BODY/PLAY/POLITICS @ 横浜美術館


イー・イラン「サンタイ」2016年、ジクレー・プリント、106×205cm ©Yee I-Lann

BODY/PLAY/POLITICS
2016年10月1日(土)-12月14日(水)
横浜美術館
http://yokohama.art.museum/
開館時間:10:00-18:00 入館は閉館30分前まで
※10月28日(金)は20:30まで開館(入館は20:00まで)
休館日:木(11/3は無料開館)、11/4

特設ウェブサイト:
http://yokohama.art.museum/special/2016/bodyplaypolitics/

展覧会担当: 木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)

横浜美術館では、ヨーロッパとアフリカ、東南アジア、そして日本で、さまざまな表現活動を展開する現代のアーティストの作品を「身体のイメージ」をキーワードに紹介する展覧会『BODY/PLAY/POLITICS』を開催する。参加アーティストは、インカ・ショニバレMBE、イー・イラン、アピチャッポン・ウィーラセタクン、ウダム・チャン・グエン、石川竜一、田村友一郎の6名。

アフリカ系のルーツを持ち、人種、社会階級、植民地主義をテーマとした作品で知られるインカ・ショニバレMBE(1962年ロンドン生まれ)は、立体作品に加え、植民地主義の時代を歴史的背景に持つ「アフリカ更紗」で作られた19世紀フランス風のドレスを纏った黒人女性が、ヴェルディ作曲のオペラ『椿姫』のヒロイン、ヴィオレッタに扮して、アリア「Addio del Passato(さようなら、過ぎ去った日々よ)」を歌いあげる映像作品を出品。

東南アジアの社会構造や歴史に対する綿密な検証をもとに作品制作するイー・イラン(1971年マレーシア、サバ生まれ)の作品には、しばしば「髪」がモチーフとして登場する。本展では東南アジアの民間伝承において、長い髪を振り乱した白い衣を纏った女性の姿で描かれる幽霊「ポンティアナック」を扱った映像インスタレーションを発表する。

アピチャッポン・ウィーラセタクン(1970年バンコク生まれ)は、最新作『光りの墓』の公開のほか、今年は国内複数箇所での作品発表が続き、現在もさいたまトリエンナーレに参加中、東京都写真美術館での個展も控えている。本展では近年新たに取り組んでいるシリーズより、ビデオ・インスタレーション「炎(扇風機)」などを日本で初めて披露する。

ウダム・チャン・グエン(1971年ベトナム、コンツム生まれ)は、アメリカでの美術教育を経て、現在はホーチミンを拠点に活動。パフォーマンスを軸とした表現を展開する彼は、本展ではホーチミンの古い市街地を縦横無尽に走り回るオートバイによって都市が持つ気配や歴史を浮かび上がらせる映像インスタレーション「ヘビの尻尾」などを発表。

木村伊兵衛写真賞や日本写真協会賞新人賞受賞作家の石川竜一(1984年沖縄県生まれ)は、沖縄と県外各地で撮影した初公開作品のポートレートと、ふたりの人物を数年に渡って取材している新シリーズを展示。会期中には、アーティスト・コレクティブ「野生派」としてライブパフォーマンスの上演も行なう。

田村友一郎は1977年富山県生まれ。多彩な手法を通じて、ある土地の記憶や歴史を、時空を超えた新たな物語へと変換し、その現代的意味を問う作品を発表してきた。本展で発表する新作映像インスタレーションは、19世紀のプロイセン王国で誕生し、やがてヨーロッパからアメリカへ伝播、戦後のGHQ占領下の横浜から日本へともたらされた近代ボディビルディングに注目し、ある小説家の物語を展開。会期中には東京デスロック主宰の多田淳之介とのワークショップを実施する。

そのほか、会期初日にはウダム・チャン・グエンとアピチャッポン・ウィーラセタクンによるアーティスト・トーク、会期2日目の10月2日はイー・イランに加え、国内外の専門家を招き、日本、マレーシア、インドネシア美術の20世紀について語るフォーラムを開催。また、来年1月に開幕する「横浜ダンスコレクション2017」とも連携し、美術とダンスの両面から身体が生み出す表現を掘り下げる。


インカ・ショニバレ MBE「さようなら、過ぎ去った日々よ」2011年、シングル・チャンネル・ビデオ、Courtesy the artist and James Cohan Gallery, New York


ウダム・チャン・グエン「ヘビの尻尾」より(部分)2015年、ビデオ・インスタレーション(3 面) ©UuDam Tran Nguyen. Courtesy of the artist.


アピチャッポン・ウィーラセタクン「炎(扇風機)」2016年、シングル・チャンネル・ビデオ・インスタレーション、Courtesy of Apichatpong Weerasethakul

関連企画
アーティスト・トーク
出演:ウダム・チャン・グエン
アピチャッポン・ウィーラセタクン
2016年10月1日(土)13:45-16:30(開場:13:15)
会場:横浜美術館円形フォーラム
定員:100名(先着順、事前申込不要)無料

アジア・アートウィーク フォーラム「波紋−日本、マレーシア、インドネシア美術の20世紀」
2016年10月2日(日)
定員:各部100名(事前申込不要、先着順)
第1部|13:00-16:00(開場:12:30)
会場:横浜美術館円形フォーラム
基調講演|13:00-14:00
「1868-1945/幕末から第2次世界大戦にかけての日本人の身体観と美術」
講師:河田明久(千葉工業大学教授)
セッション1|14:00-16:00
「1950年代以降のマーレシア、インドネシアにおけるフェミニズム運動−アーティストの視点から」
パネリスト:イー・イラン(本展出品作家・美術家)、小勝禮子(近現代美術史・美術批評)
モデレーター:木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)
第2部|17:30-20:30(開場:17:00)
会場:高架下スタジオ Site-D集会場
セッション2|17:30-19:30
「小野佐世男と1940年代のインドネシア美術」
パネリスト:アンタリクサ(歴史家/クンチ・カルチュラル・スタディーズセンター共同設立者)、小野耕世(日本マンガ学会会長)
モデレーター:山野真悟(黄金町バザールディレクター)
ディスカッション|19:30-20:30
出演:パネリスト、主要出品作家


石川竜一「浦添、グッピーの手」2016年、インクジェット・プリント ©Ryuichi Ishikawa

ライブパフォーマンス 野生派:curryなる3つめの事故(wifiじゃないから聞こえないっす)
出演:野生派(石川竜一+吉濱翔+ミヤギフトシ+渡辺郷+ルーベン・キーハン+木村絵理子)
2016年10月28日(金)19:00-20:30(※当日、横浜美術館は20:30まで開館)
会場:横浜美術館グランドギャラリー
※事前申込不要、参加無料
※アフタートークあり

夜の美術館でアートクルーズ
① 2016年10月26日(水)19:00-21:00
解説:木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)
ゲスト:石川竜一
会場:横浜美術館企画展展示室
定員:70名(18歳以上、事前申込、先着順)
参加費:3,000円
※申込は公式ウェブサイトを参照

② 2016年11月26日(土)19:00-21:00
解説:木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)
ゲスト:田村友一郎
会場:横浜美術館企画展展示室
定員:70名(18歳以上、事前申込、先着順)
参加費:3,000円
※申込は公式ウェブサイトを参照

横浜美術館x横浜赤レンガ倉庫1号館 共同企画
ワークショップ
ゲスト:多田淳之介(東京デスロック主宰/富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ芸術監督/「横浜ダンスコレクション2017」参加アーティスト)
田村友一郎(本展出品作家)
2016年12月4日(日)開催予定
※詳細は公式ウェブサイトを参照。


田村友一郎「裏切りの海」より、2016年

パートナー・プロジェクト
横浜ダンスコレクション2017 BODY/PLAY/POLITICS
2017年1月26日(木)-2月19日(日)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館及び屋外広場、横浜にぎわい座 のげシャーレ
参加アーティスト:ダミアン・ジャレ、名和晃平、多田淳之介、アイサ・ホクソンほか
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/

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