PARASOPHIA オープンリサーチプログラム03 ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「M.2062 (Scarlett)」

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015では、同芸術祭の調査研究のプロセスを広く一般に公開、共有するためのプログラムとして昨年6月よりオープンリサーチプログラムを開催している。ここでは、2013年9月6日に京都府京都文化博物館 別館ホールで行なわれたオープンリサーチプログラム03[レクチャー/パフォーマンス]ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「M.2062 (Scarlett)」のテキストを同芸術祭の協力のもと、ART iTに掲載する。

「M.2062」シリーズはゴンザレス=フォルステルが様々な人物に扮し、文字と音楽を用いるパフォーマンス。2012年に『Memory Marathon』(サーペンタイン・ギャラリー)のプログラムの一部として発表。4作目となる今回のパフォーマンスでは、映画『風と共に去りぬ』でヴィヴィアン・リーが演じる主人公スカーレット・オハラに扮する。

 


All images: Dominique Gonzalez-Foerster, M.2062 (Scarlett) September 6, 2013. Parasophia: Kyoto International Festival of Contemporary Culture 2015 Open Research Program. Photo: Tadashi Hayashi. Courtesy: Parasophia Office © the artist.

 

ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「M.2062 (Scarlett)」
2013年9月6日
PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015 オープンリサーチプログラム

主な楽曲
映画『風と共に去りぬ』オリジナルサウンドトラックより(作曲:マックス・スタイナー)
ソニック・ユース「リトル・トラブル・ガール」(作曲:ソニック・ユース)
オペラ『嵐が丘』第2幕より(作曲:バーナード・ハーマン)
レスリー・ワイナー「5」(作曲:レスリー・ワイナー)
映画『めまい』オリジナルサウンドトラックより(作曲:バーナード・ハーマン)

 


 

明日は明日の風が吹く

これが『風と共に去りぬ』の
私の最後の台詞

終わりには私はただ
タラに戻りたかった

タラ

タラとは一体何なのでしょう?

何のための場所なのでしょう

不可能なオペラのための場所?

いろんな映画の
いろんな時代の登場人物が出るオペラ

私が彼女になる

心の中で感じること

リトル・トラブル・ガール
うんとうんと親密だった

ロマンスは楽園へのチケット

うんとうんと親密だった

そうして欲しいなら

いつもいい子でいてあげる

この歌をもう一度聴いたときには、スカーレットのことをたくさん考えました
「リトル・トラブル・ガール」
その始まり方
その続き方
その生み出し方
母と娘
娘と恋愛
そしてこんなオペラがあります
バーナード・ハーマンの
『嵐が丘』

ハーマンの生涯では殆ど全く演奏されなかったオペラ
彼はブロンテ姉妹に魅了されていました
愛の複雑さについてのオペラ

このオペラではまるで19世紀と20世紀が戦っているようです
でもその中でキャシーが何か素敵なことを言う
素晴らしい場面があります

キャシーが言ったこと、それは

スカーレットが言ってもおかしくないこと
どの登場人物が言ってもおかしくないこと

私はヒースクリフ

私はヒースクリフ
ヒースクリフ

私はヒースクリフ
私はレット。私はスカーレット
私はヒースクリフ
ああ、ヒースクリフ
帰ってきて
帰ってきて

ヒースクリフ

ヒースクリフで在るのが可能ということ

ヒースクリフ

戦争の話はしない
したくない
その話はしない

南北戦争についての映画

スカーレットと戦争

怪我人だらけの街を
通っていったとき

タラに戻る道のり

私なりの身勝手なやり方で

この人物の裏側には何が潜んでいるのか

理解しようとしました

勇気

喪失

タラ

 

 

 


 

PARASOPHIA オープンリサーチプログラム03 ドミニク・ゴンザレス=フォルステル「M.2062 (Scarlett)」(2)

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