「エルメスコープ」 オスカー・ディアズ

【タイトル】エルメスコープ
【アーティスト名】オスカー・ディアズ
【期間】2014年3月19日~2014年5月6日

万華鏡(カレイドスコープ)の中に見える小さなオブジェは、カラフルで、きらきらと輝いていて、とても大切なもののように見えます。暗がりの向こうに果てしない模様が広がるその不思議な仕組みに魅了されながら、変わり続ける映像をずっと眺めていた記憶はありませんか?

エルメスのスカーフ“カレ”も、まるで万華鏡のように無限のパターンが織りなす小宇宙。デザイナーのオスカー・ディアズは“カレ”に着想を得て、メゾンエルメスのウィンドウに万華鏡を創り出しました。

ディアズが万華鏡に見出したのは、科学と自然の関係、幾何学図形の世界でした。万華鏡が映し出すシンメトリーこそが自然界の進化をつかさどる軸であり、動物や植物がみせるシンメトリー性は、萌え出ずる春と、連綿と続く生物界のメタモルフォーズ(変身)を想起させます。万華鏡の中に果てしなく広がるのは、幾何学図形の連続。少し離れて見ると、ウィンドウの上には記号のようなものが描かれていて、通りゆく人をこの万華鏡へと誘います。

数学的思考と調査、緻密な計算や実験を経て実現した、色と形が繰り広げる永遠のメタモルフォーズ。遠景にはエルメスの製品を乗せて回る歯車、近づくと小さな覗き窓、その奥には無限に展開するシンメトリーの世界。マクロとミクロの世界が万華鏡というトリックを通じて融合し、エルメスの製品は別の姿へと進化し続けるのです。

オスカー・ディアズ Oscar Diaz
ロンドン在住のプロダクトデザイナー。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにてロン・アラッドの指導のもと、プロダクトデザインの修士号を取得。家具デザインのプロジェクトで来日、その後ロンドンに戻り2007年に自身の事務所を立ち上げた。彼のデザインを特徴づけるのは特定のスタイルではなく、対象となるものの文脈や文化的な関連性を考慮しながら探究し、問い直し、深く理解する、そのアプローチ自体である。シンプルで遊び心に溢れる彼のものづくりはありふれたものからインスピレーションを得ており、ちょっとした変化が思わぬ結果を生み出すことを気づかせてくれる。 現在、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのデザインプロダクト部門の講師も勤める。

■過去のウィンドウ・ディスプレイ一覧

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