装飾は流転する 「今」と向きあう7つの方法 @ 東京都庭園美術館

装飾は流転する 「今」と向きあう7つの方法
2017年11月18日(土)-2018年2月25日(日)
東京都庭園美術館
http://www.teien-art-museum.ne.jp/
開館時間:10:00-18:00
休館日:第2、第4水曜日および年末年始(12/27-1/4)

東京都庭園美術館では、年齢も国籍も異なる7組のアーティストの作品を通じて、生々しい現実を複雑なまま認識するための切り札としての装飾という行為の可能性を考察する企画展『装飾は流転する 「今」と向きあう7つの方法』を開催する。

装飾は、弔いの儀式や呪術的なタトゥーなどにはじまり、ときに形骸化しつつも、時代と共に新しい意味を伴い変化を繰り返しながら、人類と共に存在してきた。本展に参加する7組のアーティストの装飾へのアプローチは、ゴシック装飾を施したダンプカーや、さまざまな文化圏の模様をリミックスした絨毯、窓の佇まいからそこに住む人の生活や性格を想像した絵画など、多岐にわたる。


ヴィム・デルヴォワ「無題(タイヤ)」2007年 手彫のタイヤ 作家蔵 ©Studio Wim Delvoye, Belgium

参加作家は、ヴィム・デルボワ、ニンケ・コスター、山本麻紀子、山縣良和、髙田安規子・政子、アラヤー・ラートチャムルーンスック、コア・ポア。豚にタトゥーを施した作品や排泄を扱った挑発的な作品や、ヨコハマトリエンナーレ2014で美術館前に設置したゴシック建築の装飾を取り入れた作品など幅広い制作を展開しているヴィム・デルボワは、アール・デコ様式を留める庭園美術館の空間に呼応して、装飾に関わる「ゴシック」、「スーツケース」、「タイヤ」の各シリーズから作品を出品する。日本では初の展示となるニンケ・コスターは、建築のディティールをシリコンで写し取り、家具や彫刻へと変化させた作品で知られる。本展では、異なる様式で建てられた歴史的建造物から装飾を写し取り、椅子へと変化させた代表作「時のエレメント」を出品。山本麻紀子は、ロンドンで実施した「Through The Windows」の連作を展示する。同作品は、見知らぬ人の家の窓を通して見える部屋の様子から物語を想像し、その窓の絵と物語を携えて突然その家の住人を訪ねるというプロジェクト。なお、本展に際し、山本は庭園美術館の近隣でも同プロジェクトを実施している。


ニンケ・コスター「時のエレメント」2015年 シリコーンゴム Photo: David in den Bosch


Right:山縣良和「writtenafterwards – flowers II」2017年AWコレクション Photo: Kenshu Shintsubo. Left:髙田安規子・政子「切り札」(部分)2011年 トランプに刺繍 個人蔵 Photo: 長塚秀人

ファッションブランド「writtenafterwards」の代表、デザイナーの山縣良和は、戦前・戦中・戦後に生きる女性たちをテーマにした2017春夏から2018年春夏まで3期にわたるコレクション「Flowers」を中心としたインスタレーションを発表。軽石を削ることでつくりだしたローマの凱旋門や、トランプのカードに刺繍を施してつくりだしたペルシア絨毯など、小さな日用品に手を加え、尺度や基準の転換を試みる髙田安規子・政子は、新作と旧作を旧朝香宮邸の空間に配置する。個人的な体験や対話に基づいた制作から、アイデンティティや生と死、個人と社会といった普遍的なテーマにアプローチするアラヤー・ラートチャムルーンスックは、遺体安置所に並ぶ遺体に対して、古くから伝わる愛の物語を語る「タイ・メドレー」を上映。ペルシア絨毯の修復職人だったイラン系イギリス人の父親を持つコア・ポアは、幼少期の記憶と結びつくペルシア絨毯に着想を得て、異なる時代や文化圏のモチーフを引用、リミックスしながら制作した絵画を発表する。

会期初日には、アーティストトークを開催する。そのほか、会期中には、山本麻紀子による小学生を対象としたワークショップや、TTM: IGNITION BOXとして、DOMMUNEのイベント「EXTREME QUIET VILLAGE vol.02 〜装飾の生命線」も開催する。申込方法など詳細は公式ウェブサイトを参照。


アラヤー・ラートチャムルーンスック「タイ・メドレーⅢ」2002年


コア・ポア「王様の馬と家来の全部がかかっても」2013年 カンヴァスにアクリル 作家蔵

関連イベント
アーティストトーク
2017年11月18日(土)13:00-
会場:東京都庭園美術館新館ギャラリー2
定員:120名
事前予約制(申込URL
※無料(要展覧会チケット)

ギャラリートーク
2017年11月25日(土)18:30-
事前申込不要


山本麻紀子「窓(ロンドン・カムデンタウン)」2010年 ドローイング 作家蔵 ドローイングと写真で一組

山本麻紀子ワークショップ「落し物のお店」
講師:山本麻紀子
2017年12月9日(土)、12月16日(土)
対象:小学生(※二日間通しのプログラムのため、両日参加できる方のみ)
参加費(二日間):1,500円
事前予約制(11/9より公式ウェブサイトにて予約開始)

TTM: IGNITION BOX
DOMMUNE「EXTREME QUIET VILLAGE」
vol.02 〜装飾の生命線

2018年1月20日(土)13:00-18:00
会場:東京都庭園美術館新館ギャラリー2
定員:90名
事前予約制(12/20より公式ウェブサイトにて予約開始)
※無料(要当日有効の展覧会チケット)

ここクリエイション
響き合う、いまとあなたと
2018年2月4日(日)、2月10日(土)、2月11日(日)3回連続講座
講師:宮内康乃(作曲家)
※日程、詳細決まり次第、公式ウェブサイトにて発表

みんなで作るギャラリー・カンバセーション
「哲学対話の手法を用いたプログラム」
ファシリテーター:神戸和佳子(東京大学)、荻野亮一(慶應義塾大学)
※日程、詳細決まり次第、公式ウェブサイトにて発表

ART iT Archiveヴィム・デルボア「21世紀のオイレンシュピーゲル」(2014年10月)

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