「The Water Trilogy 2」 アブラハム・クルズヴィエイガス展


©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès

会期: 2017年4月21日(金)~7月2日(日)
   月~土曜11:00~20:00 (最終入場19:30)
   日曜 11:00~19:00(最終入場18:30)
   会期中無休
   入場無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム
   (中央区銀座5-4-1 8階 TEL: 03-3569-3300)
主催: エルメス財団
協力: kurimanzutto
後援: 在日メキシコ合衆国大使館

銀座メゾンエルメス フォーラムは、「水の三部作 2」 アブラハム・クルズヴィエイガス展を開催いたします。アブラハム・クルズヴィエイガスは、メキシコシティを拠点に活動するアーティストです。近年のテート・モダン(英国)、ウォーカー・アート・センター(米国)などでの個展開催をはじめ、ドクメンタ13(ドイツ)や第50回ヴェネチア・ビエンナーレ、第9回光州ビエンナーレといった国際展に参加するなど、世界各国で精力的に活動を続けています。

訪れた土地のローカルな素材を作品に取り入れるクルズヴィエイガスは、石や段ボール、バケツやプラスチックケース、廃材や鉄屑、また動物の排泄物や植物など、あらゆる素材を用いて、単体のオブジェから大規模な建築的インスタレーションまで多岐にわたる制作を行います。幼少期を過ごしたメキシコシティ郊外アフスコにおける「セルフ・ビルディング」運動や、密集したマーケットなどにみる「美的な乱雑さ(混沌)」をルーツとする彼は、自身の制作や作品のあり方を「Autoconstrucción(自己構築)」という言葉で表し、シリーズ化してきました。各地の歴史、政治、社会、経済の姿を内包する素材を用いながらも、それらの象徴性を取り払い、即興的な手作業や介入によって全く新しい彫刻を再構築していきます。

「The Water Trilogy(水の三部作)」は、2017年に3カ所で開催されるクルズヴィエイガスの一連の個展で、東京での展示はその第2章にあたります。ヒエラルキーをつくらず、ストーリーを語らず、また、混沌やハイブリッドな状態をそのままに受け入れるクルズヴィエイガスによって、東京はどのようなローカルに変換されるのでしょうか。日本で展開された建築運動「メタボリズム(新陳代謝)」や、イサム・ノグチの家具をインスピレーション源に、バックミンスター・フラーの「テンセグリティ」やフィボナッチ数といった自律的な構造概念を援用しながら、新作インスタレーションを組み立てます。また、抽象化されたローカリティのなかに、ワステカ地方の伝統音楽やチナンパ農法、ウーパールーパーなどの水辺の生物といった、豊かなメキシコの風土や文化も交じり合います。オートディフェンション、ミクロトナル、オブレラ、カンペシナ、エストディアンティル、メタボリスタ、デスカルザ……。私たちの生命を育む水が生み出してきた循環をめぐって、異なる視点から漂ってみましょう。

アブラハム・クルズヴィエイガス Abraham Cruzvillegas
1968年、メキシコ・シティ生まれ。メキシコ国立自治大学で教育学を学ぶ傍ら、ガブリエル・オロスコの主宰する『Taller de los Viernes(金曜のワークショップ)』(1987〜92年)に参加。現在メキシコ・シティ在住。
「Autoconstrucción(自己構築)」という概念に基づき、その場を解釈し、即興的に制作する手法は、幼少期を過ごしたメキシコ・シティ郊外のアフスコに暮らす人々のセルフ・ビルドの手法に影響を受けている。主な個展に『Empty Lot』(テート・モダン、2015年)、『Abraham Cruzvillegas: The Autoconstrucción Suites』(ウォーカー・アート・センター、2013年;ハウス・デア・クンスト、2014年)など。また、ドクメンタ13(2012年)やヴェネチア・ビエンナーレ(2003年)など、多数の国際展に参加。

Copyrighted Image