「逆転移」 リギョン展

2014年10月3日


【タイトル】「逆転移」
【アーティスト】 リギョン
【会期】 2014 年10 月31 日(金)~2015 年1 月7 日(水)


   
フォーラムでは、ソウル在住のアーティスト、リギョンの展覧会を開催いたします。1969年、韓国全州生まれのリギョンは、その初期の作品より一貫して光をテーマに制作をしています。

「光」は己の実体をもたなくとも存在を照らし出す媒体として、視覚芸術に大きく関与してきました。リギョンの作品の中で、光はしばしば、見えるものと見えないものの関係を再定義する重要な要素として使われています。「百聞は一見にしかず」という言葉に表されるような、私たちが抱く視覚への絶対的な信頼関係を揺るがすように、見えるものの限界と不完全性を問いかけます。

今回の展覧会では、二つの作品を展示いたします。見えないものを見ようとする本能的な衝動を形にしたかのような『善悪の知恵の木』は2001年に制作されました。禁断の果実をメタファーにとらえた、目をくらませる強い光に満ちた部屋は、見ることへの過度な欲望がハレーションを起こしているかのようです。背後にあるはずの闇や影を消し去り虚無と化した装置は、目を閉じることで存在の確かさを得る逆説的な空間となるのです。

一方、今回の新作である『蛇の口づけ』は、不可視そのものを表現することに焦点が当てられています。過去の作品のように精密な装置を用いてコントロールした光を使うことなく、フォーラムの空間特有の自然光の移り変わりをもとに、「太陽の光を描くこと」を目指します。螺鈿細工を思わせる床とサウンドを用いたインスタレーションの中で、私たちは何を感受するのでしょうか。

光は常に闇を伴い、影を孕んでいます。光そのものを描くことが見えない闇や影を描くことであり、人間の矛盾に満ちた不可能性を読み解く方法であることを示唆しているかのようです。

2014年は、現代美術における「素材」についての考察を行ってきたフォーラムですが、エルメスのアトリエで使われるような皮革やクリスタル、シルク、銀といったソリッドな素材から、私たち個人に生まれながらに与えられた身体へ、そして本年度の締めくくりとなる本展では、光という非物質的な素材が生みだす表現へと挑戦します。


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