第10回恵比寿映像祭「インヴィジブル」

2018年2月10日



第10回恵比寿映像祭「インヴィジブル」
2018年2月9日(金)-2月25日(日)
http://www.yebizo.com/
会場:東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所 ほか
開催時間:10:00-20:00 ※最終日は18:00まで
休館日:2/13、2/19


「映像とは何か?」という問いを毎年異なるテーマから考察し、幅広い表現を通じて多角的な応答を試みてきた恵比寿映像祭。東京都写真美術館を中心に恵比寿周辺の複数会場に、展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなど複合的な試みの場を設け、さまざまな領域に広がり、日々、各領域で深度を強める映像分野の領域横断的な交流の活性化を目指す。

10度目の開催となる本展の総合テーマは、「インヴィジブル」(英題:Mapping the Invisible)。光学技術によって誕生した写真や映像は、見えないものを見えるようにするのみならず、実際には存在し得ない対象まで可視化してきた。映画はその黎明期に魔術や幽霊のような存在として受け止められることもあった。一方、映像が日常に浸透した現代だからこそ、見えにくくなるものもまた存在している。ディレクターの田坂博子は、映像が潜在的に表現してしまう不可視性に着目し、映像のあり方を考察し、現代における「インヴィジブル」を読み解くことから未来の可能性を探っていく。




ポール・シャリッツ「Shutter Interface」1975年 Courtesy of the Estate of Paul Sharits, and Anthology Film Archives, New York, and Greene-Naftali Gallery


出光真子「WOMAN'S HOUSE」1972年


東京都写真美術館では、17組のアーティストによる展示や国内外の有識者が手がけた上映プログラムのほか、国際シンポジウムやラウンジトークを開催する。構造映画を代表する存在のひとり、ポール・シャリッツが1975年に手がけた代表作「Shutter Interface」の16ミリフィルムの4面インスタレーション展示を行なう。シャリッツが1993年に亡くなって以来、完璧な状態での展示機会がほとんどなかった本作の再現に関わってきたアンソロジー・フィルム・アーカイヴスのアーキヴィスト、ジョン・クラックスも来日し、2月10日に開催されるタイムベースド・メディアの収集保存に関する国際シンポジウムにパネリストとして登壇する。また、シャリッツ関連としては、シャリッツや 宮井睦郎の映像と音楽家の大城真によるライヴ・イヴェント「エクスパンデッド・シネマ・パフォーマンス:Beyond the Frame」をザ・ガーデンルームで開催する。

展示だけでなく上映プログラムが同時に組まれているのは、日本のフェミニズム・アートと映像表現の先駆者である出光真子。出光は、自身の経験からフェミニズムをベースに、家庭における親と子、表現者として女性が生きる際の社会的摩擦などを問いつづけてきた。上映プログラム「不可視であるなら、私が。 出光真子おんなのさくひん」では、1972年にジュディ・シカゴ、ミリアム・シャピロと女子学生たちがつくった女性による女性のための展示空間「ウーマンズ・ハウス」を出光の視点で記録した映像作品など、70、80年代にフィルムとヴィデオの映像の特性を使い分けて制作した7本の映像作品を発表する。




マルティーヌ・シムズ「レッスンズ I-CLXXX」2014年‒ 作家蔵[参考図版]Courtesy of the artist and Bridget Donahue


展示部門に参加するマルティーヌ・シムズは、ヴィデオやパフォーマンスを通じて、「黒人らしさ」とアメリカのホームコメディ、黒人言葉、フェミニスト運動、急進派の伝統との関係を探求しており、昨年のニューヨーク近代美術館の「Projects」でも個展を開催。自身が運営する出版社「ドミニカ・パブリッシング」でも、視覚文化のなかの「黒人らしさ」というテーマに取り組む。そのほか、2月10日から十和田市現代美術館での個展がはじまるラファエル・ローゼンダール、国立国際美術館の『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』に出品中のジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ、国立新美術館の『DOMANI・明日展』に出品中のmamoruなどが参加。1917年から1920年に英国コティングリー村のふたりの少女たちによって撮影された「妖精写真」およびその関連資料なども出品される。

上映プログラムでは、ロッテルダム国際映画祭プログラマーのジュリアン・ロスが「透かしみる1ーーピクセルの裏側」、「透かしみる2ーー舞台裏」を担当。先ごろ開かれた同映画祭でAmmodo Tiger Short Competitionを受賞したダニエル・ジャコビー荒木悠の共同監督作品「マウンテン・プレイン・マウンテン」(2018)をはじめ、総合テーマの「インヴィジブル」に応答する映像作品、アート・ドキュメンタリーを紹介する。また、東欧での活動を経て、2002年よりミャンマーで映画制作の教育活動を行なう清恵子が構成するプログラム「ミャンマー・インディ映画の新しい波ーーワッタン映画祭セレクション」では、近年、ドキュメンタリーを中心に盛り上がりをみせるミャンマー映画を特集。台湾を拠点に故郷ミャンマーをテーマに映像制作を続けるミディ・ジーの上映プログラムとともに、同地の映像作品をまとめて見る貴重な機会となる。そのほか、心の健康や病気に関わる映画を紹介するトロントの映画祭ランデヴー・ウィズ・マッドネスのセレクションや岡部道男の特集、足立正生らの『略称・連続射殺魔』(1969)の35ミリフィルム上映など、展示部門と呼応するような多彩な上映プログラムが組まれている。




ダニエル・ジャコビー、荒木悠「マウンテン・プレイン・マウンテン」2018年


一昨年は中谷芙二子の霧の彫刻、昨年は金氏徹平の可動式の大型作品を展示してきた恵比寿ガーデンプレイス センター広場でのオフサイト展示は、「音楽拡張」をキーワードにメディアアート作品の制作やICCでの展示、有名企業や地域との映像制作の企画、2020東京オリンッピック招致ムービーのサウンドトラックなど、多岐にわたる領域で活動を展開するクリエイティヴ・チームinvisible designs lab.が担当。

日仏会館では、映像装置の仕組みや技術、背景となる思想を描き出してきたSHIMURAbrosが新作を含む個展形式の展示を行なう。また、同会場では2月15日に最新の映像規格8K映像の可能性を探るシンポジウムの開催に合わせて、8K映像モニターを使い、関西テレビ放送が企画制作した「つくるということ」(2017)を期間限定で参考上映展示する。そのほか、地域連携プログラムとして、恵比寿周辺のギャラリーおよび文化施設各所(14箇所)が、総合テーマの「インヴィジブル」に合わせた多彩な企画が開催する。




SHIMURAbros「映画なしの映画 - 創造的地理」2010年[参考写真]Collection of the artists, Courtesy of Tokyo Gallery + BTAP

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