αMプロジェクト2017のキュレーターおよびテーマ発表

2017年2月20日、武蔵野美術大学が運営するギャラリーαMは、来年度のαMプロジェクトのゲストキュレーターに、DIC川村記念美術館学芸員の光田ゆりを招聘すると発表。光田は「鏡と穴−彫刻と写真の界面」というタイトルのもと、2017年4月から2018年3月まで、全7回の展覧会の企画を行なう。

ギャラリーαMは、武蔵野美術大学が現代美術に主眼を置いた新人発掘を目的に、その発表の場として開設。2002年3月に閉廊となるが、学生が主体となって「αMプロジェクト」として、特定の展示会場を持たずに展覧会活動を継続。2009年にこれまでの活動趣旨を引き継ぎつつ、ジャンルを問わず、質の高い表現と可能性を有するアーティストに作品の発表機会を提供すること、社会に斬新な価値を発信できるキュレーターに展示企画の場を提供することの二点をコンセプトに、東京・東神田にリニューアル・オープンした。近年は展覧会毎に行なうアーティストトークを収録し、YouTubeの公式チャンネルにアーカイブしている。(http://www.youtube.com/user/galleryalphaM/

2017年度のゲストキュレーターを務める光田ゆり(1962年兵庫県生まれ)は、写真と近現代美術史を専門とする美術評論家。現在はDIC川村記念美術館学芸員(2015-)を務める。京都大学文学部を卒業後、富山県立近代美術館(1985-1989)、渋谷区松濤美術館(1989-2013)を経て現職。近年の主な展覧会企画は、『美術は語られる ―評論家・中原佑介の眼―』(DIC川村記念美術館、2016)、『The New Word to Come 日本の写真と美術の実験』(ジャパン・ソサエティー、グレイ・ギャラリー、ニューヨーク、2015)、渋谷区松濤美術館時代には、『ハイレッドセンター・直接行動の軌跡』(2013-14)、『岡本信治郎 空襲25時』(2011)、『野島康三 作品と資料』(2009 ※美術館連絡協議会優秀カタログ賞)、『中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森』(2008)、『大辻清司の写真 出会いとコラボレーション』(2006)、『合田佐和子 影像』(2003)、『女性の肖像 日本現代美術の顔』(1996)など。そのほか、『Conter-Photography』(国際交流基金主催)は2007年から2012年にかけて海外を巡回。著書に日本写真協会学芸賞を受賞した『写真、芸術との界面に 写真史 一九一〇年代−七〇年代』(青弓社、2006)や、『高松次郎 言葉ともの−日本の現代美術1961-72』(水声社、2011)などがある。

「鏡と穴−彫刻と写真の界面」と題した本シリーズにおいて、光田はデジタルデータが写真であり、音楽、文章、グラフィック、音楽でもあると捉え、それらデータは実体物へと変換されるときに彫刻化されるとみなし、その彫刻化の過程に着目する。そこでは、写真がデジタル技術の発展によって、あらゆる物質の表面上に憑依可能な「型/mold」という要素が更新された時点から、もとより繋がっていた彫刻と写真との関係性が捉え直されるだろう。本シリーズでは、高木こずえ、澤田育久、水木塁、小松浩子、石原友明、柄澤健介、野村在の7人のアーティストの個展を通じて、光を反射しない見えない穴としての写真と、反射像だけを見せて自信を見せない鏡としての写真を想像しつつ、現代写真と彫刻のありかをそこに見る試みが展開される。

ギャラリーαMhttp://gallery-alpham.com/


αMプロジェクト2017『鏡と穴-彫刻と写真の界面』
光田ゆり「鏡と穴-彫刻と写真の界面

vol.1|高木こずえ
2017年4月8日(土)-5月13日(土)

vol.2|澤田育久
2017年5月27日(土)-7月1日(土)

vol.3|水木塁
2017年7月15日(土)-8月26日(土)(夏期休廊:8/13-8/21)

vol.4|小松浩子
2017年9月9日(土)-10月14日(土)

vol.5|石原友明
2017年10月28日(土)-12月2日(土)

vol.6|柄澤健介
2017年12月16日(土)-2018年2月3日(土)(冬期休暇:12/25-1/9)

vol.7|野村在
2018年2月17日(土)-3月24日(土)

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