ムン&チョン『フリーダム・ヴィレッジ』@ SCAI THE BATHHOUSE


MOON & JEON Feedom Village Arena (2017) Single channel video with sound. 3min. Variable dimension. (still cut)

ムン&チョン『フリーダム・ヴィレッジ』
2017年11月11日(土)-12月16日(土)
SCAI THE BATHHOUSE
http://www.scaithebathhouse.com/
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝
※オープニング:11月11日(土)18:00-20:00

SCAI THE BATHHOUSEでは、2015年の第56回ヴェネツィア・ビエンナーレの韓国館代表として個展を開催したムン&チョンの個展『フリーダム・ヴィレッジ』を開催する。

ムン・キョンウォン(1969年ソウル生まれ)とチョン・ジュンホ(1969年プサン生まれ)は、各自の制作活動のほか、2009年よりアートの社会的機能や役割を考察するプロジェクト「News from Nowhere」を立ち上げ、共同制作を継続している。ふたりの作品は、多分野の専門家とのコラボレーションを重視したリサーチを基に、政治経済からエコロジーまで現代の諸問題を取り上げ、変わりゆく社会の未来像を映し出すものとして、主に映像メディアを通じて発表されている。これまでに、上述した「News from Nowhere」を出品した2012年のドクメンタ13のほか、第9回光州ビエンナーレ(Noon賞受賞、2012)や第5回福岡アジアトリエンナーレ2014に参加。現在、マンチェスターのHOMEで開催中の展覧会『The Return of Memory』にて作品を発表している。

「News from Nowhere」の一貫として制作された「フリーダム・ヴィレッジ」は、北朝鮮と韓国の国境、約4平方キロメートルに敷かれた非武装地帯(DMZ)内に位置する臺城洞(テソン・ドン)の小さな農村「フリーダム・ヴィレッジ(自由の村)」に関するリサーチに基づく作品群で構成されている。その村は休戦当時の住人と、その直系子孫だけが居住できる特殊なコミュニティとして、朝鮮戦争の終わりからいまも変わらず存在している。その存在は、韓国国内でも多くを知られておらず、歴史に置き去りにされた時間の闇、国家間の争いにおける深い溝として、見て見ぬふりをするような意図的な忘却を象徴するものとして考えられる。同作は、先月開催されたフリーズ・ロンドンのフリーズ・プロジェクツのひとつとして、リージェンツ・パークで発表された。

本展では、村の住民が撮影した写真によるドキュメンテーション、アーティストが制作した白黒フィルム、数点の映像および彫刻によるインスタレーションを発表する。メインとなるフィルム作品は、朝鮮戦争のニュース映像を荒廃した架空の実験室の場面と混在させ、ブレヒトの「異化効果(Verfremdungseffekt)」を用いて批判的な考察を促す。ドキュメンタリーとフィクション両方の介入を通して、視覚と物語の総合的な可能性をおし広げるムン&チョンは同作を、「この60年以上余り時が止まったままの村を通じて過去の幽霊を呼び起こし、今を生きる私たちが現在世界を取り巻く矛盾や制限にどのように向き合っていくかの試み」と語っている。


MOON & JEON Freedom Village (2017) Single channel video with sound. 12min 15 sec, Variable dimension. (still cut)


MOON & JEON Feedom Village On the back stage (2017) Digital print, Variable dimension

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