ローレンス・ウィナー『WATER & SOME OF ITS FORMS』@ TARO NASU


LEFT IN A CLEFT OF A TREE © 2017 Lawrence Weiner / ARS, New York / JASPAR, Tokyo, Courtesy of TARO NASU

ローレンス・ウィナー『WATER & SOME OF ITS FORMS』
2018年1月13日(土)-2月10日(土)
TARO NASU
http://www.taronasugallery.com/
開廊時間:10:00-18:00
休廊日:日、月、祝
※レセプション:1月13日(土)17:00-19:00

TARO NASUでは、1960年代に台頭したコンセプチュアル・アートの中心的人物のひとりで、タイポグラフィによる作品制作で知られるローレンス・ウィナーの個展『WATER & SOME OF ITS FORMS』を開催する。

ローレンス・ウィナー(1942年ニューヨーク生まれ)は、60年代後半より言語を素材に、論理や時間、空間に対する鑑賞者の認識に働きかける作品を制作している。ドクメンタ(1972、1977、1982、2012)やヴェネツィア・ビエンナーレ(1972、1984、2003、2013)をはじめ、数多くの展覧会に参加。ハーシュホーン美術館彫刻庭園(1990)、ウォーカー・アートセンター(1994)、ウォルフスブルク市立美術館(2000)などで個展を開催し、2007年には初の回顧展『AS FAR AS THE EYE CAN SEE』をロサンゼルス現代美術館とホイットニー美術館で開催。その後もバルセロナ現代美術館(2013)、アムステルダム市立美術館(2014)、ブレゲンツ美術館(2016)、ペレス美術館(マイアミ、2017)などで個展を開催している。

「WATER & SOME OF ITS FORMS(水とその形態のいくつか)」と題された本展では、水、塩水、淡水、中性子、黒鉛といった単語と、それらを関係付ける文や記号、図形などからなる新作を発表する。水、塩水、淡水といった物質的な対象は、視覚ではなく、機能、性質、状態などを示す言語の働きによって分類される。また、文や記号、図形はそれらの間に現実では起こりえない捻れた関係をつくりだす。

本展には英語とともに日本語が使用されているが、それらの日本語は、ウィナーが用意した英語のテキストに対して画廊側が複数の日本語訳を用意し、翻訳のニュアンスに踏み込んだディスカッションを通じて、最終的にウィナー自身が選択するという過程を経ている。こうした制作過程には、言葉と文字が容器となって運ぶ意味や心象における、翻訳しようにも翻訳しきれないものこそが文化の本質であるというウィナーの確信の影響を窺うことができる。

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