山形国際ドキュメンタリー映画祭 本年度コンペティション作品より

2011年2月1日
D. 山形国際ドキュメンタリー映画祭 本年度コンペティション作品より
Works from Yamagata International Documentary Film Festival- Selections from this year’s competition


D1. 遊牧民の家
エジプト、ドイツ、アラブ首長国連邦、クウェート/2010/アラビア語、英語/カラー/ビデオ/61分
監督:イマン・カメル 
Nomad's Home by Iman Kamel



シナイ半島の荒涼とした砂漠で女性起業家として生きるセレマと出会う辺境への旅。モーセ山近くの水の枯渇した村で、女性で最初に学校に通った彼女は、夫に支えられながら因習に立ち向かい、ベドウィン女性たちに経済力と教育をもたらそうと試みている。監督のパーソナルな視点から語られる女性たちの営みは、エジプトで生まれ育ち、住いを転々とし、現在はドイツに住まう監督自身の<遊牧>民としての人生とポエティックに重なり響き合う。


D2. 星空の下で
オランダ/2010/インドネシア語/カラー/ビデオ/111分
監督:レナード・レテール・ヘルムリッヒ 
Position Among the Stars by Leonard Retel Helmrich



インドネシアの家族を12年間追い続けた三部作の完結編。両親を亡くし叔父一家と暮らす孫娘を訪ねて田舎から出てきた祖母を中心に、定職がなく闘魚に興ずる叔父とそれを嘆く妻との夫婦喧嘩、反抗期を迎えた孫娘の大学進学問題などがテンポよく映し出される。宗教間の衝突や貧富の格差、世代間の意識のずれを巧みに折り込みながら、家族を想う庶民の日常を、疾走するカメラワークでドラマチックかつユーモラスに捉えた。


D3. 川の抱擁
ベルギー、コロンビア/2010/スペイン語/ビデオ/73分
監督:ニコラス・リンコン・ギル 
The Embrace of the River by Nicolas Rincon Gille



コロンビア西部から、カリブ海に注ぐ全長1540キロのマグダレナ川。川沿いの住民は、日々の糧と同時に水の事故をももたらす川に宿る精霊モハンに畏敬の念を抱いて生きてきた。神秘的な霧の中、葉巻や蒸留酒をモハンに捧げ豊漁を祈願する人々。川の流れに乗って語られるモハンとの遭遇談。それらはやがて、虐殺によって解体された遺体の部位が流れてくるという数々の証言によって、コロンビアが抱える現実と結びつく。川を、生と死、人間と精霊の交差点として融合させ、息子や兄弟を亡くした女性たちの強い怒りと深い悲しみを静かに悼む。


D4. 日は成した
スイス/2011/ドイツ語/カラー/35mm/111分
監督:トーマス・イムバッハ 
Day is Done by Thomas Imbach



郊外に聳え立つ煙突、飛び立つ旅客機、階下の路上で見られるさまざまな出来事など、アパートのベランダ越しに眺められた風景が15年以上の歳月にわたり記録される。その一方、留守番電話に残されたメッセージが監督の私的生活を断片的に物語る。時にコマ落としで加速される日常風景の映像と、監督の生活を示唆する声。両者は時の流れの中で重ねられて世界のひとつの断面を浮き彫りにする。タイトルはニック・ドレイクの歌曲による。


*山形国際ドキュメンタリー映画祭の作品解説は公式ウェブサイトから引用しています。