未来の痕跡−東南アジアの現代美術 @ ミヅマアートギャラリー


インディゲリラ「Living Immensely」2017年 ©indieguerillas, Courtesy Mizuma Art Gallery

未来の痕跡−東南アジアの現代美術
2017年6月21日(水)-7月15日(土)
ミヅマアートギャラリー
http://www.mizuma-art.co.jp/
開廊時間:11:00-19:00
休廊日:日、月、祝

キュレーター:ヘルマント・ソエルジャント

ミヅマアートギャラリーでは、ジャカルタのアートスペースGaris Art Spaceのキュレーターとしても数々の展覧会を手がけるヘルマント・ソエルジャントを迎え、ロバート・ザオ・レンフイ、アンキ・プルバンドノ、アガン・ハラハップ、マーク・フスティニアーニ、インディゲリラ(ミコ・バウォノ&サンティ・アリエスティオワンティ)、ヘリ・ドノという6人/組の作品を「素材への大胆な試み」、「常識への懐疑」、「伝統美術と現在のポップカルチャーの融合」という共通したテーマのもとに紹介する展覧会『未来の痕跡−東南アジアの現代美術』を開催する。

出品作家のヘリ・ドノ(1960年ジャカルタ生まれ)は、インドネシアの伝統的な影絵(ワヤン・クリ)や音楽(ガムラン)を参照した現代社会への批評的視点を備えた作品でインドネシアを代表するアーティストのひとりとして知られる。90年代に東南アジアに注目が集まる中で、サンパウロ・ビエンナーレ(1996)や『Cities on the Move』(1997)といった国際的な展覧会だけでなく、日本国内においても数々の展覧会で作品を発表している。2015年の第56回ヴェネツィア・ビエンナーレではインドネシア館代表として個展を開催した。昨年はミヅマアートギャラリーで個展を開催し、今年も7月から森美術館と国立新美術館で同時開催される『サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで』展で作品を発表する。


ヘリ・ドノ「The Culture of Knives that Transform into Flowers」2017年 ©Heri Dono, Courtesy of Mizuma Art Gallery


アンキ・プルバンドノ「Sorry No Pictures Today (3)」2017年 ©Angki Purbandono, Courtesy Mizuma Art Gallery


アガン・ハラハップ「When I Have to Fight Myself #3」2016年 ©Agan Harahap, Courtesy Mizuma Art Gallery

アンキ・ブルバンドノ(1971年スマラン生まれ)は路上で販売されている日用品や古写真、路上に捨てられたゴミなどを組み合わせ、スキャナーを使ってデータ化し、拡大プリントする「scanography」という独自の方法のもとに制作された写真作品で知られる。東南アジアを中心に数多くの展覧会に参加しており、第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009参加の際は福岡で滞在制作を行なっている。現在、バンコク大学ギャラリーで個展『Grey Area』を開催している。

アガン・ハラハップ(1980年ジャカルタ生まれ)は、デジタル技術を駆使したモンタージュ技法によって、報道写真の中にスーパーマンやバットマン、ダース・ベイダーなどを組み込むなど、自身で考えた非現実的なシナリオをもとにしたイメージを制作している。昨年は第5回シンガポール・ビエンナーレや第11回上海ビエンナーレにも出品。本展では、1950年代に活躍したプロボクサーのロッキー・マルシアノと映画『ロッキー』でロッキー役を演じたシルヴェスター・スタローンが戦うイメージをつくりだした新作「When I Have to Fight Myself」を発表する。

同じくインドネシアを拠点に活動するインディゲリラは、ミコ・バウォノとサンティ・アリエスティオワンティが1999年に結成。2000年代より拡がるインドネシアのオルタナティブシーンに呼応するように、インテリアデザインとビジュアルコミュニケーションを背景とした彼らの制作活動は絵画やインスタレーションのみならず印刷媒体など多岐に展開している。その伝統文化をポピュラーカルチャーに結びつけた制作活動は高い評価を受けており、昨年はアジアの現代美術の新進アーティストを対象としたプルデンシャル・アイ・アワードのインスタレーション部門にノミネートされた。また、日本国内では2015年にミヅマアートギャラリーで天明屋尚との二人展を開催している。


マーク・フスティニアーニ「Debris」(部分)2017年 ©Mark Justiniani, Courtesy Mizuma Art Gallery

フィリピンのマニラを拠点に活動するマーク・フスティニアーニ(1966年フィリピン、バコロド生まれ)は、1980年代から90年代に起きたサリンプーサやサンガワといったフィリピンのソーシャルリアリズムの系譜に連なる芸術運動にも関わり、壁画制作などを行なう。近年は人間の知覚への関心から鏡や光を駆使して錯覚を誘発するインスタレーションを展開している。今夏開幕のヨコハマトリエンナーレ2017への参加も発表されている。

ロバート・ザオ・レンフイ(1983年シンガポール生まれ)は、「インスティテュート・オブ・クリティカル・ズーロジスト」という名の下に、動物学や人間の動物への眼差しに批評的なアプローチでリサーチを展開し、虚実を交えた作品を発表している。上述のプルデンシャル・アイ・アワード2016の写真部門やアジア太平洋酒造協会基金芸術賞2014の最終候補に選出された。2010年には福岡アジア美術館で滞在制作と個展『クジラの白:モビー・ディック目撃(1982-2008)』を開催している。


ロバート・ザオ・レンフイ「Kings」2009-2017年
©Robert Zhao Renhui, Courtesy Mizuma Art Gallery

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