「グリーンランド」中谷芙二子+宇吉郎展 @ 銀座メゾンエルメス フォーラム

Image taken in Greenland by Fujiko Nakaya, 1994

「グリーンランド」中谷芙二子+宇吉郎展
2017年12月22日(金)- 2018年3月4日(日)
銀座メゾンエルメス フォーラム
www.hermes.com
開館時間:11:00-20:00(日曜は19:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:不定休 (エルメス銀座店の営業時間に準ずる。)

銀座メゾンエルメス フォーラムは、霧のアーティストとして国際的に活躍する中谷芙二子と、その父・宇吉郎の展覧会『グリーンランド』を開催する。

中谷芙二子(1933年札幌生まれ、東京在住)は米国ノースウェスタン大学卒業後、初期の絵画制作を経て、1966年にニューヨークで結成され、芸術と科学の協働を理念とした実験グループ「E.A.T.」に参加。1970年の大阪万博ペプシ館にて作家の代名詞である、水を用いた人工霧による「霧の彫刻」を発表する。以降、世界各地で人工霧を用いた環境彫刻、公園、インスタレーション、パフォーマンスなどを手がける。他ジャンルのアーティストとの共同制作も多い。1970年代よりビデオ作品も制作。1972年にはビデオひろばを結成し、その後1980年に原宿に「ビデオギャラリーSCAN」を開廊した。2017年フランス芸術文化勲章コマンドゥール受勲。代表作に「F.O.G.」(ビルバオ・グッゲンハイム美術館、1999年)、「雨月物語―懸崖の滝」(横浜トリエンナーレ、2008年)、「Veil」(フィリップ・ジョンソン「グラスハウス」、2014年)、「London Fog」(テート・モダン、2017年)など。

中谷宇吉郎(1900年-1962年)は日本を代表する科学者のひとりであり、雪氷学の基礎を築いた実験物理学者。1932年から雪の結晶の研究を開始し、1936年に世界で初めて人工的に雪の結晶をつくることに成功。1952年からは研究の場を米国へと移し、対象もグリーンランドの氷冠にまで広がった。1994年、生誕の地である石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」が開館。

Greenland Glacial Moraine Garden, 1994, Nakaya Ukichiro Museum of Snow and Ice, Kaga, Japan (Permanent Installation) Photo: Tamotsu Ushiozu

Three-branched crystal ©Kaga City, Nakaya Ukichiro Foundation

本展は晩年の宇吉郎が雪氷研究に打ち込んだ地、グリーンランドをタイトルに掲げ、銀座メゾンエルメスのガラスブロックを氷の大地に見立て、室内での霧の実験に挑むもの。「氷のことは氷に聞かないと分からない」――宇吉郎が遺したユーモラスな言葉の数々は、雄大な自然と溶け合うときの、科学以前の心身の感動と、対象に寄り添う自然科学研究の厳しさ、尊さを私たちに伝えている。父が1957年から四度の夏を北極圏で過ごす頃、芙二子はパリとマドリードで絵画を学び、その後の作家表現の基盤を養いつつあった。当時描かれた太陽や雲といった自然科学的なモチーフには、場所を隔てて響き合う二つの感性を見出すことができるだろう。

Foggy Forest, 1992, Showa Kinen Park, Tachikawa, Japan (Permanent Installation) Photo: Shigeo Ogawa

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