DIC川村記念美術館 x 林道郎『静かに狂う眼差し−現代美術覚書』@ DIC川村記念美術館


ジョン・マクロフリン「X-1958」1958年 DR

DIC川村記念美術館 x 林道郎
静かに狂う眼差し−現代美術覚書
2017年7月8日(土)-8月27日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7/17は開館)、7/18

DIC川村記念美術館では、美術史・美術批評の分野で活躍する林道郎の手引きのもと、同館収蔵作品の中心をなす現代絵画を考察する企画展『静かに狂う眼差し−現代美術覚書』を開催している。

収蔵作品を新たな視点で紹介する本企画において、林道郎は20世紀をルネサンス以来の規模と深さの美術の転換点だったと捉え、初公開作品を含む約90点の収蔵作品を通じて、その転換を再考するとともに、絵画がもつ「人間の感覚や想像力や思考のモデルとしての可能性」を探っていく。林はこれまでに本展の出品作家でもあるサイ・トゥオンブリー、ロバート・ライマン、中西夏之などを取り上げた『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』(全7冊、ART TRACE刊)や、『死者とともに生きる:ボードリヤール「象徴交換と死」を読み直す』(現代書館、2015)を出版。共編書には日本の戦後美術を扱った『From Postwar to Postmodern: Art in Japan 1945-1989』がある。そのほか、書籍や展覧会カタログ、雑誌への寄稿、美術館での講演も多数。

本展では林の掲げる4つのキーワードを基軸に展覧会を構成。第1章「密室と絵画:静かに狂う眼差し」では、ブラッサイが撮影したアトリエのマティスの写真を中心に、近代において画家がアトリエをはじめとする密室のなかで育んできた、見る欲望とその対象との関係について模索する。第2章「反射と透過:表面という問題」では、反射・反映(光を撥ね返す表面)と透明(光を透過させる表面)という問題が先鋭化し、「環境」の問題へと至る流れをジョン・マクロフリンとラリー・ベルに焦点を合わせて検討する。

第3章「鉛とパン:戦後美術における灰色への沈着と日常性への下降」では、ジャスパー・ジョーンズの鉛の作品群を起点に、現代美術における灰色の意味を探るとともに、赤瀬川原平やクリストにおけるラッピングに言及する。第4章の「筆触のざわめき:手の(無)人称」では、戦後美術における筆触とこれからの展開について、ジャクソン・ポロック、サイ・トゥオンブリー、ロバート・ライマン、中西夏之らの作品を通じて考察する。

会期中には各章のタイトルを冠した林による4回シリーズの講演会や、林のほか、本展担当の前田希世子らによるギャラリートークを開催する。また、本展関連書籍として、水声社より林道郎著『静かに狂う眼差し−現代美術覚書』を刊行。


ブラッサイ「マティスとモデル、1939年」1973年


中西夏之「R・R・W-4ツの始まりⅢ」2002年 © Natsuyuki Nakanishi 2017

関連企画
講演会
講師:林道郎(美術史・美術批評、上智大学教授)
2017年8月5日(土)「密室と絵画:静かに狂う眼差し」
2017年8月12日(土)「反射と透過:表面という問題」
2017年8月19日(土)「鉛とパン:戦後美術における灰色への沈着と日常性への下降」
2017年8月26日(土)「筆触のざわめき:手の(無)人称」
各日:13:30-15:00(開場:13:00)
定員:80名
予約不要、入館料のみ

ギャラリートーク
2017年7月8日(土)林道郎(美術史・美術批評、上智大学教授)
2017年7月15日(土)ガイドスタッフによる対話型トーク「mite!」
2017年7月22日(土)前田希世子(本展担当学芸員)
2017年7月29日(土)アートテラー・とに〜
2017年8月19日(土)ガイドスタッフによる対話型トーク「mite!」
各日:14:00-15:00(14:00エントランスホール集合)
上記ギャラリートーク開催日を除く開館日は、ガイドスタッフによる定時ツアーを開催
定員:60名
予約不要、入館料のみ

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