2014年プリツカー賞に坂茂


Cardboard Cathedral (2013), Christchurch, New Zealand. Photo Stephen Goodenough.

2014年3月24日、ハイアット財団は今年のプリツカー賞受賞者に坂茂を選出した。一昨年の王澍[ワン・シュウ]、昨年の伊東豊雄に続き、三年連続でアジア勢の受賞となった。

坂は1957年東京都生まれ。10代後半でアメリカ合衆国に渡り、南カリフォルニア建築大学、クーパー・ユニオン建築学部にて学ぶ。80年代に再生紙でできた紙管に着目し、「紙の教会」(1995)や「ハノーバー国際博覧会日本館」(2000)を手掛けた。さらに、安価かつどこでも入手可能という紙管の利点を活かして、「避難所用間仕切り(PPS)」(2004-)など災害支援へとその可能性を展開させた。東日本大震災でもいち早く行動し、7県49箇所に「避難所用間仕切り(PPS)」を設置したり、女川町にコンテナを利用した多層仮設住宅を建設している。また、震災から一年後には既存仮設住宅の住環境改善プロジェクトを実施するなど、自身が代表を務めるVoluntary Architects’ Network(VAN)を通じた支援プロジェクトを展開している。近年も「ポンピドゥーセンター・メス」(2010)や「タメディア新本社ビル」(2013)を手掛け、「アスペン美術館」が年内の完成を予定しているなど、国外を中心とした活動を続けている。

同賞は1979年にハイアット財団が創設し、建築界のノーベル賞に喩えられる。原則として1年にひとり、もしくは1組の建築家が選出される。歴代日本人受賞者には、昨年の受賞者である伊東豊雄(2013)のほか、丹下健三(1987)、槇文彦(1993)、安藤忠雄(1995)、そしてSANAA(妹島和世、西沢立衛)(2010)がいる。

プリツカー賞公式ウェブサイト:http://www.pritzkerprize.com/

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