イメージフォーラム・フェスティバル2017

2017年4月29日から5月7日までの9日間にわたって、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムを会場に、新作を中心に国内外の多彩な映像作品を紹介する「イメージフォーラム・フェスティバル2017」を開催する。

イメージフォーラム・フェスティバル(IFF)は、さまざまな映像を通して、これからの芸術表現、メディア環境を含める社会のありかたについて考える場を提供する映像祭。31度目の開催となる今回は、映像プログラムのみならず、イメージフォーラム3F「寺山修司」ロビーでは伊藤隆介の「BOX OFFICE」(2017)を展示(開場時間:10:30-21:35)。また、ベルリン国際映画祭フォーラム部門ディレクターのクリストフ・テルヘヒテ、トロント国際映画祭プログラマー兼ARTE La Lucarneプログラマーのラシャ・サルティ、森美術館キュレーターの近藤健一によるティーチ・イン「ミート・ザ・キュレーターズ」を開催する。

海外からの招待作品を上映する「ニューフィルム・インターナショナル」では、特集「タンジブル・ドリーム 触れることのできる夢」を組み、あらたなる映像の未来を思い描く地点として、映画が本来持っていた物質性に着目し、フィルムが触れられるからこそ持っていたメディアとしての可能性について改めて検証する。上映作品は、フィオナ・タンが昨年、IZU PHOTO MUSEUMの同名個展で発表した「アセント」(Nプログラム)や、カナダのモントリオールを拠点に活動する斎藤大地の日本初の個展上映(Pプログラム)、チェン・ジエレンが出演する日本植民地下での台湾の地下上映運動についての証言と現代台湾の対比を描いたジョージ・クラークの「雲海」(Qプログラム)、ベン・リヴァースのロッテルダム国際映画祭短編部門でグランプリを受賞した「つれづれ」(Lプログラム)など。


フィオナ・タン「アセント」2016年 ©︎ Fiona Tan、写真:遠藤進


ミヒャエル・グラヴォガー「ワーキング・マンズ・デス 労働者の死」2005年

「ニューフィルム・インターナショナル」部門では、上述の特集展示のほか、「ドキュメンタリー:21世紀の我らがはらから」と題して、オーストリアのドキュメンタリストミヒャエル・フラヴォガーの最新作にして遺作となった「無題」(Rプログラム)、代表作「ワーキング・マンズ・デス 労働者の死」(Sプログラム)、ハーバード大学感覚民族誌学研究所出身のジョシュア・ボネッタ+J.P.・シニァデツキによる「エル・マール・ラ・マール」(Tプログラム)、ジョージア(グルジア)出身のラティ・オネリのデビュー作「陽の当たる町」(Uプログラム)を上映。なお、「ニューフィルム・インターナショナル」のPプログラムを除く全プログラム冒頭に、70年代から80年代にかけてパンク的構造映画を量産し、ヘルシンキのライブ会場に機材を持ち込み上映していたパシ・スリーピング・ムルマキの超短編8ミリ作品の上映を行なう。

「ニューフィルム・ジャパン」では、手塚眞がドローン撮影を駆使した「OKUAGA」(Aプログラム)や水野勝規の「rotation」(Aプログラム)、昨年の京都芸術センターでの個展をはじめ国内外で発表の続く林勇気の「マドラグ(西陽の国)」(Bプログラム)、かわなかのぶひろが1998年の「時の輪」の舞台ミャンマーを再訪して制作した新作「時の輪ふたたび」(Dプログラム)、愛知県美術館オリジナル映像作品として田村友一郎が昨年制作した「アポロンの背中」(Hプログラム)、大木裕之の「TRAIN」(Hプログラム)などを上映。


田村友一郎「アポロンの背中」2016年


芹沢洋一郎「合成人間」1993年

一般公募部門となる「ジャパン・トゥモロウ」では、日本全国から応募された417作品から15作品がノミネート作品として、横浜会場を除く4会場で上映される(横浜では大賞作品を含む最終審査員が選んだ作品を選抜プログラムで上映)。最終審査員を務めるのは、映画監督の石山友美、ロカルノ国際映画祭アーティスティック・ディレクターのカルロ・シャトリアン、森美術館キュレーターの近藤健一の3名。

「フィルム・メーカーズ・イン・フォーカス」では、萩原朔美が1970年代から手がけた膨大なフィルモグラフィーから、4つのテーマに沿って構成したプログラムを上映する。なお、横浜会場では、萩原をナビゲーターに招いた横浜特別講座「明滅する映画の秘密」を開催。萩原作品と萩原自身が選んだ同館所蔵の実験映像コレクションの上映と特別講座を行なう。そのほか、「フィルム・メーカーズ・イン・フォーカス」では、今井祝雄中井恒夫芹沢洋一郎を特集。

そのほか、松本俊夫についてのドキュメンタリーを4部立てで上映するプログラムや、軍事政権下で国の検閲の通っていないインディペンデント作品のみを上映する映画祭として立ち上がったヤンゴンのワッタン映画祭共同ディレクターのタイディによるプログラム・キュレーションの特集上映などを多彩なプログラムが組まれている。

イメージフォーラム・フェスティバル2017は東京会場での上映に続き、京都芸術センター、福岡市総合図書館、横浜美術館、愛知芸術文化センターと巡回。各会場のスケジュールは、下記よりダウンロード可能のチラシを参照。


パシ・スリーピング・ムルマキ「眠り」1979年

イメージフォーラム・フェスティバル2017
http://www.imageforumfestival.com/2017/

各会場スケジュール
東京版チラシ(PDF)
京都・福岡・横浜・名古屋版チラシ(PDF)

東京:2017年4月29日(土)-5月7日(日)
シアター・イメージフォーラム

京都|2017年5月12日(金)-5月20日(土)
会場:京都芸術センター

福岡|2017年6月2日(金)-6月4日(日)
会場:福岡市総合図書館

横浜|2017年6月16日(金)-7月18日(日)
会場:横浜美術館

名古屋|2017年6月21日(水)-6月25日(日)
会場:愛知芸術文化センター

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