艾未未、中国当局に身柄拘束 (4/21追記)

中国人アーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ)が2011年4月3日、北京空港から香港に向かう際、入国管理局で拘束された。本人のツイッターアカウント(@aiww)に助手が書き込み、知るところとなった。同日、北京にあるスタジオでも妻の立ち会いのもと、警察による家宅捜索が行なわれ、その場にいた8人のスタッフも朝陽区の警察署に連行されたが、その後釈放された。現時点では艾未未の拘束の理由も居場所も明らかにされておらず、中国内外の人権活動家、そしてアメリカやイギリスなど欧米各国から正式に抗議の声があがっている。艾未未の携帯電話も繋がらず、連絡がつかない状況とのこと。
艾未未を巡っては昨年11月、上海のスタジオが政府によって壊され、その直前に解体パーティーの動きを察知した当局によって自宅軟禁に置かれるなど、緊張状態が続いていた。中国国内では、一連の中東での政権交代以降、政府が危機感を強め、民主化を求める知識人などが連行されており、同じく政府を批判する艾を危険と見なして逮捕したのではないかと思われる。

(以下4月12日追記)

中国国営英字紙のGlobal Times は、4月6日付の記事の中で「艾未未は一線を超えそうであった」とし、艾の拘束が不当でないとした。これは暗に政府が艾未未を勾留している事実を公にしたと受け取ることもできる。また、欧米各国による艾の解放要求は中国の政治や法律事情を理解していない無謀なものであるとし、「艾は彼の選択のツケを自ら払うことになるだろう」と政府が厳しい態度で臨む可能性を示唆している。また、4月7日付のニューヨーク・タイムズ紙では、中国外務省報道官の洪磊(ホン・レイ)によると、北京での会見で艾には経済犯の容疑がかけられており、法的な取り調べが行なわれていると理解している、との談話が発表された。それ以上の詳細は引き続き明らかにされていないとのことであり、4月12日現在、中国政府は艾の居場所や今回の拘束理由だけでなく、勾留事実自体についても公式に認めたという記述は現時点では他には見られていない。

未だに居場所もわからないことなどから、欧米の美術館などによる艾の解放を求める動きは強まっている。昨年10月よりタービンホールで艾の「Sun Flower Seeds」を展示中のテート・モダンでは建物の外側上部に「Release Ai Weiwei(艾未未を解放せよ)」というスローガンを大きく掲示している。また、グッゲンハイム財団は、非営利団体のchange.orgを通じて、艾の解放を要求する署名運動を展開している。

艾未未解放のための署名サイト
change.org: Call for the Release of Ai WeiWei
http://www.change.org/petitions/call-for-the-release-of-ai-weiwei

(以下 4/21追記)

上記の艾未未解放のための署名サイトを運営しているChange.orgは、現在、中国からのサイバー攻撃にあっていることを明らかにしている。また4月20日のイギリスのガーディアン紙によると、艾の弁護士である劉暁原(リウ・シャオユアン)は自宅に戻ったが、未だ艾自身および空港で一緒にいた文涛(ウェン・タオ)、いとこで運転手の張勁松(チャン・ジンソン)、会計担当の胡明分(フー・ミンフェン)、デザイナーの劉正剛らの行方がわかっていない。

Copyrighted Image