」といった絵画展がある。それはまさしく、全ての美術館が半強制的な「国際化」の為に、独自の中国展覧会を行わなければいけないかのようである。

 アーケン美術館のアートについてはあまり言う事はない。展覧会はシンプルでカラフルな超現実的なスタイルの作品であふれていた。そしてそれは、名前すら覚えてもらえない他の人達に混じって、一握りの中国人アーティスト達をすぐに、大量生産可能な美術の大物に変えたのである。彼らは、岳敏君 (Yue Minjun-上画像)、王広義 (Wang Guangyi)、方力鈞 (Fang Lijun)という有名で高価な名前になった。いつものように、ここではある現象が起こっている。中国バブルであり、この現象はアートそのものよりも興味深い。実際、カタログを読むと、ほとんどの作品は展覧会用に特別に造られていた。おや?すぐに私は、ここで本当のところ何が起こってるのか疑問を抱いた。

 デンマークは既に、中国アートの国際貿易上で怪しげな役割を果たしていた。それは数年前、国の最高の現代美術館であるルイジアナ美術館が、新しい中国美術作品への詐欺まがいの投資ファンドのためにショーウィンドー代わりになっていたことがあったのだ。突然、美術館の学芸員が「エステラ・コレクション」と呼ばれる、200点もの神秘的で未知の主要な中国作品の展覧会をする機会を提供されたのだ。美術館は、これを受け入れた。2007年に豪華な展覧会とそれに付随するカタログの準備を始めると、それは多くの注目を集め、大きな国際ツアーも企画された。実際は、この権威ある「コレクション」は、中国の作品を買い上げる投資ファンドの隠れ蓑だったのだ。これは、ニューヨークのディーラーである、マイケル・ゴードフス氏に率いられ、数々の企業の投資家がかかわっていた。彼は、ヨーロッパの主要な美術館や世界ツアーの魅力を利用して、新しい作品を破格の直接販売価格で彼に売るように、10人もの中国人トップアーティストたちを説得した。そして、作品の多くは後に、主要な美術館に寄贈され、一緒に保管されることを保証していた。だが実際には、コレクションが(2500万ドルで)販売される前に「ツアー」したのはイスラエルだけだった。作品は、すぐに市場に上がり、108作品の内最初の半分は鳴り物入りで2008年4月に(正価1800万ドルで)香港のサザビーズにて、残りはその年の終わりにニューヨークで販売された。騙されたアーティストや関与したキュレーターたちは、当然のことながら、価格の水増しに利用され、他人をもうけさせたことに立腹した。元々の交渉を受け持ったオフィスは、偽の住所と電話番号を使用していた。また、参加を躊躇していたアーティスト達は、プレッシャーを与えられたり、ビエンナーレの開催中利用できるベニスの豪華マンションなどで買収されたりした。

 このような事は、西欧のギャラリストやディーラー達にとって中国では日常茶飯事なのだ。彼らが、忙しく世界を飛び回るスーパーキュレーター達と共に、中国のバブルの裏でビジネスを操っている。何らかの理由で、彼らの多くがスイス人のように見える。スーツをピシッと着こなし、高価な腕時計を身に付け、植民地時代に上海や北京にいた西欧人のビジネスシーンに完璧なまでに馴染んでいる姿だ。上海にある、莫干山路(Moganshan Lu)のアート地区を訪れた時、(ここは、有名な北京の芸術村の一部の大きさしかなかった。)私は、印象派からスーパーフラットまで考え付く限りのアジアと欧米スタイルの現代美術を大量生産している画廊の数に唖然とした。ここには、90年代の半ばに「ShangArt」を開設した、スイス人ギャラリストである、ロレンツ・ヘルブリングのような人達が来るまでは何もなかったのだ。未知で(安い)アーティスト達を発掘し始めたキュレーター達と共に、最終的に誰をも裕福にさせたアート界のバブルを作り出した。これは、1999年にハラルド・ゼーマンがベネツィア・ビエンナーレにて行ったショーが重要な起爆装置となっている。確かに、何人かの本物も発見されているだろう。私はまた、最近、楊福東(Yang Fudong)と邱黯雄(Qiu Anxiong)もデンマークで見た。2人とも顕著なビデオ/インスタレーションアーティストであり、かなりの注目を浴びている。しかし、熱心な訪問者への販売準備万端だった壮大で新しいShangArtギャラリーに対する、私の忘れがたい記憶は、壁の背後を覗いた時見えた、お抱えアーティストによる何十もの作品のコピーがコーンフレークの箱のごとく積み上げられた光景であった。そしてそこには、わずかな賃金で、裏通りから寄せ集められたかのような中国人作業員が何人もいた。彼らは、西欧の良く知られた画廊、キュレーター、代理店、美術館、学者、そして雑誌へと送られるダイレクトメールを何千もの封筒にせっせと詰めていた。アート市場を何もないところからどうやって創り出すか。これがその方法なのだ。あるいくつかの画廊は、新人アーティストを宣伝するオープニングに、西欧から200人ものゲストを費用持ちで招待する事で知られている。いくつかのイベントに出席する為に何千人もの人が海を渡った。それに匹敵する東京のオープニングでは、せいぜい一握りくらいの「外人」しかみられないだろう。 

 小柳が言っていた事は、正しかったのだろうか。これは、彼女が東京の最も影響力のあるアート界の人物の1人であることを考えると、かなり気のめいる意見だった。私は中国の事だけを書いていればよかったのだろうか。だが、私は今でもそうは思わない。私は、どこででも主張しているように、去年『エコー』展で語ったとおり、日本のアート界は面白いと思う。なぜなら、まさに世界のアートゲームの外側で大々的に行われており、そのためいくつかのトレンドから孤立しているからだ。アジアのアートバブルからさえ外れている。そのバブルも今や崩壊し、何か別の話題を探すべきなのだ。私は、日本のアーティスト達は面白いと思う。彼らは、どこよりも長く続いたポストバブルやポスト開発期を生き、仕事をしてきたのだ。これは、中国の現況に執着した変化と発達から非常に異なる軌道なのだが、将来的に誰もが直面する問題なのだ。「カオジン」と中国語で呼ばれる、ゴールドラッシュ後に、ここでもまた日本の経験から学べる何かがあるのかもしれない。

 しかし、小柳は、投資資金がどこに流れているかについて、もちろん正しかった。私は、最近、NYサザビーズの2008年3月からのアジア現代美術の販売カタログを手にした。これは、今ではもちろん「歴史書」となっている。このつるつるの上質な紙が、日本のアートやアーティスト達が国際アートシーンのどこでどの位目立っているか全てを語っている。この分厚く、大きい、高価なカタログには290強もの作品が連らなっている。いくつかは高価であり、全ての中国の大物が載っているが、日本人の名前はわずか4つだった。それは、草間彌生の作品数点、村上のカイカイキキガールズの1人、杉戸洋、白髪一雄の「具体」が1つ。たったそれだけだった。韓国人アーティストの名前も2つあったが、あとは純粋に上から下までチャイナ・マニアだらけだった。この国際舞台でのアジアアートの大きな矛盾の解明は、明らかに面白い問題である。詐欺やバブルの嵐が指し示すには、これは明らかにアートの作品自体の本質的な関心や品質はあまり関係ないのだろう。

ADRIAN FAVELL
http://www.adrianfavell.com

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投稿元 : cheap louboutin shoes / 2013年05月29日03:22

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