ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画 @ DIC川村記念美術館


「朝の歌」1975年 アクリル、カンヴァス 211 x272cm DIC川村記念美術館 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London

ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画
2018年4月14日(土)-8月26日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、4/30、7/16は開館)、5/1、7/17

企画担当:前田希世子(DIC川村記念美術館学芸員)

DIC川村記念美術館では、幾何学的パターンによって画面に動きをもたらす抽象絵画で知られるブリジット・ライリーの個展『ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画』を開催する。60年代にオプ・アートの旗手として注目を集め、90年代に世界的な再評価の機運が高まり、2000年代にはテート・ブリテンやパリ市立近代美術館で大規模な回顧展を実現したライリーの日本では1980年の東京国立近代美術館以来38年ぶりの個展となる。

ブリジット・ライリー(1931年ロンドン生まれ)は、ゴールドスミス・カレッジやロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学び、大学卒業後は教員や商業美術の仕事につきながら制作活動を続ける。ジョルジュ・スーラに影響を受けた風景画にはじまり、ルネサンス以降の巨匠や印象派の絵画、点描技法を研究し、単純化・抽象化のプロセスを学ぶことで独自の創作を深めていく。1960年代に入ると、白と黒のみの抽象絵画に取り組み、62年にロンドンのギャラリー・ワンにて初の個展を開催。また、ニューヨーク近代美術館の企画展『レスポンシヴ・アイ』に参加し、色彩理論と心理学、知覚生理学をもとに、繰り返す幾何学パターンと色の組み合わせにより、図像が動いているように知覚させる同時代に隆盛を極めた絵画様式「オプ・アート」の代表的なアーティストとして注目を集める。67年には代表作となる波形のストライプパターンに色彩を導入した作品群を制作。翌年の第34回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加し、絵画部門国際賞を受賞。以降、「色」と「形」の相互作用を駆使して、人々の眼に強く訴える作品を展開、現在は自宅のあるロンドンのほか、コーンウォール、南仏のヴォークリューズに拠点を持ち、制作を続けている。

制作活動のほか、1968年にピーター・セッジーリとともに設立した「SPACE」では、低価格でのスタジオ物件の提供や、技術向上のプログラム、作品発表の場の提供といった同時代のアーティストの支援活動を現在に至るまで継続している。また、81年にロンドンのナショナル・ギャラリーの評議員に任命され、企画展のキュレーションを行ない、その後もヘイワード・ギャラリーでの『クレー』展(2002)、テート・ブリテンでの『モンドリアン』展の企画・執筆も手がけている。


「ここから」1994年 油彩、リネン 156.2 x 227.3㎝ 個人蔵 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

本展では、黒と白のみで制作した1960年代の作品のほか、1970年代を中心としたストライプ作品、1990年代の曲線を用いた作品、そして、近年手がけているウォール・ペインティングを含む国内外所蔵の約30点を通して、ライリー作品の魅力に迫る。ウォール・ペインティングの作品として出品される「ラジャスタン」は、イギリスとオーストラリアからライリーのアシスタントが来日して制作を手がけ、展覧会がはじまる直前に完成し、展覧会終了とともに姿を消す。ライリーは60年代からアシスタントを使った制作を試みており、自ら習作を繰り返して完成した構図をもとにアシスタントがカンヴァスや壁に描いていく。

会期中には、表象論を専門とする加藤有希子、美術史・美術批評を専門とする林道郎による講演会や、首藤康之と中村恩恵によるダンス・パフォーマンス、バラグナ・グループによるガムラン・コンサートを開催。また、『絵の住処-作品が暮らす11の部屋-』(2015-2016)、『サイ・トゥオンブリーの写真-変奏のリリシズム-』(2016)、『静かに狂う眼差し-現代美術覚書-』(2017)などを担当してきた本展担当学芸員の前田希世子によるギャラリートークも複数回実施される。


「ラジャスタン」2012年 鉛筆、アクリル、壁 228.6×426.7cm 個人蔵 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

関連企画
講演会①
講師:加藤有希子(表象論、埼玉大学准教授)
2018年4月21日(土)13:30-15:00(開場:13:00)
定員:50名(要予約:3/30受付開始)
入館料のみ

講演会②
講師:林道郎(美術史・美術批評、上智大学教授)
2018年7月21日(土)13:30-15:00(開場:13:00)
定員:50名(要予約:6/22受付開始)
入館料のみ

担当学芸員によるギャラリートーク
前田希世子(DIC川村記念美術館学芸員)
2018年4月14日(土)、5月26日(土)、6月9日(土)、7月7日(土)、8月11日(土、祝)
14:00-15:00(14:00エントランスホール集合)
予約不要、入館料のみ

ダンス・パフォーマンス
首藤康之&中村恩恵 in「ゆらぎ」
2018年5月12日(土)閉館後
要予約:3/30受付開始
一般:5,000円、友の会:4,500円

ガムラン・コンサート
バラグナ・グループ「自然のパターン、命のふるえ」
2018年8月4日(土)閉館後
要予約:5/25受付開始
一般:4,000円、友の会:3,500円

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