殿敷侃:逆流の生まれるところ @ 広島市現代美術館


殿敷侃「HYDROGEN BOMB(2)」1981年 広島市現代美術館蔵

殿敷侃:逆流の生まれるところ
2017年3月18日(土)-5月21日(日)
広島市現代美術館
https://www.hiroshima-moca.jp/
開館時間:10:00-17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/20は開館)、3/21

企画:松岡剛(広島市現代美術館学芸員)

広島市現代美術館では、30年足らずの制作活動において、目まぐるしく作風を変え、多様な展開を遂げた殿敷侃の全貌に迫る展覧会『殿敷侃:逆流の生まれるところ』を開催する。

殿敷侃は1942年広島生まれ。幼少期に原爆により父親を亡くし、母親も5年後に病死する。殿敷自身、原爆投下当日は疎開先にいたが、数日後に広島市内に戻り二次被爆した。20代で働きながら絵画を中心に制作、広島青年アンデパンダン展を白井史朗、藪野圭一とともに組織。71年に活動の拠点を山口県長門市に移し、両親と自身の被爆体験に向き合い、緻密な点描による絵画、版画作品を制作。美術評論家の久保貞次郎の勧めで銅版画も手がけはじめる。80年代の殿敷の制作にはウォーホルやボイスの影響も見られ、制作に取り組み、さらにシルクスクリーンを使ったインスタレーションへと展開していく。81年には原爆ドームの前に原子雲の写真を刷ったキャンバスを並べた「EVENT ATOMIC BOMB」を発表。80年代半ばより、廃棄物や漂流物などを使った大規模なインスタレーションを発表。消費社会や環境破壊に向けられた問題意識に基づく創作として高い評価を受け、国内外の展覧会で発表を重ねていくが、92年2月11日に肝臓癌のため死去。翌年、下関市立美術館で追悼展『殿敷侃展・遺されたメッセージ・アートから社会へ』(1993)が開催された。また、ヨコハマトリエンナーレ2014では、浜辺に掘った穴に漂流物を詰めて焼き上げたオブジェ「山口−日本海−二位ノ浜 お好み焼き[重量約2トン]」や「ジュピター」が出品されている。

本展では、現存する作品はもちろん、一時的なインスタレーションとして実作品が残されていない晩年の活動の記録や関連資料を交えて殿敷の活動を包括的に紹介する。本展タイトルの「逆流」とは、忘れられた記憶や、脇に追いやられた存在が、強引に人々の意識に現れる様を意味しており、晩年の殿敷が自身の制作に対して用いた言葉に由来する。会期中には、殿敷と親交があった陶芸作家の十二代 三輪休雪、ドイツ思想の研究とともにヒロシマについての思考を重ねている研究者の柿木伸之による講演会や、殿敷の作品制作を手がけたプリンターの斉藤伸三を講師に迎えたシルクスクリーン版画を体験するワークショップを開催する。


殿敷侃「山口−日本海−二位ノ浜 お好み焼き」1997年 写真:読売新聞社

関連企画
講演会
講師:十二代 三輪休雪(陶芸作家)
2017年4月8日(土)14:00-15:30
会場:広島市現代美術館地下1階ミュージアムスタジオ
要展覧会チケット(半券可)、事前申込不要

講演会
講師:柿木伸之(広島市立大学准教授・哲学、美学)
2017年4月29日(土)14:00-15:30
会場:広島市現代美術館地下1階ミュージアムスタジオ
要展覧会チケット(半券可)、事前申込不要

ワークショップ「シルクスクリーンを体験してみよう」
講師:斉藤伸三(スクリーン印刷・殿敷侃制作協力者)
2017年4月23日(日)13:30-17:00
定員:20名(無料)
※要事前申込、申込多数の場合は抽選
申込は公式ウェブサイトより。締切は4/9(必着)

※上記以外の関連イベントは、美術館公式ウェブサイトを参照。


殿敷侃「は 2」1970年


殿敷侃「釋寛量信士(鉄かぶと)」1977年 個人蔵

同時期開催
コレクション展 2017-Ⅰ
コレクション・ハイライト+特集1「実験的映像」、特集2「シルクスクリーン、いろいろ」
2017年3月18日(土)-5月7日(日)

ゲンビ『広島ブランド』デザイン公募2016
2017年3月18日(土)-3 月31日(金)

オープン・プログラム
特別展示 ル・コルビュジエの建築模型
2016年10月25日(火)-2017年3月26日(日)

ビデオアートプログラムB
ロバート・スミッソン
2017年3月18日(土)-5月28日(日)
上映作品:ロバート・スミッソン「スパイラル・ジェティ」1970年

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