KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 AUTUMN


マーク・テ『Baling(バリン)』Photo by June Tan

2016年10月22日より、京都から世界へ向けて発信する国際舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT」が開催。公式プログラムやフリンジ企画など、さまざまな作品がロームシアター京都を拠点に京都市内複数の会場で上演される。

舞台芸術という幅広い領域の中で重ねて、7回目の開催となるKYOTO EXPERIMENT。身体性に重点を置いた春のプログラムとは対照的に、今回は演劇作品、そして言語や境界といった世界を規定する枠組みについて考察する作品を数多く紹介する。一方、春との連続性として、これまでも強調してきた国際協働、デザインや建築にまつわるリサーチプロジェクトを継続するとともに、制作過程や上演に子どもが関わってきた取り組みの集大成として、「こどもとおとなの演劇祭 プレイ!パーク」も並行して展開していく。また、一定の条件の下、ジャンル不問、審査なしで登録可能なフリンジ企画では、36作品を上演する。

オープニングを飾る公式プログラムは、マレーシア出身のマーク・テが演出を手がける『Baling(バリン)』。本作はテが2005年以来取り組んでいる55年のバリン会談を基点とした一連のドキュメンタリー・パフォーマンスの集大成とも言える作品。テと同じく、歴史を語る言葉や国籍などといった境界をめぐる考察する作品として、現代の視点から歌舞伎の古典作品にアプローチする木ノ下歌舞伎の『勧進帳』、ウィーンを拠点とする松根充和の『踊れ、入国したければ!』を上演。松根は昨年から手掛けている展覧会プロジェクト『世界の向こう側へ』も同時開催する(上演前後の1時間のみ観覧可)。

同展覧会プロジェクトと同じく、活動領域をいわゆる舞台芸術に限らないプログラムとして、マーティン・クリードの『Work No. 1020(バレエ)』、池田亮司の『Ryoji Ikeda: concert pieces』を上演。クリードは京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA、池田はロームシアター京都 ローム・スクエアでそれぞれ展示も行なう。京都芸術センターでは、小泉明郎が「告白」をキーワードにした二作品を展示。また、春からの継続として、デザインや建築の視点で街を見つめるリサーチプロジェクトを、UMA/design farmとdot architectsを中心とするresearchlightが行なう。

そのほか、第60回岸田國士戯曲賞を受賞したタニノクロウが主宰の庭劇団ペニノの『地獄谷温泉 無明ノ宿』、ルイス・ガレーの世界初演となる新作『El lugar imposible(不可能な場所)』、フェデリコ・レオンの日本初演『Las Ideas(アイディア)』、快快を脱退し、バンコクを拠点に活動する篠田千明の新作『ZOO』、太田省吾の沈黙劇の可能性を探求するシャンカル・ヴェンカテーシュワラン/シアター ルーツ&ウィングスの『水の駅』を公式プログラムとして上演する。

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2016 AUTUMN
2016年10月22日(土)-11月13日(日)
http://kyoto-ex.jp/
会場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール”アルティ”、京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA、ほか


ルイス・ガレー『メンタル・アクティヴィティ』Photo by Yuki Moriya


マーティン・クリード『Work No. 1020(バレエ)』Photo by Hugo Glendinning


松根充和『踊れ、入国したければ!』© Michikazu Matsune

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