版画の景色 現代版画センターの軌跡 @ 埼玉県立近代美術館


元永定正「白い光が出ているみたい」1977年|シルクスクリーン、紙|
現代版画センターエディション|所蔵:ときの忘れもの/有限会社ワタヌキ

版画の景色 現代版画センターの軌跡
2018年1月16日(火)-3月25日(日)※会期中に一部展示替えあり
前期|2018年1月16日(火)-2月18日(日)
後期|2018年2月20日(火)-3月25日(日)
埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
開館時間:10:00-17:30 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、2/12は開館)

展覧会担当:梅津元(埼玉県立近代美術館学芸員)
五味良子(埼玉県立近代美術館学芸員)

埼玉県立近代美術館では、版画の普及とコレクターの育成を目指し、1974年に設立された「現代版画センター」をひとつの運動体として捉え、その約10年間の活動の軌跡を辿るとともに、版画という形式を改めて検討する展覧会『版画の景色 現代版画センターの軌跡』を開催する。

現代版画センターは、1974年、現在は東京・駒込の画廊「ときの忘れもの」のディレクターを務める綿貫不二夫が設立し、会員制による共同版元として、版画制作、オークションや展覧会の企画、出版物の刊行を行ない、85年に倒産した。

本展では、その活動の軌跡を辿るなかで、約80作家700点以上のエディションが制作された版画を制作する版元「メーカー」としての軸、オークションや展覧会、シンポジウムなどの組織、東京のみならず地方にまで展開した会員組織の運営といった「オーガナイザー」としての軸、「現代版画センターニュース」などの刊行や関係作家の作品集やカタログの出版といった「パブリッシャー」としての軸という3つの軸を手がかりにしていく。また、数多くの人々が関わり、「倒産」という形で幕を閉じた運動体を扱う上で、本展では、その活動の功績を讃えて紹介するのみならず、懐疑的、批判的、否定的な見解も取り入れた、俯瞰的な視座からの検討を試みる。


関根伸夫「おちるリンゴ」1975年|シルクスクリーン、紙|
現代版画センターエディション|所蔵:ときの忘れもの/有限会社ワタヌキ

一方、本展は、その活動から生み出された40名を超える出品作家の作品を通じて、版画という形式に改めて光を当て、その景色/形式が持つ可能性の考察も試みる。

目に映る「風景」が、網膜に映る「色彩」と化している。その色彩は形象をともなうが、移りゆく時の中では、すべてがうつろい、流れてゆく。その流れに抗い、目に見える世界を記憶にとどめようとするとき、「風景」と「色彩」が「圧縮」され、「景色」が生まれる。世界から放たれる光線が、網膜に「版」を描き出す。その「版」が脳内に「転写」され、「景色」が出現する。
「プレス(加圧)」によって成立する「版画」を、「景色」として眺めてみる。「紙とインク」から放たれる光線が、網膜に「版」を描き出す。その「版」が脳内に「転写」され、「版画の景色」が出現する……(本展チラシ掲載文より抜粋)

出品作家は、靉嘔、安藤忠雄、飯田善國、磯崎新、一原有徳、アンディ・ウォーホル、内間安瑆、瑛九、大沢昌助、岡本信治郎、小田襄、小野具定、オノサト・トシノブ、柏原えつとむ、加藤清之、加山又造、北川民次、木村光佑、木村茂、木村利三郎、草間彌生、駒井哲郎、島州一、菅井汲、澄川喜一、関根伸夫、高橋雅之、高柳裕、戸張孤雁、難波田龍起、野田哲也、林芳史、藤江民、舟越保武、堀浩哉、堀内正和、本田眞吾、松本旻、宮脇愛子、ジョナス・メカス、元永定正、柳澤紀子、山口勝弘、吉田克朗、吉原英雄。

会期中には、版画家で伝統技法「合羽刷」の数少ない継承者としても知られる西岡文彦や、ウォーホルをはじめ、多数の作家との共同作業を担った刷師、石田了一によるトークイベントを開催。


島州一「ゲバラ」1974年|シルクスクリーン、布|現代版画センターエディション 42番|現代版画センターエディション|所蔵:ときの忘れもの/有限会社ワタヌキ|©島州一


靉嘔「大きな透明な木」1981年|シルクスクリーン、紙|現代版画センターエディション|所蔵:ときの忘れもの/有限会社ワタヌキ

関連イベント
トークイベント「ウォーホルの版画ができるまで-現代版画センターの軌跡」
第一部|西岡文彦(伝統版画家 多摩美術大学教授)聞き手:梅津元(埼玉県立近代美術館学芸員)
第二部|石田了一(刷師 石田了一工房主宰)聞き手:西岡文彦
2017年3月18日(日)14:30-16:30(開場:14:00)
場所:埼玉県立近代美術館 講堂[2階]
定員:100名(当日先着順)、無料

※そのほかの関連イベントは公式ウェブサイトを参照

MOMASコレクション
2018年1月6日(土)-4月15日(日)
埼玉県立近代美術館 1階展示室
「セレクション:ルノワールとかピカソとか」
「とう・かたる-人と美術の出会いの中で」
「小特集:小村雪岱のイラストレーション」

関連イベント
サンデー・トーク
展示担当者・学芸員による展示作品の解説 ※要MOMASコレクション観覧料
展示担当者:菖蒲澤侑
作品:因藤壽「こんばんは」1951年
2018年1月21日(日)15:00-15:30

展示担当者:平野到
作品:イヴ・タンギー「無題」1947年
2018年2月4日(日)15:00-15:30

展示担当者:石井富久
作品:元永定正「聖火」1964年
2018年3月11日(日)15:00-15:30

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