ヴィデオ・スクリーニング1:レイモンド・ペティボン @ 現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリー

ヴィデオ・スクリーニング1
レイモンド・ペティボン
2017年5月15日(月)-6月23日(金)
現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリー
http://cca-kitakyushu.org/
開廊時間:10:00-17:00
休廊日:土、日、祝

現代美術センターCCA北九州では、CCA所蔵のヴィデオ・アーカイヴからヴィデオ作品を紹介する企画「ヴィデオ・スクリーニング」の2017年度第1回目を開催。アメリカ合衆国のカルチャーや神話、歴史を扱った手書きのテキストを組み合わせたコミック風のドローイング作品で知られるアーティスト、レイモンド・ペティボンが1989年に手がけたヴィデオ作品「The Whole World is Watching – Weatherman ‘69」の上映を行なう。

レイモンド・ペティボンは1957年アメリカ合衆国アリゾナ州タクソン生まれ。両親とともに移住したロサンゼルスで育ち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では経済学を専攻する。在学中に学生新聞に政治的な作品を投稿し、アーティストとしての活動を開始。西海岸を拠点にチラシやポスター、ステッカー、実兄が活動するバンド「ブラック・フラッグ」のレコードジャケットやソニック・ユースのアルバムジャケットなどのアートワークを制作、同人誌などにドローイングを発表していく。90年代に入ると、ロサンゼルスの新世代のアーティストを紹介した『ヘルター・スケルター』(1992)や『ホイットニー・バイアニュアル』(1993)に参加。その後も、ヴェネツィア・ビエンナーレ(1999、2007)やドクメンタ11(2002)など、世界各地の国際展や企画展で作品を発表。2002年には東京オペラシティ アートギャラリーでも個展を開催している。昨年、ハンブルク現代美術館で開催した大規模な回顧展『Homo Americanus』に続き、今年もニューヨークのニューミュージアムで大規模個展『A Pen of All Work』を開催している。

今回のヴィデオ・スクリーニングで上映される「The Whole World is Watching – Weatherman ‘69」は、ペティボンが60、70年代の西海岸のサブカルチャーを象徴すると言われる、実在した過激な人物やグループを取り上げた4本のヴィデオ作品のひとつ。ペティボン自身のほか、ソニック・ユースのキム・ゴードンやサーストン・ムーア、ミニットメンのマイク・ワットらが出演する本作では、ほぼ無表情による過激なセリフ回し、手持ちのホームビデオによるラフな撮影やカメラ内編集によって、カウンターカルチャーが勃興した60年代の空気を俯瞰的に捉える視点をつくりだしている。同時に、本作は登場人物のファッションや行動を通じて、出演者たち自身が活躍する80年代後半の西海岸の音楽シーンの空気を捉えていると言えるだろう。

Copyrighted Image