第3回ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞


Li Ming Rendering the Mind (still) (2017) multi-channel HD video installation, color, sound, courtesy of the artist

2017年11月23日、ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]とヒューゴ・ボス中国は、リ・ミンに第3回ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞を授賞した。リには賞金30万元(約506万円)が授与された。

リ・ミン[李明](1986年湖南省生まれ)は、2008年に中国美術学院を卒業し、現在も杭州を拠点に活動している。ナンセンスにも思えるような行為に自らの身体を投じたパフォーマンスの映像や、その映像を使用したインスタレーションを制作し、その関心はカメラと観客の意識の相互作用といったものから、個人と社会の関係、空間や境界の社会的文脈といったものにまで至る。本展に出品した最新作「Rendering the Mind」では、80年以上の歴史を誇る五つ星ホテル、ブロードウェイ・マンションを舞台に、リが建物の形や外壁の素材などに着想を得ながら、パブリックとプライベートの間の空間から生まれた一連の物語が映像とパフォーマンスが展開する。また、リは美術館のジグザグの空間を利用して、本展示を自身の過去作品に出てきた建設中の地下鉄トンネルや美術館の建設現場、時計工場といった場面と結びつけた。

近年は『Yīn Shì Pī Lǐ Chún』(HDM Gallery、2017)、『MEIWE』ユーレンス現代美術センター、『Mediation』(Antena Space)で個展を開催。そのほか、北京民生現代美術館(2017)、K11 Art Foundation Pop-up Space(2017)、上海明当代美術館(2017)、イヴェルドン・レ・バン現代美術センター(2016)、釜山ビエンナーレ2016、ボルサン・コンテンポラリー(イスタンブール、2015)などで作品を発表している。また、個人での制作活動のみならず、2008年には彼自身を含む中国美術学院出身の9人のアーティストでアーティスト・コレクティヴ「Double Fly Art Center」を結成し、さまざまなプロジェクトを企画、実践し、展覧会も開催している。


Li Ming Rendering the Mind (still) (2017) multi-channel HD video installation, color, sound, courtesy of the artist


Li Ming Rendering the Mind (2017) multi-channel HD video installation, color, sound

グランプリを受賞したリ・ミンのほか、タオ・フイ(1983年重慶生まれ)、ユ・ジ(1985年上海生まれ)、ジャオ・レンフイ(1983年シンガポール生まれ)が最終候補に選ばれていた。最終候補4名の作品が出品された展覧会は、ロックバンド・アート・ミュージアムで2018年2月11日まで開催されている。

ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞は、2013年にロックバンド・アート・ミュージアムがヒューゴ・ボスとともに、中国本土、台湾、香港、マカオ出身の現代美術に携わる若手アーティストの活動支援を目的に創設。前回(2015年)より、対象地域が東南アジアにまで拡がった。3回目の開催となった今回より、12名の専門家が推薦したアーティストの中から、6名の審査員が展覧会に出品する最終候補を決定するという新しい選考形式が採用された。(審査員、推薦委員は下記を参照)

ヒューゴ・ボス・アジア・アートhttp://hugobossasiaart.org/en/2017

ヒューゴ・ボス・アジア・アート2017
2017年10月27日(金)-2018年2月11日(日)
ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]
http://www.rockbundartmuseum.org/en/exhibition/overview/8f6cpsu

審査員
ラリーズ・フロジャー(ロックバンド・アート・ミュージアム ディレクター)※審査委員長
ウテ・メタ・バウアー(南洋理工大学現代美術センター 創設ディレクター)
長谷川裕子(東京都現代美術館参事)
ヴィーナス・ラウ(OCTコンテンポラリー・アート・ターミナル[OCAT]深圳アーティスティックディレクター)
アデル・タン(シンガポール国立美術館キュレーター)
ジャン・ペイリ[張培力](アーティスト)

推薦委員
ゾーイ・バット(現代美術センター・ファクトリー アーティスティックディレクター)
ジェン・メイヤー[鄭美雅](インディペンデントキュレーター 台北コンテンポラリーアートセンター共同設立者)
ホセリナ・クルス(現代美術デザイン美術館[MCAD]ディレクター兼キュレーター、マニラ)
ダニエル・ホウ[何思衍](燃点[Ran Dian]編集長兼共同設立者、上海、香港)
リー・キット[李傑](アーティスト)
エイミー・リン(ArtReview Asia編集者兼共同設立者)
デイヴィッド・テ(ライター、キュレーター、シンガポール国立大学アート・アドバイザー)
カレン・スミス(キュレーター、OCAT西安エグゼクティブディレクター)
アリア・スワスティカ(キュレーター、ライター)
ウー・モウ[武漠](美術批評、キュレーター)
ヤップ・ソー・ビン(アーティスト、キュレーター、)
イエ・イン[叶滢](The Art Newspaper China編集者)


歴代受賞者および最終候補(太字は受賞者)
2015|マリア・タニグチ、グァン・シャオ[关小]、ホァン・ポージィ[黃博志]、モエ・サット、ヴァンディ・ラッタナ、ヤン・シングァン[杨心广]
2013|クワン・シャンチ、バードヘッド[鳥頭]、シュウ・ジャウェイ[許家維]、フー・シャンチェン[胡向前]、リー・キット[李傑]、リ・リャオ[李燎]、リ・ウェイ[李威]

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