境界−プロキノに寄せて @ アサクサ


プロキノのシンボルマーク

『境界−プロキノに寄せて』
2017年5月13日(土)-5月28日(日)
アサクサ
http://www.asakusa-o.com/
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:火、水、木、金

アサクサでは、昨年開催の企画展『1923』で取り上げたマヴォや三科とも深い関係をもつ日本プロレタリア映画同盟(略称:プロキノ)製作のニュース映画と、東アジアの政治史を考察するドキュメンタリー映画を上映するスクリーニング展覧会『境界−プロキノに寄せて』を開催する。

日本プロレタリア映画同盟(略称:プロキノ)は、1929年に結成。ニュース映画やアニメーション制作に取り組んだが、度重なる弾圧とメンバーの検束によって1934年に解体。作品は散逸してしまっていたが、80年代にわずかな記録が有志の手で発掘された。

本展では、会場1階で労働闘争やメーデーに関するプロキノ製作のニュース映画を液晶モニタで流すとともに、会場2階では、近年、東アジアで制作されたドキュメンタリー映画4本の上映を行なう。佐藤満夫山岡強一の「山谷−やられたらやりかえせ」は、浅草ちかくの日雇労働者エリア(ドヤ街)山谷で、搾取に抵抗する労働者を描いた映画。労働者の生活と暴力団との関係を描くことになった同作は制作過程で佐藤が、その後、山岡が命を奪われることとなった。イム・フンスンの「済州島の祈り人」は、レッド・パージのはてに1948年に起きた島民虐殺事件(済州島四・三事件)を、生存者のインタビューをもとに過去に遡及して描いたドキュメンタリー。「歴史の血痕」は、アジアの歴史的紛争をテーマとした作品で知られるジェームズ・T・ホングイン・ジュ・チェンと共同で制作した作品。中国ハルピンで起こった日本軍による生物兵器の被害者が、現在高齢となってどのような状況にあるかを記録している。「首相官邸の前で」は、小熊英二が反核デモ参加者のiPhoneによる撮影映像などを素材に編集を行ない、現代日本の政治運動を再定義した映画作品。

会期中には、視覚社会史研究者の足立元を招き、レクチャー「プロキノの時代」を開催。そのほかの関連イベントは、公式ウェブサイトにて随時告知を行なう予定。なお、本展に先立ち、アサクサでは、ルーマニア生まれでスーダン国籍を持つ政治風刺画家、ハリド・アルバーの個展を5月9日から11日まで開催している。アルバーは漫画を意味するCartoonとスーダンの首都Khartoumをかけ合わせた造語「Khartoon!」のアカウント名でソーシャルメディアに風刺画を投稿したり、ガーディアン紙やアルジャジーラなどへの寄稿も行なう。同展では1週間にわたる浅草での滞在を通して制作した新作を発表している。

上映プログラム
ニュース映画
プロキノ京都支部「山宣渡政労農葬」1929年、12分
東京プロキノ「第12回東京メーデー」1931年、7分
プロキノ「土地」1931年、8分
プロキノ「全線」1932年、9分

ドキュメンタリーシネマ
12:00-|佐藤満夫・山岡強一「山谷−やられたらやりかえせ」1985年、110分
14:00-|イム・フンスン「済州島の祈り人」2012年、93分
16:00-|ジェームズ・T・ホング&イン・ジュ・チェン「歴史の血痕」2010年、52分
17:00-|小熊英二「首相官邸の前で」2015年、104分

関連企画
レクチャー「プロキノとその時代」
ゲスト講師:足立元(視覚社会史研究者)
2017年5月15日(月)19:00-21:00
会場:アサクサ

『ハリド・アルバー』
2017年5月9日(火)-5月11日(木)
アサクサ
開廊時間:12:00-19:00
会期中無休
企画:アサクサ、マテウシ・サピジャ

関連企画
アーティスト来日トーク
アラブの春とソーシャルメディア
2017年5月11日(木)20:00-21:30
会場:Cafe Lavanderia
http://cafelavanderia.blogspot.jp/

Copyrighted Image