「リビングルームⅡ」 ミシェル・ブラジー展

会期: 2016 年9月16 日(金)~ 2016 年11月27日(日)
    月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
    日   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
    11月9日(水) 16:00~20:00
    不定休 ※11月16日(水)は臨時休業
    無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム
    (中央区銀座 5-4-1 8 階 TEL: 03-3569-3300)
主催: エルメス財団
協力: Art : Concept
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

銀座メゾンエルメス フォーラムは、「リビングルームII」 ミシェル・ブラジー展を開催いたします。1966年、モナコ生まれのフランス人作家、ミシェル・ブラジーは、初期から一貫して、植物、野菜、果物、昆虫、微生物などを取り込みながら、身の回りの自然に息づく美と醜、生命のサイクルをありのままに、また詩的に問う作品を制作してきました。フランスの主要な美術館での個展をはじめ、これまで各国で数多くの展覧会に参加していますが、日本では初の個展開催となります。

時間とともに移り変わる生成の過程そのものを見せるブラジーの作品は、完成したフォルムをもちません。生活者によるささやかな実験室さながら、キッチンやベランダでの野菜の発芽や育成、あるいは腐敗といった現象の増長を試みます。寒天のひび割れと剥離によって描かれる生きた壁画や、積み上げられたオレンジの皮が、数ヶ月の間に朽ちていく様子を見せる作品などは、現代のヴァニタスとして無常を描くとともに、見慣れたものに息づいている時間の流れ、予期しない色彩やフォルムを取り出してみせます。

ブラジーの宇宙では、カタツムリやねずみといった動物たちも、時に共同作業を担います。衛生を重んじる生活環境の中で排除されがちなこれらの生きものたちは、新たな役割を得て、実に雄弁に振舞います。また、文明が生み出した物質も共存します。既製品として流通しているものたちは、人間の一生よりも長い時間を持ちながらも、経済の流れの中で短い寿命を設定されます。型落ちした家電製品に植物を寄生させるシリーズでは、商品のライフサイクルと自然本来の時間を対比させながら、文明や存在のはかなさや逞しさをユーモラスに描き出しています。

本展のタイトルとなった「リビングルーム」は、住居におけるくつろぎの場を表すと同時に、生命が絶え間なく変化する空間を喚起する言葉でもあります。クリーンで静的なギャラリースペースへの批判も込められたブラジーの実験室は、私たちの文明が快適さのもとに排除しがちな風景にも対等なまなざしを向けるのです。

ミシェル・ブラジー  Michel Blazy
1966年、モナコ生まれ。フランス・パリ在住。1990年代よりキッチンの日用品や自宅の庭で採取した植物などを用いた作品を制作。ユーモアを織り交ぜた詩的な表現で、自然とテクノロジー、有機物と人工物といった相反するものを調和させる世界を提案している。主な個展に『Living Room』(ヌオーロ県立美術館、ヌオーロ、2016年)、『Pull Over Time』(Art : Concept、パリ、2015年)、『The Great Restaurant』(ル・プラトー、パリ、2012年)、『Post Patman』(パレ・ド・トーキョー、パリ、2007年)。


Photo credit:
Pull Over Time (detail)|2016
Photo: Le Portique / Simon Desloges
Photo courtesy of the artist and Art : Concept, Paris

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