「街は舞台」 特別プログラム

2015年11月1日~11月29日

11月は、「街は舞台」をテーマに、映画における舞台セットにフォーカスした5作品をご紹介いたします。

ロベール・マレ=ステヴァンによるセットを舞台とした、幻の名作『人でなしの女』を含む20年代の貴重な映像や、パリ、ローマ、香港にてロケが行われた映画史における傑作たち。街と舞台が彩る、私たちを魅了してやまない数々の名シーンから、映画の魅力を再発見しましょう。

本プログラムに際し、ル・ステュディオのプログラム・ディレクター、アレキサンドル・ティケニスも来日。トークセッションを開催いたします。

*本プログラムでは、お一人様各作品1度ずつ、全5作品をご予約いただけます。


©Collection Lobster Films
『人でなしの女』
1923年/フランス/123分/モノクロ/35㎜

監督:マルセル・レルビエ
脚本:マルセル・レルビエ、ピエール・マッコルラン   
撮影:ジョルジュ・スペクト
出演:ジョルジェット・ルブラン、ジャック・カトラン、フィリップ・エリア

その前衛的な映像のため公開中止の憂き目にあい、幻の映画となった作品。歌姫クレールはアール・デコ様式の華麗な邸宅に住み、日夜名士たちを招いていた。彼女に冷たくあしらわれた発明家は、決死の思いである計画を実行するが……。画家のフェルナン・レジェ、建築家のロベール・マレ=ステヴァン、家具デザイナーのピエール・シャロー、服飾デザイナーのポール・ポワレといった当時の前衛芸術家たちが集った、フレンチ・モダニズムの結晶。


©MAN RAY TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015 G0167
『サイコロ城の秘密』+アレキサンドル・ティケニスによるトークセッション
1929年/フランス/26分/モノクロ/35mm

監督:マン・レイ
出演:シャルル・ドゥ・ノアイユ、マリー=ロール・ドゥ・ノアイユ、ジャック=アンドレ・ボワファール、マン・レイ

パリを出たふたりの旅行者が、長い旅の果てにある現代的な城に辿り着く。そこでふたりは城の秘密を知ろうとする。表情をかくした不可思議な登場人物は、前衛芸術のパトロンとして知られ本作の出資者でもある、ノアイユ子爵夫妻の親しい友人たちが演じている。南仏イエールの、ロベール・マレ=ステヴァン設計による建築を舞台にくり広げられる、実験的なサイレント映画。

『アレキサンドル・ティケニスによるトークセッション』(上映後約60分)
11/1(日)  14:00 「アヴァンギャルドたちと舞台セット」
11/3(火・祝)14:00 「遊歩者(フラヌール)/映画作家(シネアスト)」


©1994, 2008 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.
『恋する惑星』
1994年/香港/103分/カラー/デジタル

監督・脚本:ウォン・カーウァイ 
出演:トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武、ヴァレリー・チョウ 
音楽:チャン・ファンカイ、ロエル・A・ガルシア                
配給:アスミック・エース

「その時、彼女との距離は0.5ミリ――57時間後、僕は彼女に恋をした」。同じ場所、同じ時間に起こったふたつの 恋模様を描いたウォン・カーウァイ監督の出世作。舞台は香港の無国籍地帯。さまざまな言語が飛び交う界隈で、失恋したての警官たちが新たな恋の始まりを予感する。一方は逃亡中の金髪女性と、もう一方は部屋に忍び込み勝手に模様替えする風変わりな店員と。タランティーノも絶賛した本作は、出会い、すれ違い、刹那的な恋を繰り返す若者たちのポップな群像劇である。


Courtesy of Park Circus/MGM
『フェリーニのローマ』
1972年/イタリア/120分/カラー/35mm

監督: フェデリコ・フェリーニ
脚本: ベルナルディーノ・ザッポーニ、フェデリコ・フェリーニ
出演: ピーター・ゴンザレス、ブリッタ・バーンズ、ピア・デ・ドーゼス、フィオナ・フローレンス、アンナ・マニャーニ
音楽: ニーノ・ロータ

自身のナレーションを交えながら、巨匠フェリーニが「永遠の都」への愛を語った、映像によるローマへのオマージュ。フェリーニの幼少期を思わせる少年がローマの歴史を学ぶシーンや、監督となった彼がこの地を撮影するシーンはあるものの、本作に主人公はなく、一貫したストーリーもない。ドキュメンタリーともファンタジーともつかない独自の手法で、猥雑で魅惑的、幻想的で崇高なこの街を美しく切り取ってゆく。ニーノ・ロータの流麗な旋律の中、時空を越えた圧倒的な映像美が繰り広げ られる。


©Pierre Grise Productions
『ホーリー・モーターズ』
2012年/フランス=ドイツ/115分/カラー/デジタル

監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ、イヴ・カープ
出演:ドニ・ラヴァン、エディット・スコブ、エヴァ・メンデス、カイリー・ミノーグ、ミシェル・ピコリ
配給:ユーロスペース

ひとつの人生からもうひとつの人生へ、旅を続けるオスカーの1日。ある時は富豪の銀行家、またある時は殺人者、物乞いの女、怪物、そして父親へと、次々に姿を変えてゆく。ブロンドの運転手セリーヌを唯一の供に、白いリムジンでパリの街中をさまよう。アクションの美しさ、原動力、そして彼の人生に登場した女たちや亡霊たちを追い求めて。『汚れた血』、『ポンヌフの恋人』のレオス・カラックス監督が『ポーラX』以来13年ぶりに完成させた本作は、ミステリアスな物語を監督ならではの映像美でみせる待望の長編。

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