「カンブリアの饗宴」 DGT

【タイトル】カンブリアの饗宴
【アーティスト名】DGT
【期間】2014年5月8日~2014年7月15日

地球がまだ真っ青な空と海に覆われていた時代、物音ひとつなく静まりかえった空中とは対照的に、海中は熱狂的なほどにぎわっていました。生命は絶え間ない分化を繰り返し、新しい命を生み、個体を次々に増やしていったのです。そのなかには無論、今の地球上には存在しない不思議な風貌の生物もたくさんいたに違いありません。

古生代、絶え間ないメタモルフォーズの作用により新しい命が生まれていったように、人類が地上に誕生してからは、手を使って様々な素材を見たこともないようなものに変えてきました。人の手の数だけアイディアが、形が、個性が生まれ、その数が集まれば集まるほど、人のつくるものは表情豊かになっていきました。

パリを拠点とし、世界各国でプロジェクトを行っている建築事務所DGT。イタリア人のダン・ドレル、レバノン人のリナ・ゴットメ、日本人の田根剛から構成される境界を超えたグローバルなチームは、ものづくりの原点を人類が存在する以前に戻し、海中でおびただしい数の生命が分化を遂げていた時代のエネルギーをウィンドウに吹き込みました。人の手によって様々な形に変貌を遂げた半透明の白い紙が幾重にも重なり、大きな物体となって呼吸をしているかのようです。その息吹は、小窓にも続いています。

大きな塊のなかに見え隠れするのは美しきマーメイド。今となってはおとぎ話のなかにしか存在しないと考えられている彼女たちも、カンブリア紀には悠々と広い海中を舞っていた生物のひとつだったのかもしれません。

DGT(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
2006年よりダン・ドレル、リナ・ゴットッメ、田根剛の共同主宰により、 DGTをパリに設立。ヨーロッパ・中東・アジアと異なる文化・文脈の背景を持ちながら、グローバルな視点による建築の創造を試みている。現在建設中の『エストニア国立博物館』(2016年完成予定)をはじめフランス、イタリア、日本 、レバノン、スイスでプロジェクトが進行中。2012年には新国立競技場国際コンペティションで『古墳スタジアム』がファイナリストに選ばれ国際的な注目を集めた。フランス文化庁新進建築家賞(2007)、ミラノ建築家協会賞(2008)、Red Dot Award Winner(2013)など多数受賞。(www.dgtarchitects.com

■過去のウィンドウ・ディスプレイ一覧

Copyrighted Image