ニューヨーク、秋の現代美術オークション結果

毎年ニューヨークで行われる秋のオークションが今週相次いで開催された。
いずれの現代美術オークションも予想価格を上回り、多くの作家の最高落札価格が更新された。

2010年11月8日、オークションマラソンの最初に行われたのはフィリップス・デゥ・ピュリィ。パーク・アヴェニューにオープンした新たなスペースの杮落としとして、有名ディーラー、フィリップ・セガロが集めた作品を競売した。「カルト・ブランシュ」(白小切手)のタイトル通り、高額での落札が相次いだ。初めてオークションに出品された、アンディ・ウォーホールによるエリザベス・テイラーの写真を元にしたシルクスクリーン作品「Men in Her Life(彼女を取り巻く男たち)」(1962)は予想価格5000万ドル(およそ41億円)を大幅に上回る6336万2500ドル(およそ51億8300万円)で落札された。この作品は日本各地を巡回したウォーホールの個展で1991年と2000年に展示されたことがある。今回の落札価格はオークションに出品されたウォーホール作品の中で、2番目に高い落札価格となった。同オークションでは他に、フェリックス・ゴンザレス=トレス「Untitled (Portrait of Marcel Brient)」(1992)が456万2500ドル(およそ3億7300万円)、シンディ・シャーマンの「Untitled #153」(1985)が277万0500ドル(およそ2億2600万円)で落札され、過去のこのふたりによる作品の最高落札価格を更新した。村上隆の「Miss ko2」(1997)は、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、680万2500ドル(およそ5億5600万円)で世界有数のウォーホール作品コレクター、ホセ・ムグラビが落札したとのこと。
この日のフィリップス・デゥ・ピュリィの売り上げは全体で1億1705万5000ドル(およそ95億7600億円)となり、彼らの一日の売り上げとしては史上最高額となった。

翌11月9日に行われたサザビーズのオークションでもウォーホール作品の高額落札が相次いだ。最も高額で落札されたのは「Coca-Cola(4)(Large Coca-Cola)」(1962)で予想価格2500万ドルを上回る3536万2500ドル(およそ28億9300万円)である。その他、マーク・ロスコ「Untitled」(1955)が2248万2500ドル(およそ18億3800万円)、キャディ・ノーランド「Gibbet」(1993-94)が予想価格60万-80万ドルのほぼ倍にあたる176万2500ドル(およそ1億4400万円)で落札、すでに作品制作を行っていないノーランドの作品は、最近再評価されつつあり美術展などでも作品展示される機会が多くなってきていることが価格上昇の要因となっている可能性がある。他にはウルス・フィッシャーの「Untitled(Candle)」(2003)、108万2500ドル(およそ8850万円)、ゲルハルト・リヒター「Matrosen(Sailors)」(1966)が1324万2500ドル(およそ10億830万円)と高額で落札された。こちらの総売り上げも予想を上回る2億2245万4500ドル(およそ181億8565万円)。

オークションマラソンの最後は11月10日に行われたクリスティーズ。こちらもウォーホール、リキテンシュタインら、ポップアートの作品の出品が続いた。今年亡くなったデニス・ホッパーのコレクションからの出品を含むクリスティーズのオークションにおいて最高価格で落札されたのは、ロイ・リキテンシュタイン「OhhhAlright」(1964)の4264万2500ドル(およそ35億万円)であった。アンディ・ウォーホル「Big Campbell’s Soup Can with Can Opener (Vegetable)」(1962)は予想価格を下回る2388万2500ドル(およそ19億6000万円)、ジェフ・クーンズの「Ballon Flower (Blue)」(1995-2000)は1688万2500ドル(およそ13億8500万円)で、ゲルハルト・リヒターの「Zwei Kerzen (499-2)」(1982)1296万2500ドル(およそ10億6400万円)と両作品とも予想価格に近い価格で落札された。

今回、上記3オークションのイブニングセールにおけるウォーホールの落札価格の総額はほぼ1億8600万ドル(およそ153億円)にのぼった。

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