ヒト・シュタイエル:Q&A @ 浅草演芸ホール 東洋館


ヒト・シュタイエル「ロボット・トゥデイ」2016年、映像スチル
©️4.0 Hito Steyerl 協力:アンドリュー・クレプス・ギャラリー(ニューヨーク)

ヒト・シュタイエル:Q&A
2018年4月4日(水)19:00-21:30(開場:18:00)
アサクサ
https://asakusa-o.com/
会場:浅草演芸ホール 東洋館(台東区浅草1丁目43-12)
定員:150名(要予約

2018年2月から3月にかけて、国内外の映像作品を通じて、大衆文化を地政学の視点から批評的に考察する『アサクサエンターテイメンツ』を企画したアサクサが、同企画の出品作家のひとり、ヒト・シュタイエルの作品上映とトークイベントを兼ねた『ヒト・シュタイエル:Q&A』を浅草演芸ホール 東洋館で開催する。

ヒト・シュタイエル(1966年ミュンヘン生まれ)は、映像史やメディア論を背景に、グローバルなイメージの流通や、インターネット以後の社会が孕む矛盾に踏み込んだ独自の分析を展開する。作品制作のみならず、e-fluxやeipcpなどに積極的に寄稿しており、『The Wretched of the Screen』(2012)や『Duty Free Art: Art in the Age of Planetary Civil War』(2017)といった著作がある。現在はベルリンを拠点に活動し、ベルリン芸術大学ニューメディア芸術学部の教授を務める。また、ヴェラ・トールマンとボアズ・レヴィンと共に代理政治研究センター(Research Center for Proxy Politics)を共同設立し、2017年10月に『Proxy Politics Power and Subversion in a Networked Age』を出版した。近年はニューヨークのアーティスツ・スペースやスウェーデンのテンスタ・コンストハル、マドリッドの国立ソフィア王妃芸術センター、ロサンゼルス現代美術館、ICAボストンなどで個展を開催。第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ドイツ館(2015)、第11回光州ビエンナーレ(2016)、第32回サンパウロ・ビエンナーレ(2016)、第9回ベルリン・ビエンナーレ(2016)、ミュンスター彫刻プロジェクト2017などに参加。2018年はカステロ・デ・リヴォリ現代美術館での個展やバーゼル市立美術館でのマーサ・ロスラーとの二人展も控えている。なお、現在、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催中の『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』にも作品を出品している。


ヒト・シュタイエル「アブストラクト」2012年、映像スチル
©️4.0 Hito Steyerl 協力:アンドリュー・クレプス・ギャラリー(ニューヨーク)

本イベントでは、昨年のミュンスター彫刻プロジェクトで発表した作品を含む3作を上映したのちに、アーティストトークおよびQ&Aセッションを行なう。上映作品は、いずれもシュタイエル自身の10代からの旧友、ドイツ人アクティヴィスト、アンドレア・ヴォルフがクルディスタンの政治抗争をめぐって命を落とした一点の事実に端を発したもので、個人史から国際政治、政治経済、美学的地点へとアクロバティックに展開する。「ノーベンバー」(2004)は、シュタイエルが初めて手がけた映像作品に出演した親友ヴォルフのイメージと、クルディスタンの抗議運動のポスターに使用されたヴォルフの肖像を起点に、ポスト革命期におけるイメージの役割を考察する。日本初公開となる「アブストラクト」(2012)は、ヴォルフが命を失った場所などを訪れ、戦争による暴力と美学による暴力が互いに絡み合う様子を2チャンネル映像で提示する。同じく日本初公開となる「ロボット・トゥディ」(2016)は、トルコ政府とPKK(クルド労働者党)の幾多の紛争により、ほぼゴーストタウンと化した南東アナトリア地方の町、ジズレで撮影された。「巧妙な機械装置に関する知識の書」を遺し、ロボット工学の発展に寄与した博識家、アル=ジャザリー生誕の地としても知られる同地で、シュタイエルはiPhoneに搭載されたSiriに向かって問いかける。

なお、本イベントに合わせて、上映作品に関連するシュタイエルによる論考3本の日本語訳を収録した小冊子「論考撰」が発売される。

ヒト・シュタイエル:Q&A
ゲスト:ヒト・シュタイエル(アーティスト)
司会:アンドリュー・マークル(ライター / 編集者)
通訳:田村かのこ(Art Translators Collective)
プログラム
19:00-|作品上映
「ノーベンバー」2004年(25分)
「アブストラクト」2012年(7分30秒)
「ロボット・トゥディ」2016年(8分)
20:00-|アーティストトーク
21:00-|Q&Aセッション
21:30-|終了

ヒト・シュタイエル「論考撰」
1,000円(税込)限定200部 ※日本語のみ
収録論考:「批判の制度」(2006年、清水知子訳)、「ドキュメンタリーの不確定性原理:ドキュメンタリーとは何か」(2008年、大森俊克訳)、「いかに人を殺すか:デザインの問題」(2016年、アサクサ訳)


ヒト・シュタイエル「ノーベンバー」2004年、映像スチル
©️4.0 Hito Steyerl 協力:アンドリュー・クレプス・ギャラリー(ニューヨーク)


ヒト・シュタイエル「ノーベンバー」2004年、映像スチル
©️4.0 Hito Steyerl 協力:アンドリュー・クレプス・ギャラリー(ニューヨーク)

ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて
2018年2月10日(土)-5月6日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
http://www.arttowermito.or.jp/
ヒト・シュタイエルは「他人から身を隠す方法:ひどく説教じみた.MOVファイル」(2013)を出品。

カタカナ表記は主催者資料に基づく

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