ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて @ 水戸芸術館現代美術ギャラリー

ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて
2018年2月10日(土)-5月6日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
http://www.arttowermito.or.jp/
開館時間:9:30-18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、2/12、4/30は開館)、2/13、5/1

企画:山峰潤也(水戸芸術館現代美術センター学芸員)

水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、インターネットの普及から20年以上が経ち、SNSやスマートフォンが社会へと浸透し、人工知能や仮想通貨といった新しい技術が進歩するなか、新しい技術や刻々と変化する時代に応答する表現に試みるアーティストを紹介する企画展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』を開催する。

本展を企画した山峰潤也は、マーシャル・マクルーハンの「芸術は、いわば「危険早期発見装置」である。そのおかげでわれわれは、社会的、精神的危険の兆候をいち早く発見でき、余裕をもってそれに対処する準備をすることが出来るのである」という言葉を引き、テクノロジーの革新とそれが生み出す混沌を前に、これからの社会を考える機会として本展を提示する。


セシル・B・エヴァンス「溢れだした」2016年 Courtesy of the artist and Emanuel Layr Galerie, Vienna ※本作品は、約18分間のロボットによるパフォーマンス作品。パフォーマンスの上演時間については水戸芸術館HPを参照。

出品作家のセシル・B・エヴァンスは、新しい技術が人間の感情や行動にどのような影響をもたらすのかという問いをテーマに制作してきた。本展では、Pepperやaiboといったロボットや20数面のモニタをプログラミングしたパフォーマンス型のインスタレーション「溢れだした」を発表する(パフォーマンスの上映時間は公式ウェブサイトを参照)。ヴェネツィア・ビエンナーレの企画展参加やニュージーランド館での個展開催といった経験を持つサイモン・デニーは、同時代のメディア環境に着目し、情報テクノロジーの経済や社会への浸透を考察する制作活動を展開してきた。本展では、世界的に広まりつつある仮想通貨のコアシステム「ブロックチェーン」をテーマに、新しい貨幣システムの背景にある思想やその展望をボードゲームの形式で表現した作品を発表する。また、日本のインターネット・アートを約20年にわたって牽引し、現在はニューヨークを拠点に活動するアート・ユニット、エキソニモ(赤岩やえ・千房けん輔)は、「キス、または二台のモニタ」(2017)と本展のために制作された新作インスタレーションを発表する。上述した3名はそれぞれ展覧会が開幕した最初の3日間にゲストを交えたトーク・イベントを開催する。


谷口暁彦「address(アドレス)」2010年~


ヒト・シュタイエル「他人から身を隠す方法:ひどく説教じみた.MOVファイル」2013年 Courtesy of the artist and Andrew Kreps Gallery, New York ※クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)の条件(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.ja) に同意する方は本画像の利用可。

また、現実と情報空間の行き来や差異をテーマに、さまざまな形態の作品を発表してきた谷口暁彦は、監視カメラを操作し撮影した画像を合成した写真作品「address」(2010-)を、映像史やメディア論を背景とした理論と実践の両面から、政治的、社会的問題にアプローチするヒト・シュタイエルは、デジタル技術が浸透した社会でいかに他人から身を隠すことができるかを、ユーモアと皮肉を交えてレクチャー形式で説く映像作品「他人から身を隠す方法:ひどく説教じみた.MOVファイル」(2013)を発表。そのほか、小林健太はテクノロジーと身体感覚の呼応やずれを主題とした写真作品、デヴィッド・ブランディは、高度に発達した社会が破滅する映像を、インターネット上のデータをもとに生成する過程を提示する映像作品を出品。レイチェル・マクリーンは、登場人物のすべてを自ら演じ、SNSに依存しきった人間のドラマを映像作品によって描き出す。


レイチェル・マクリーン「大切なのは中身」2016年 
Commissioned by HOME, University of Salford Art Collection, Tate, Zabludowicz Collection, Frieze Film and Channel 4.

また、水戸芸術館現代美術ギャラリーでは市民のサポートのもと、若手作家の新作を中心に紹介するプログラム「クリテリオム」にて、益永梢子(1980年大阪府生まれ)の個展を同時開催する。益永は日常の所作や思考の跡が表れるような作品の制作を通し、絵画と空間の関係性、そして絵画の可能性を探求している。2001年に成安造形短期大学造形芸術科を卒業。2006年より東京を拠点に活動し、継続的に作品の発表を続けてきた。昨年は『VOCA展2017 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』に出品。本展では、アクリルボックスを使った絵画作品を中心に発表する。

本展会期中の3月11日から4月8日の期間には、高校生を対象にした毎年恒例の展覧会無料招待企画「高校生ウィーク2018」を開催。同期間にはカフェスペースを開設し、ワークショップや読書、裁縫などさまざまなプログラムを実施。詳細は公式ウェブサイトを参照。


エキソニモ「キス、または二台のモニタ」2017年

関連企画
ハロー・ワールド展 トーク・シリーズ
セシル・B・エヴァンス x 久保田晃弘(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授)
2018年2月10日(土)13:30-15:00(開場:13:00)※日英逐次通訳
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室
定員:70名(先着順・予約不要)※開始2時間前から会場前で整理券配布
無料(展覧会入場料に含まれる)

サイモン・デニー x 江渡浩一郎(独立行政法人産業技術総合研究所/ニコニコ学会β/メディアアーティスト)
2018年2月11日(日)16:00-17:30(開場:15:30)※日英逐次通訳
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室
定員:70名(先着順・予約不要)※開始2時間前から会場前で整理券配布
無料(展覧会入場料に含まれる)

エキソニモ(赤岩やえ・千房けん輔)x 砂山太一(京都市立芸術大学特任講師)x 水野勝仁(甲南女子大学文学部メディア表現学科講師)
2018年2月12日(月)14:00-15:30(開場:13:30)※日英逐次通訳
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室
定員:70名(先着順・予約不要)※開始2時間前から会場前で整理券配布
無料(展覧会入場料に含まれる)

教育プログラム
高校生ウィーク2018
2018年3月11日(日)-4月8日(日)
招待対象:高校生または15〜18歳の方(学籍または年齢が証明できるものを持参)
カフェ開場時間(火-金)15:00-18:00(土、日、祝)13:00-18:00
カフェ会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室

※そのほかの関連企画は公式ウェブサイトを参照


益永梢子「binder」2016年

クリテリオム93 益永梢子
2018年2月10日(土)-5月6日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー第9室
企画:井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)

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