プルデンシャル・アイ・アワード2016


Sareth Svay

2016年1月20日、シンガポールのマリーナベイ・サンズのアート・サイエンス・ミュージアムにて、アジアの現代美術の新進アーティストを対象としたプルデンシャル・アイ・アワードの授賞式が行なわれ、彫刻部門にノミネートされていたカンボジア出身のアーティスト、サレス・スヴォイがグランプリであるエマージング・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

サレス・スヴォイは1972年バッタンバン(カンボジア)生まれ。現在は、カンボジアのシェムリアップを拠点に制作活動を行なう。カンボジアの歴史に対して個人的かつ詩的なアプローチで取り組み、歴史における社会的、政治的な要素を彫刻やパフォーマンス、インスタレーションを通じて、提示する作品を発表している。クメール・ルージュ統治下、家族とともにタイ国境沿いの難民キャンプで生活を営んだサレス・スヴォイは、93年に帰国するまでの13年の間に、キャンプに滞在したフランス人アーティスト、ヴェロニク・ド・クロップから美術を学んだ。94年、クロップの生徒らとともにバッタンバンにNGO組織「ファー・ポンルー・セルパク」のアートスクールを設立。その後、サレス・スヴォイはフランスに渡り、2009年にカン国立高等美術大学で修士号を取得する。近年の主な展示に、SA SA BASSAC(プノンペン)での個展のほか、第4回シンガポール・ビエンナーレ、シンガポール美術館、パレ・ド・トーキョー、光州市立美術館の企画展などがある。

プルデンシャル・アイ・アワードは、2014年に「グローバル・アイ・プログラム」(プルデンシャル、パラレル・コンテンポラリーアート、サーチ・ギャラリー)によって、広域アジア地域における新進アーティストを対象に設立された。各地域の専門家によって推薦された100名以上のアーティストの中から、「デジタル/ヴィデオ」「インスタレーション」「絵画」「写真」「彫刻」の5部門3名ずつのアーティストを最終候補に選び、展覧会を開催する。


Above: Sareth Svay Stake or Skewer (2015). Below: Sareth Svay Warning House (2013-ongoing). Both: Image courtesy of the artist and SA SA BASSAC

エマージング・アーティスト・オブ・ザ・イヤーのほか、彫刻部門を受賞したサレス・スヴォイが計50,000ドル(約585万円)を受賞。そのほか、小西紀行がノミネートされていた絵画部門は、インド出身のマニッシュ・ナイが受賞。デジタル/ヴィデオ部門は、グエン・チン・ティ、インスタレーション部門は、ホァン・ポージィ[黄博志]、写真部門は、シュモン・アーメドが受賞。各アーティストにはそれぞれ20,000ドル(約234万円)が授与された。また、新設された4部門のうち、生涯功績部門は、タイの伝統的な文化、技術を取り入れた作品で知られるサカリン・クルエ=オンが受賞。展覧会部門では、香港のオルタナティブ・スペース「パラサイト」が2003年に企画した『グレイト・クレセント:1960年代のアートとアジテーションーー日本、韓国、台湾』が受賞(昨年、森美術館のMAMリサーチ第1弾として、同企画を再構成した展示が行なわれている)。なお、最終候補15名の作品が揃う展覧会『プルデンシャル・アイ・アワード2016』は、アート・サイエンス・ミュージアムで3月27日まで開催している。

各部門受賞者
デジタル/ヴィデオ部門:グエン・チン・ティ
インスタレーション部門:ホァン・ポージィ[黄博志]
絵画部門:マニッシュ・ナイ
写真部門:シュモン・アーメド
彫刻部門:サレス・スヴォイ

生涯功績部門:サカリン・クルエ=オン
美術機関部門:スプリング・ワークショップ(香港)
展覧会部門:『グレイト・クレセント:1960年代のアートとアジテーションーー日本、韓国、台湾』(パラサイト、香港)
ヴィジュアル・ポピュラーカルチャー部門:スロットマシン[Slot Machine]

プルデンシャル・アイ・アワードhttp://prudentialeyeawards.com/


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