「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

会期: 2017年7月14日(金)~10月31日(火)
    月~土曜 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
    日曜   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
休館日: エルメス銀座店の営業日に準ずる
入場料: 無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム
    (中央区銀座 5-4-1 8 階 TEL: 03-3569-3300)
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

エマニュエル・ソーニエ(1952年、パリ生まれ)は、1970年代後半より作家活動を開始し、86年のヴィラ・メディチ(ローマ)での滞在を経て、主にガラスを用いた作品で知られるようになります。彫刻家としてのアカデミックな美術表現にとどまらず、社会と積極的に接点をもち、人との対話を通じて歴史を問い直すことに重きをおくソーニエは、制作と並行して、パリ国立高等美術学校にて研究者・教育者の役割も担います。現在フランス(パリ)とトルコを拠点とするソーニエは、エルメス財団との親交も深く、財団のギャラリー「La Verrière」での個展(ブリュッセル、2002年)に加え、若いアーティスト向けのレジデンス・プログラムにて、メンター(2010~14年)を務めました。

ソーニエの彫刻作品は、作家にとって身近な歴史的な出来事や惨事を参照しており、人間の実存について、根源的な問いを投げかけ続けています。ガラスに水や黒いインクを満たしたオブジェは、人間そのものの姿であり、薄い皮膜に覆われた/閉じ込められた人間の身体の重量と、透明になったその存在の脆さや儚さを暗示しているかのようです。
また、中庭に黒いアスファルトの破片を敷き詰め、仮の大地を出現させた《黒の広場》(画像2枚目:Place noire)では、私たちが信じて疑わない足場の不確かさや、上書きされ覆い隠される歴史の運命を、豊かな暗喩と沈黙の中で見事に表現しています。

本展覧会は、今年2月にパリのパレ・ド・トーキョーで開催されたソーニエの個展「Black Dancing」から発展し、ジャズ・ピアニストであるセロニアス・モンクへのオマージュとして構想されました。1963年に来日公演を行ったモンクの演奏からインスピレーションを受け、楽曲のように3つのパート(tempo I/ II/III)を組み立てます。また、さまざまな文脈において、作家活動や哲学を分かち合う親交の深いアーティストたちの作品も同時に紹介し、多様なネットワークを通じて活動を広げる現代作家のあり方に迫る試みです。

エマニュエル・ソーニエ Emmanuel Saulnier
1952年、フランス、パリ生まれ。さまざまな地理的、歴史的文脈における記憶あるいは忘却、また危うい均衡の上に成り立つ現代社会における人間の実存について、彫刻作品や有志の協働者との出版活動などを通じて探究している。現在フランス(パリ)およびトルコ在住。2002年からパリ国立高等美術学校の教鞭も執る。主な個展に「Black Dancing」(パレ・ド・トーキョー、2017年)、「Emmanuel Saulnier / Odilon Redon」(オルセー美術館、2007年)、「Place blanche, Place noire」(アトリエ・ブランクーシ、ポンピドゥー・センター、2004年)など。「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」(ポンピドゥー・センター・メス、森美術館、 2015年)や「Traces du Sacré」(ポンピドゥー・センター、2008年)などのグループ展にも参加。2010〜2014年、エルメス財団のアーティスト・イン・レジデンスにメンターとしてアーティストを推薦。

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