ヨコハマトリエンナーレ2017、企画概要と参加アーティストの一部を発表

2017年4月18日、横浜トリエンナーレ組織委員会は今夏開幕のヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」の企画概要と参加アーティストの一部を発表した。

6回目の開催にあたり、逢坂恵理子、柏木智雄、三木あき子の3名をディレクターズに、「横浜の歴史や横浜らしさ」を意識しつつ、美術だけではなく多方面の専門家の協力を得て、対話、協議を重視した方法で準備を進めている。その代表的な試みとして、スハーニャ・ラフェル、スプツニ子!、高階秀爾、リクリット・ティラヴァーニャ、鷲田清一、養老孟司の6名からなる構想会議や、今年1月から継続的に開催している公開対話シリーズ「ヨコハマラウンド」があげられる。

また、ヨコハマトリエンナーレ2017では「接続」と「孤立」をテーマに掲げ、急速なグローバル化、紛争や難民・移民の問題、英国のEU離脱、ポピュリズムの台頭といった世界が抱える問題、相反する価値観が複雑に絡み合う世界の状況について、分断され孤立しているものを対話と思考と想像力でつなげ、新しい可能性を切り開くものを目指していく。構想会議メンバーのひとりであり、展覧会ではカールステン・ヘラー、トビアス・レーベルガー、アンリ・サラとともに出品するアーティストのリクリット・ティラヴァーニャは、展覧会タイトルの「島と星座とガラパゴス」を考える上で、「contamination(汚染)」という言葉をあげ、その言葉を「他者との関係により自己が変わり続けていくこと」と定義し、変化への抵抗感や孤立した状態を失うことへの恐れに関連づけて考えたいと述べている。


アイ・ウェイウェイ(艾未未)「安全な通行」2016年 © Ai Weiwei Studio


パオラ・ピヴィ「I and I(芸術のために立ち上がらねば)」2014年 Photo: Guillaume Ziccarelli Courtesy of the Artist & Perrotin

参加アーティストの数をこれまでで最少の約40組に厳選する一方で、多くのアーティストが複数の作品を展示することで、観客が個々のアーティストの創作世界により深く触れられるように意図するとともに、異なる星や島が緩やかに繋がり星座や多島海を形成するように、作品世界が連なるという展覧会全体のイメージを構成に反映させる。今回発表されたのは、アイ・ウェイウェイやオラファー・エリアソン、マウリツィオ・カテランといった国際的に活躍するアーティストや、ワエル・シャウキー、ブルームバーグ&チャナリンといった国内で初めて本格的に紹介されるアーティスト、新作を発表予定の小沢剛、宇治野宗輝、シュシ・スライマン、プラバヴァティ・メッパイルなど、26組のアーティストと、福島県の帰還困難地域で2015年3月11日から開催されている展覧会『Don’t Follow the Wind』。本トリエンナーレでは、横浜の歴史的背景を意識的に取り入れた取り組みとして、複数の参加アーティストが横浜の史実や地誌などに言及する作品を制作する予定。

会場は、横浜美術館と横浜赤レンガ倉庫1号館のほか、横浜市開港記念会館 地下を使用。そのほか、テーマに共鳴すると思われる会場近隣の歴史的な場所や施設などの紹介も行なわれる。会期中には、BankART life Vや黄金町バザール2017、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017、YCCヨコハマ創造都市センター主催のアートプログラムなども開催。ヨコハマトリエンナーレ2017鑑賞券のほか、BankART life Vや黄金町バザール2017の鑑賞パスポートがセットになったチケットの前売券は、4月21日から販売される。

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」
2017年8月4日(金)-11月5日(日)
http://www.yokohamatriennale.jp/


ワエル・シャウキー「十字軍芝居 Ⅲ:聖地カルバラーの秘密」より 2015年 © Wael Shawky: Courtesy Lisson Gallery

参加アーティストリスト

アイ・ウェイウェイ[艾未未]
Ai Weiwei
艾未未のことば(牧陽一責任編集)

ブルームバーグ&チャナリン
Broomberg & Chanarin

マウリツィオ・カテラン
Maurizio Cattelan

ドン・ユアン[董媛]
Dong Yuan

サム・デュラント
Sam Durant

オラファー・エリアソン
Olafur Eliasson

アレックス・ハートリー
Alex Hartley

畠山直哉
Naoya Hatakeyama
畠山直哉「物事のはじまり−−言葉と写真」(2010年10月掲載)

カールステン・ヘラー、トビアス・レーベルガー、アンリ・サラ&リクリット・ティラヴァーニャ
Carsten Höller, Tobias Rehberger, Anri Sala & Rirkrit Tiravanija
アンリ・サラ「アーティキュレーションの妙」(2011年11月掲載)
リクリット・ティラヴァニ「学問の厳密さについて」(2012年6月掲載)

ジェニー・ホルツァー
Jenny Holzer

クリスチャン・ヤンコフスキー
Christian Jankowski

川久保ジョイ
Yoi Kawakubo

風間サチコ
Sachiko Kazama

ラグナル・キャルタンソン
Ragnar Kjartansson

マップオフィス
MAP Office

プラバヴァティ・メッパイル
Prabhavathi Meppayil

小沢剛
Tsuyoshi Ozawa

ケイティ・パターソン
Katie Paterson

パオラ・ピヴィ
Paola Pivi

キャシー・プレンダーガスト
Kathy Prendergast

ロブ・プルイット
Rob Pruitt

ワエル・シャウキー
Wael Shawky

シュシ・スライマン
Shooshie Sulaiman

ザ・プロペラ・グループ
The Propeller Group

宇治野宗輝
UJINO

柳幸典
Yukinori Yanagi

Don’t Follow the Wind
Don’t Follow the Wind
卯城竜太(Chim↑Pom)「向こうからの視線」(2017年3月掲載)
椹木野衣|64:再説・「爆心地」の芸術(30)終わらない国際展 ー Don’t Follow the Wind近況(1)(2017年2月掲載)

カタカナ表記は主催者資料に基づく。

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