遠藤利克展−聖性の考古学 @ 埼玉県立近代美術館


遠藤利克「空洞説(ドラム状の)-2013」の焼成風景、2013年 撮影:遠藤利克

遠藤利克展−聖性の考古学
2017年7月15日(土)-8月31日(木)
埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
開館時間:10:00-17:30 入場は閉館30分前まで
休館日:月(7/17は開館)

埼玉県立近代美術館では、現代の日本を代表する彫刻家、遠藤利克の大規模個展『遠藤利克展-聖性の考古学』を開催する。

遠藤利克は1950年に岐阜県高山市に生まれる。1972年に名古屋造形芸術短期大学彫刻科を卒業。60年代から70年代にかけて芸術の原理を根本的に問い直したミニマリズムやもの派といった先行する動きに触発されつつも、それらを乗り越えるべく、神話性や物語性といった要素を取り入れた制作を展開していく。美術における物語性の復権を掲げた遠藤の作品は、舟や桶、柩などのモチーフが古(いにしえ)の文化や神話的な物語を喚起する一方、水や火などのプリミティヴな要素によって、人間の生命の根源にあるエロス(生の衝動)とタナトス(死の衝動)を喚起する。

1970年代から東京を中心に発表を重ね、87年にドクメンタ8、翌88年には第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ・アベルトに参加し、89年から90年にかけて北欧とイギリスで巡回展を開催。90年の第44回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本館代表に選出され、木を焼成した巨大な彫刻「エピタフ」や「泉」を発表。その後も国内外の数多くの展覧会で作品を発表している。

本展は、91年の東高現代美術館での個展以来26年ぶりの関東の美術館で開催される大規模な個展となる。出品作品は、2015年に東京都現代美術館のコレクション展にも出品された1991年制作の「泉」や、近年の遠藤の制作活動における重要な概念「空洞」を探求した「空洞説」のシリーズ、そのほか新作を含む計12点。2010年代に制作された作品を中心とした展示構成を通じて、「聖性」と「考古学」をキーワードに遠藤利克の現在と本質に迫る。

会期中には、遠藤利克と森啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)、建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)によるスペシャル・トーク「アートにおける物語性について」や、アンドレイ・タルコフスキーの『ストーカー』(1979)の上映後に、遠藤が自らの作品や思想と同作の共鳴について語る上映とアーティスト・トークを組み合わせた関連企画を開催。また、本展開幕から1週間後にはじまる『MOMASコレクション第2期』の特集展示「遠藤利克-供儀の論理学」では、遠藤作品における重要な焼成のプロセスを「供儀」の論理で検証する。


遠藤利克「空洞説(ドラム状の)-2013」2013年 作家蔵
展示風景:宇都宮美術館 撮影:椎木静寧


遠藤利克「寓話Ⅴ-鉛の柩」2016年 作家蔵、展示風景:秋山画廊/撮影:椎木静寧

関連企画
スペシャル・トーク
アートにおける物語性について
登壇者:遠藤利克(彫刻家)
森啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)
建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)
2017年7月23日(日)13:30-16:30(開場:13:00)
会場:埼玉県立近代美術館2階講堂
定員:80名(当日先着順)、無料

映画『ストーカー』上映+アーティスト・トーク「『空洞』の見立てとしての『ゾーン』
遠藤利克(彫刻家)
2017年8月20日(日)12:30-16:00(開場:12:00)
会場:埼玉県立近代美術館2階講堂
定員:80名(当日先着順)、無料

※そのほかの関連企画は公式ウェブサイトを参照


遠藤利克「Trieb-ナルチスの独房Ⅱ」2000年 作家蔵、展示風景:秋山画廊/撮影:山本糾

MOMASコレクション第2期
2017年7月22日(土)-10月1日(日)
埼玉県立近代美術館1階展示室
「遠藤利克−供儀の論理学」「セレクション:シャガールとか田中保とか」「根岸に学ぶ−浅井忠の弟子たち」

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