ヴォルス――路上から宇宙へ @ DIC川村記念美術館


「無題」1942/43年 DIC川村記念美術館

ヴォルスーー路上から宇宙へ
2017年4月1日(土)-7月2日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:9:30 – 17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月

DIC川村記念美術館では、「アンフォルメルの先駆者」と評され、写真・水彩・油彩・銅版画・そして言葉と、メディアを横断して表現を続けたヴォルスの個展を開催する。

ヴォルスは1913年ドイツに生まれ、音楽と詩に親しみ、独学で絵を描くようになった稀有な芸術家。1930年代にまぶたを閉じた人物、調理前の生々しい食材などにカメラを向け、強い凝視力の写真作品を残し、パリで写真家として成功するも、ドイツとフランスの戦争が始まると敵国人として収容所などを転々とする。収容所で描くことに没頭し、蜘蛛の糸のような描線と澄んだ色彩が特徴的な幻想的な水彩画を残した。戦後、本格的に油彩画に着手し、多彩な手法を使って動きのある画面を作りだす。また、文学を愛し、さまざまな書物から文章を抜き出してはノートにメモを集めていたヴォルスは、自分でもアフォリズム風の文章を書き遺した。戦後に手がけた銅版画で、生き生きとした線描を活かした作品は、詩人、文学人の本の挿絵にも使われたのもつかのま、ヴォルスは38歳で死を迎えた。貧窮のうちに没したヴォルスは、死の直後から「アンフォルメル」動向の先駆として注目され、評価を受けた。日本でも1950年代にアンフォルメルの作家として紹介され、1964年に東京・南画廊で初めてのヴォルスの個展が開かれた。その際には、美術評論家の瀧口修造らが文章を寄せたカタログと画集が出版され、ヴォルスの作品が多くの人の心をつかんだ。

本展では、同館のコレクションである油彩・水彩・銅版画に加え、貴重な写真作品などメディアを横断して展示する。路上の石や虫を見ながら遠く宇宙までも見通したヴォルスの深い作品世界全体を、約120作品を通して紹介し、ヴォルスの再評価の契機とする。


「ニコール・ボウバン」c.1933 / 1976年、The J.Paul Getty Museum, Los Angeles

関連企画
「さすらいのなかで-ヴォルスの生涯と作品」
千葉成夫(美術評論家、本展監修者)
2017年4月15日(土)13:30-15:00
会場:DIC川村記念美術館 レクチャールーム
予約不要、定員50名、要入館料
  
「アンフォルメルとヴォルス」
高階秀爾(大原美術館館長)
2017年5月13日(土)13:30-15:00
会場:DIC川村記念美術館 レクチャールーム
要予約、定員50名、要入館料

スペシャル・ギャラリートーク
平野啓一郎(小説家)
2017年5月27日(土)14:00-15:00
会場:DIC川村記念美術館 エントランスホール
予約不要、要入館料

「ヴォルスが愛したヴァイオリン―バッハを中心に」
木嶋真優(ピアノ伴奏:坂野伊都子)
2017年6月3日(土)18:00開演
チケット発売日=友の会3/17(金)、一般3/22(水)
要予約、全席自由、一般4,500円 友の会4,000円
当日入館料込み


「構成 白い十字」1947年、国立国際美術館

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