adrianのブログ

チェックと日本の現代美術界についての感想

ローライフ:物質世界の本物のアート

2010年6月2日


まもなく、中村政人のインタビューと3331アーツ千代田のオープニングについての記事を掲載する予定です。これは、私が昨年東京の下町のアートについて書いたブログです(初出:2009年10月19日)。どうぞお楽しみください。


ローライフ:物質世界の本物のアート

今日、ロンドンのテートモダンで村上隆の最新作を楽しめるだろう。それは、プラスティックとアクリルで作られており、ブランド化と現代美術を包括している。東京の森美術館では、アイ・ウェイウェイ(艾未未)の文化遺物や高価な材料が贅沢かつ無駄に作り変えられた作品を見る事ができる。その美術品は、現代世界のキュレーター論議を推し量るために作られたようだ。どちらも、現在のアートの意義として、ホワイトキューブ内の作品の価値を推し量る事に取り付かれている現代アートの形である。しかし、日本のほかの場所では、様子が異なる別のものが「物質世界のアート」のようなものに取って代わっている。それは、限られた空間と財政上の制約の下で働いているアーティスト達が、(村上とウェイウェイは別だが)日常的に直面しなくてはいけない環境、社会問題により同調したものなのである。

私は以前のブログ(2010-4-2)で、北川フラムのインタビューを元に越後妻有、大地の芸術祭について詳しく書いた。

http://www.art-it.asia/u/rhqiun/mMOpuoDiw8FjhvgcIVWf/?lang=ja

私は日本の現代アートに何故興味があるのか聞かれるたびに、今日の日本がとてもおもしろいからだと答える。我々の将来へのガイドなのである。日本は、経済と人口減少、また、「バブル」の発展と成長の幻想は、全く明るい将来をもたらさないという、衝撃的な現実に折り合いをつけなくてはいけなくなった、限りない余暇と裕福さをもつ都市社会の最も顕著な例である。これは、多くの退廃的な「オタク・アート」を生み出した。そして、今やより希望に満ちた「持続可能なアート」を必要としている。そしてそれは、越後で豊富に見られ(必ずしも説得力があるとは限らないのだが)、全国各地でのアートプロジェクトにも見られる。この「持続可能なアート」は大都市でも起こっている。芸大の学生による画廊外での作品展示が最新作である「閾ーTHRESHOLD 」というタイトルで上野タウンアートミュージアムで行われている。最近では、このようなストリートワークやユニークな展示スペースが上野周辺で色々みられる。

このイベントでの私のコンタクトは、ニューヨーク出身のアーティスト/作家である、ジェームス・ジャックであった。彼は、予定滞在期間を延長して、籍を置く芸大に関係する様々な感銘深いアートプロジェクトに参加し、より深くかかわっている。彼は、「白い箱の外側」で「現地の人々、社会的建造物、そして時間の余裕にとても密接した」プロジェクトに関わることについて、熱く語ってくれた。そして、どんなにニューヨークシティからしばらく離れることがあらゆる点で良いかも付け加えた。
これらが、彼らが現在活動中のリンクである。

http://jamesjack.org

東京にいた時、私は表参道に住んでいた。(これは長い話なのだ!)しかし、私の心はいつも町の北側にあった。荒川、町谷、墨田、千住、やなせん、または私がたまに短期滞在する湯島の薄汚い裏通りだったりする。それは、古いビルや、電線、電灯、都会のおしゃれな場所とはかけ離れた日常生活に密接した場所が持つ「本物の東京」の味である。もちろん、これは、「下町」のロマンであり、それは「ダウンタウン」などとよく間違った訳され方をされているが、どちらかといえば「下」それか「下の」町なのである。古い喫茶店や木造の銭湯が1つずつ姿を消し、レトロなダイニングバーがつぶれ、一般の東京人達の生活の一部が垣間見れる中、パチンコパーラーの騒音、見苦しい娯楽エリア、そして特徴のない開発に対抗し、古い東京の良い所をいくつか残している。

これらの場所は、今や、丁寧で必然的な下落の典型的な雰囲気をもってして、すたれ、使い古されたように見える、日本の絶え間ない戦後都市開発の時期の名残なのだ。だが、このあたりは少ない収入で露命をつないでいる貧困層や若いアーティスト志望には良い場所なのだろう。生活し働くのにうってつけの場所。これは、きらびやかな六本木ヒルズの「ネオ東京」と正反対であり、同じように越後の理想は、森ビルの哲学と正反対なのだ。

ここに長いアートの関係が続いている。この関係とは、もちろん中村政人である。彼は1990年代の後半から上野、秋葉原、神田の地味な場所をパブリックアートの「介入」と、コマンドNの活動や芸大での講義に繋げた実験的な「持続可能なアート」のための
製作の舞台に使っている。パブリックアートは、今やきらびやかな建物の前にある高価な企業の彫刻と同義語になっている。しかしこれが、東京のアートシーンで新鮮だった時期があるのだ。中村と他のアーティスト達が初めて都市開発の「狭間」を使う提案をした時である。それは、新しい建物の間であったり、使われていない工場や老朽化した住宅などを利用して作られる違った種類のアートであり、過疎の村で廃屋や旧学校の校舎を改築して利用した、越後妻有の反都市戦術にとても似通っている。「持続可能なアート」の最新バージョンを見る為には町の北部へ行けばいいのだ。または、ジャックが現在参加している同じスピリットを持つ別の集団プロジェクトを群馬の外れに見に行くとよい。

http://www.kiryusaien.com/

1990年代初頭に「中村と村上」として一緒にすごした時以来、中村と村上がとった平行ではあるのだが、異なる軌跡に、私は常に興味があった。もちろん、彼らは、華々しい大森やギンブラート時代において中枢的な「輝ける双子」だった。この2人は、この時期の並外れた独創的な連鎖からでてきた「有望な若者」のなかでも最も「有望」だったのだ。あの時、この古い友情に何が起こったのだろうか。今は、2人にあまり共通点はないように見える。

http://www.art-it.asia/u/rhqiun/nUDm1uf2Vh3RNTKQrGqe/

中村の現在までの最新かつ最大のベンチャーは、来年初めに改築された旧練成中学校でオープンする3331アーツ千代田アートセンターの総括ディレクターとなることである。ここは私が時に家と呼ぶ、上野の南側の閑静な場所と同じ通りにある。旧中学校は2008年に「101東京」の打ち上げで使われたので(上の写真)、知っている人も多いだろう。また、ここは、使い古され、安っぽい60年代の公共建造物であるが、将来的に、再想像、再修復そして再発明の持続可能なアート(そしておそらく商業的な持続可能なアート)の為に見事で新しい大規模な空間を提供するだろう。まさに一度は、今や減りゆく都市の子供達を育てるために建てられた建物にふさわしい。偉大な芸術はプラスチックの大きく、大変高価なものであるとは限らないことをこれらのプロジェクトは教えてくれている。

ADRIAN FAVELL
http://www.adrianfavell.com

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Low Life: Real Art in a Material World [trans]
投稿元 : louboutin outlet / 2013年06月10日13:45

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