『スリードリフト』@ アサクサ

『スリードリフト』
2017年7月10日(月)-8月7日(月)
アサクサ
http://www.asakusa-o.com/
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:火、水、木、金
協力:HIGURE 15-17 cas、ACTIVE GAMING MEDIA
※ オープニング:7月9日(日)17:00-20:00

企画:アサクサ、フェデリカ・ブッチ

アサクサでは、アサクサレジデントインターンとして東京滞在中のキュレーター、フェデリカ・ブッチとの共同企画として、セラフィン・アルバレス、ローレンス・レック、ザ・チャイニーズ・ルームによるグループ展『スリードリフト』を開催している。ビデオゲームソフトウェアにより実現した3人/組の作品を通じて、コンピュータ上の仮想空間を漂流する。

都市主義や空間理論、ジェンダー研究を専門とする本展キュレーターのフェデリカ・ブッチは、現代美術と建築を媒介する活動を通じて、これらの分野の理解を大衆文化との関係に探っている。メディア理論家マッケンジー・ウォークが著書『ユートピア・リアリズム』(2014)のなかで、ゲーム空間は「新自由主義的な主体が行き着くアトピア(場違いな領域)」であると述べたが、本展では、すでに現実味を失った世界において、ゲーム空間があまりにも現実的に立ち現れるとき、その仮想領域が既存のシステムへの批判となるとのウォークの主張に倣い、観客は3人/組のインタラクティヴな作品がつくりあげる仮想空間を、社会的、政治的、倫理的批判の舞台として体験する。

セラフィン・アルバレス(1985年スペイン・レオン生まれ)は、テクノロジーや科学の発展による、主観的経験の描写の変化に焦点を当てた制作を行なう。本展出品作品「迷宮通路」(2014)では、映画の象徴的なクライマックスシーンの舞台となる回廊に着目し、その一見見過ごされがちな建築要素を3Dにより再現した仮想迷路をつくりあげている。

ローレンス・レック(1982年フランクフルト生まれ)は、ゲームテクノロジーを扱い、スペキュラティヴ(思索的)な世界の仮想空間を構築している。本展出品作品「架空の財産(ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはあなたのもの)」(2015)は、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立美術学院)が中国人の大富豪の手に渡る架空の物語をもとに、上昇志向の文化や過剰な富、それらがイギリスの不動産開発に果たす影響の複雑な関係に言及している。

ブライトンを拠点とするゲーム開発スタジオザ・チャイニーズ・ルームは、「親愛なるエスター」(2012)を出品。音楽、文学、または審美的な要素をゲーム空間のなかで統合した同作は、ある無人島を歩く人物が、愛、喪失、罪悪と贖いに関する個人的な物語の述懐をはじめる一人称のビデオゲーム。

会期中には、アサクサラボラトリー#8として、建築と表現とテクノロジーの境界を探る研究を行なうロンドン大学UCLバートレット建築学校大学院建築学講師のルーク・ピアソンによる講演「ビデオゲーム:皮肉なコンピュテーションの建築様式」を開催する。

関連企画
アサクサラボラトリー#8
講演「ビデオゲーム:皮肉なコンピュテーションの建築様式」
ゲスト講師:ルーク・ピアソン(ロンドン大学UCLバートレット建築学校大学院建築学講師)
2017年7月30日(日)16:30-18:00
※ 英語のみ(通訳不在)


セラフィン・アルバレス「迷宮通路」(2014年)インタラクティヴ映像スチル


ローレンス・レック「架空の財産(ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはあなたのもの」(2015年)インタラクティヴ映像スチル


ザ・チャイニーズ・ルーム「親愛なるエスターへ」(2012年)インタラクティヴ映像スチル

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