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椿昇『GOLD / WHITE / BLACK--Complex』

椿昇『GOLD / WHITE / BLACK--Complex』
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まだ展覧会をご覧になっていなければ、14日(日)まで(週末は21時まで)開催されているので、是非見に行かれることお薦めしたい。

会場は京浜工業地帯にあり、かつてバレーボールの日本リーグが開催されていた旧日本鋼管の体育館である。天井が非常に高く、ぐるりと観客席が回りを囲んでおり、想像を絶するスケールである。
そこに、全長30m、直径10mの実物大の大陸間弾道ミサイルが横たわっているさまは、ここが日本であり、そこが現代アートの展覧会場であることを一瞬忘れさせる程の迫力である。暗闇に浮かび上がる巨大ミサイルの胴体にはNIPPONと刻まれている。

本展は京都国立近代美術館で昨年開催された展覧会の変形版巡回展であるが、独特のアウラを放つ巨大なスペースを得て、全く異なった展覧会のようにも見える。

現代アートとは「お互いの違いを認識し、共存していくためのヒントまたはツールである」と(私は)考える。
横浜トリエンナーレ2001の全長50m・巨大バッタ「インセクトワールド-飛蝗」2003年水戸芸術館・現代美術ギャラリー「国連少年」展と、時に過激、時に馬鹿馬鹿しく記憶に強く残る作品群を創り続けてきた椿だが、そのコアなメッセージは終始一貫している。

京都国立近代美術館による紹介文には『椿が提案するのは、過激なほど率直な対話を通じてしか、他者や異文化を理解することはできないこと、そしてこの過激な対話なしには、私たちの明日の平和は築き得ないというメッセージです。この展覧会は私たちに、「美術は社会を変えていく力を持ち得るのかもしれない」という希望を与えてくれるでしょう』とある。

作品の巨大さや表層的な過激さに目を奪われがちであるが、椿の作品を単なる声高な政治的メッセージに矮小化してはならない。
なぜなら、会場でサイト・スペシフィックな作品群とじっくりと対峙することで、私達は自己と自らが属する国家を含めた様々なコミュニティ、あるいは他者との相互理解等について、深く考えさせられるからである。

少々短絡的ではあるが、「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)の第82回アカデミー賞受賞の報は、私に同展出品のバングラディッシュ犠牲祭の映像作品を思い出させた。

主催は北仲スクール(横浜文化創造都市スクール)である。未来のアーティストや教育者達が椿の近くで実際の展覧会づくりに携わることは、彼らにとっても貴重な機会となろう。

作品購入に関しては、今回はスケールが大き過ぎて、残念ながら私の手に負えるレベルではなかった。
 
2010/03/12 23:04


レビュアー

宮津 大輔

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