ヴァジコ・チャッキアーニ『Moment in and out of time』@ SCAI THE BATHHOUSE


Vajiko Chachkhiani Moment in and out of time (2014) metal, wax, 190×80×40 cm

ヴァジコ・チャッキアーニ『Moment in and out of time』
2018年1月26日(金)-2月24日(土)
SCAI THE BATHHOUSE
http://www.scaithebathhouse.com/
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝
※オープニングレセプション:1月26日(金)18:00-20:00

SCAI THE BATHHOUSEでは、昨年の第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ ジョージア館で個展を開催した同国出身のアーティスト、ヴァジコ・チャッキアーニの個展を開催する。

ヴァジコ・チャッキアーニ(1985年トビリシ生まれ)は、トビリシのジョージア工科大学、アムステルダムのヘリット・リートフェスト・アカデミーを経て、2009年から2013年までベルリン芸術大学にてグレゴール・シュナイダーに師事。現在はトビリシとベルリンを拠点に活動している。現実という素材の自然な色に手を加えることなく事物に向き合ったアルテ・ポーヴェラを受け継ぎながら、歴史の外傷や個人のトラウマに向き合い、人や素材の存在を媒介するような彫刻やインスタレーションを発表している。2000年代後半より本格的な発表を開始し、2014年にはドイツのジーゲン現代美術館での個展『Both』を開催。昨年は上述したヴェネツィア・ビエンナーレのほか、第15回イスタンブール・ビエンナーレへの参加やフューチャー・ジェネレーション・アート・プライズへのノミネートを果たしている。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ジョージア館の個展『A Living Dog in the Midst of Dead Lions(死んだライオンに囲まれ生きる犬)』では、ジョージアの鉱山にあった古いカントリーハウスを展示会場に移設し、その内側に雨を降らせた。また、24時間かけて椅子に座る父の足をコンクリートで固めた彫刻作品「Father」(2014)や、崖を落下し崩壊する玄武岩を撮影した「We Drive Far, You in Front(君を前に乗せ遠くまでドライブ)」(2016)など、社会的な出来事を代弁する象徴を用い、個人の経験と現実のあいだの溝を暴きながら、鑑賞者の心理の深部を照らし出す作品を発表している。

日本では初めての作品発表となる本展では、歴史の外傷的な出来事に晒された人間の心理の状態を探る複数の作品を発表する。展覧会タイトルと同名の「Moment in and out of time(時を行き来する瞬間)」(2014)は、監禁用の独房から引き剥がされた金属製の扉を使用した作品。のぞき穴を蝋燭で塞ぐというわずかな介入によって、ふたつの世界を遮断し、独房の扉の暴力的な性格を強調する。映像作品「Winter which was not there(そこにはなかった冬)」(2017)とともに、「状況に直接手を下すことなく、ある種の抵抗を生み出すこと」が制作の目的であると語るチャッキアーニの作品は、ジョージアにおける時事問題、文学や詩のトピックと交差しながら、孤独、暴力、怒りなどの内的な条件に呼応する。


Vajiko Chachkhiani Winter which was not there (2017) HD video projection, 12’30″


Vajiko Chachkhiani Winter which was not there (2017) HD video projection, 12’30″

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