呉夏枝『−仮想の島−grandmother island 第1章』@ MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w


呉夏枝、展示予定の作品「地図としての織物・m・k」(部分)亜麻/2017年

呉夏枝『−仮想の島−grandmother island 第1章』
2017年3月4日(土)-3月25日(土)
MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w
http://www.voicegallery.org/
開廊時間:11:00-19:00
休廊日:日、月

MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/wでは、染織や刺繍などの技法や行為を通じて、個人の記憶や物語にアプローチしてきた呉夏枝の個展『−仮想の島−grandmother island 第1章』を開催する。

呉夏枝は1976年大阪府生まれ。2002年に京都市立芸術大学で修士号を取得。ソウルへの留学やカナダ・ヨーク大学アジアリサーチセンターでの客員研究員を経て、2012年には京都市立芸術大学で博士号を取得。現在はオーストラリアと日本を行き来しながら活動を行なう。呉は衣服を象徴や記号的なものではなく、第二の皮膚として捉え、制作活動を通じて、自らのルーツやアイデンティティの探求のみならず、無名の人々の語られなかった歴史や時間を浮かび上がらせていく。昨年は『朝鮮半島の民衆的工芸/POJAGI as a portrait−呉夏枝の写真作品とともに−』(小山市立車屋美術館、2016)に出品。また、オーストラリア・ウォロンゴン大学のTAEM Gallery、小金井アートスポットシャトー2F、国際芸術センター青森で個展を開催。釜山ビエンナーレ特別展『Going Going until I Meet the Tide』(Kiswire Factory、2014)やVOCA展(上野の森美術館、2012)、『Inner Voices−内なる声−』(金沢21世紀美術館、2011)などに参加している。そのほか、染織関連のワークショップも多数実施。大阪・西成区のBreaker Projectと取り組んだワークショップをきっかけに、同地区にkioku手芸館「たんす」が開設された。

呉が新たに取り組んでいるgrandmother islandプロジェクトは、それぞれの人の歴史や物語を、国という場や枠組みをとりはらった「私たち」のものとして記憶し、共有するためのプロジェクト。呉は居場所となる仮想の島の名前を「grandmother island」と名付けた。場をあらわす経糸と時間をあらわす緯糸の積み重ねとしての布は、<私たち>の存在の証。史実や個人的記憶や想像が織り込まれたかのような布は、grandmother island の地図であり、そこへたどり着くための海図となる。呉はプロジェクトの第 1 章として位置付けられる本展を皮切りに、ワークショップや展覧会を重ねながら、仮想の島やそこへつながる海路を導き出していく。


呉夏枝、インスタレーションのアイデアスケッチ「grandmother island 展のためのスケッチ」紙に透明水彩/30×40cm/2017年

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